白?黒?グレー?しゃべらない、痛みに鈍感…違和感を感じて相談・受診を重ねるもスルー。2歳半で「自閉スペクトラム症」だと診断されるまで【新連載】
障害があるとは本当に分からなかった息子
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はじめまして。中度知的障害を伴う自閉スペクトラム症のある息子「まちゃ」の母でカタバミと申します。息子の障害に涙して真っ暗になったり、それでも成長を感じて可愛さに悶絶したり。情緒が忙しい日々を送っています。息子は支援級に通う1年生です。息子の2歳上の娘と夫とインコもいます。
私はいつか育児ブログを書きたいと思っていたので、ほぼ毎日子どもの成長を日記につけていました。今それを読み返しても、1歳より前に息子の異変に気づく記述はありません。
健康で9ヶ月で歩き出し、喃語もたくさん出ていました。あまり寝ない子どもだったので私が眠かった記憶はありますが、離乳食も良く食べて、ときには家族とは目も合い抱きついてくることもあったので発達に関して何も心配していませんでした。
息子が2歳になったときに、2歳上の娘の真似をして「いないいないばあ」と言いました。うれしくて動画に撮りましたが、「いないいないばあ」が言えたのはこの日だけでした。消えてしまったのです。今から思えば息子は退行という症状だったのかもしれません。
最初に「あれ?」と思ったのは私の不注意から負わせた火傷。
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息子が1才1ヶ月のころのことです。朝アイロンをかけている途中で娘を起こしに行きました。
そのとき寝ていると思っていた息子がヨチヨチと歩いてきて、置いてあったアイロンを触って足の上に落としてしまいました。「ギャーッ!」という息子の悲鳴を聞いて、慌てて息子の患部を冷やしながら病院に連絡をしましたが、すぐに泣き止み遊びだしたので冷やしつつ予約時間を待ちました。
予約時間になり診察を受けた際に、普段温厚な医師から「こんなひどい火傷なら予約なんて取らずすぐに電話して来て下さい!大人なら何日も眠れないほどの火傷なのにこの子は…」と口を濁されました。これが最初に(あれ?)と感じた出来事でした。今なら息子は感覚鈍麻だったんだなと思います。
その後、実父から発語が遅いと言われ母子相談室に行きますが「中身が大人で落ち着いたお子さんですね」と言われて終わり。1歳半健診で言葉の遅れを相談したら発達センターの受診をすすめられましたが育児支援センターに相談すると「まちゃ君よりもっと動き回っている子はいるし、活発なお子さんで発語が遅いことはよくあるから大丈夫よ」と複数の方から言われました。
2歳まではしゃべり出すのを待とうと思っていた。
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息子の2歳の誕生日が近づいたころ、近所の育児支援センターに来た言語聴覚士に相談しました。
「発語が少ないことよりも、コミュニケーションが取れていないことが問題だ」など、たくさん指摘をされました。そういえば息子は「これをお父さんに持って行って」もできないし「遊んで」とせがんで来ることもなかったのです。私は息子は1人で遊ぶのが好きなマイペースな子だと思っていて、それが問題だとは思っていませんでした。
声のかけ方などを教わり、大きなショックを受けました。私は、この日から壊れたラジオのように息子に話し掛けました。
そして2歳の誕生日には発達センターの検査の予約を取りました。半年待ちだったのでそれまでに話し始めるかもという期待もしていました。
白?黒?グレー?臨床心理士に言われたこと。
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検査のあとで臨床心理士に「発達の遅れは気のせいでしょうか?」と聞くと「気のせいではありません。
せっかく早く来てくれたのですぐに療育を始めましょう」と言われました。そのあと小児科医から「自閉スペクトラム症です」とはっきりと告げられました。大ショックでしたが息子は2歳半で療育につながることができました。
療育は早期に受けることが大切だと言われています。私の経験上、発達に不安を感じたら「詳しそうな人」ではなくて「発達の専門職の方」にみていただくことをおすすめします。
私は今まで生きてきて障害のある方とほとんど接したことがなかったので、無知だし受け入れることにも時間がかかっています。でも、息子は少なくとも家庭内では温厚ですし、家族も協力的です。こちらでは息子と、私の散らかった頭の中が少しずつ進んで行く様子をお伝えして、それを楽しんでいただければ幸いです。
執筆/カタバミ
(監修:鈴木先生より)
知的に遅れがあるお子さんは感覚が鈍麻なことが多くあります。そして言葉の発達が遅れている場合が多いです。そのため、できるだけ早期介入が重要です。病名は医者でしか告知できません。できるだけ早く医師に相談することをおすすめします。
そして担当医が告知したら責任をもってフォローし、さらに知的に遅れている場合はその病因検索をする必要があります。脳CT、甲状腺機能などの血液検査、難聴があるかどうかのABR(聴性脳幹反応)検査などです。中には知的に遅れている原因が分かって、原疾患の治療で言葉の遅れが改善したケースもあります。
視力が弱くて多動傾向だったお子さんが眼科で調整することで、多動が治ったという例もあります。子どもは総合的に診ていく必要があります。