里帰り出産と自閉症長男の療育、どちらもあきらめない!県をまたいだ「途切れない」療育を実現させるポイントとは?
2人目出産のために里帰りしたい!でも、息子の療育はあきらめるしかないの?
Upload By べっこうあめアマミ
娘を妊娠していたころ、息子はまだ障害の診断が出ていなかったとはいえ、療育に通っていました。当時息子は3歳、息子の発達における大事な時期に、療育を途切れさせたくないと思っていました。
でも、夫が育休をとるのは難しい。かといって、実年齢より幼く手もかかる息子をほぼ1人で見ながら、妊娠後期、出産、新生児期の子育てをしていくことは不安が大きい…。
2人目の出産をどのように迎えるのが家族にとってベストなのか、私は悩んでいました。
あるとき、そのことを母に相談すると、思いもしなかった発想が飛び込んできました。
「里帰り中だけこっちで療育に通えないのかね?」
そのときは、「療育って待機も多いのに無理でしょ」なんて思って気にもしていなかったのですが、その後、母からさらに意外な連絡を受けました。
Upload By べっこうあめアマミ
なんと、私が無理だと決めつけていたことを、母が水面下でなんとか調整できないか、動いてくれていたのです。
そして「里帰り中だけ期間限定で療育を受ける」ことの可能性が見えてきました。
「里帰り中だけ地元で療育を受ける」実現のために押さえるべきポイントとは
いろいろと調べてみると、「里帰り中だけ地元で療育を受ける」ことは、意外と「押さえるべきポイント」を押さえれば可能なことが分かってきました。※地域や施設によりできないこともあります
ただし、できるだけ早めに動き出し、長めに準備期間を持つ必要があります。具体的には、次の6つのことを確認し、全てが押さえられるかがポイントでした。
Upload By べっこうあめアマミ
この中で特にハードルが高いのは、
1.里帰り中の期間限定で療育を受けられるか
という発達支援施設側の事情だと思います。わが家の場合、問い合わせたのが2月という、次年度の調整をしている時期で、さらに里帰りまで5ヶ月ほど時間があるという好条件が重なっていたためか、受け入れてもらうことができました。2.療育を受けるための条件は何か
については、里帰り先で利用したかった施設が公的な児童発達支援センターだったため、「住民票の移動」が必須でした。
ですが、これも里帰り中だけ息子の住民票を移動することで解決できました。
345.の受給者証に関することですが、これは、受給者証のしくみや「誰に」発行されているものなのかを理解すれば、対応できました。
まず、受給者証は厳密に言うと、通園する子どもではなく、その子どもの保護者に対して発行されるものです。そして、発行するのは保護者(世帯主)がいる自治体です。
今回、里帰りするのは息子と私だけなので、世帯主である夫の住民票は動きません。そして、受給者証は発行された自治体以外の地域でも使えます。そのため、今ある受給者証で対応できることが分かりました。
※自治体や療育施設により通えない場合もありますので、各自治体、施設にご確認ください。
ただし、地域によって見解が分かれる可能性もあると思ったので、念のため、「このやり方で使えるか?」と、それぞれの自治体に確認しました。
不安もありましたが、その点は県を跨いだどちらの自治体でも問題ないと言われました。
6.里帰り中だけお休みして、里帰り後また同じ日数通わせてもらえるか?
これも、事前に必ず確認したほうが安心です。ただしわが家の場合、この確認だけは必要なくなりました。
さらに里帰りと同時に引っ越し⁈ややこしすぎる状況を上手に切り抜けたワケ
実はわが家の場合、里帰りとほぼ同時に新たな自治体に引っ越しをする、というさらにややこしいことをしました。そのため、里帰り後は新たな自治体で暮らすことになったので、里帰り前に通っていた療育は、里帰りと同時に解約させてもらいました。
里帰り後に息子が通う新たな療育は、里帰り期間中にコツコツ探して話を進めていきました。
Upload By べっこうあめアマミ
引っ越しの際、夫は里帰り後に家族で住む自治体に住民票を移動、息子は里帰り先の自治体に住民票を移動し、一時的に家族が別居している状態になりました。
そして、受給者証も一旦仕切り直しになります。
息子が里帰り先ですぐに療育を受けられるようにするには、夫の住民票が移ったらすぐに、引っ越し先の自治体で受給者証を発行してもらう必要がありました。この流れがスムーズに進むように、引っ越し先の自治体に早くから事情を説明し、お願いしておきました。この事前の根回しと、役所の方の柔軟な対応、もともと受給者証の取得実績があったということが幸いして、住民票を移動したタイミングですぐに受給者証を発行してもらうことができました。そして、息子はすぐに里帰り先で療育に通いはじめられたのです。
正直、全てにおいてすごく忙しくて大変でしたし、交渉力や情報収集力も求められました。家族の協力も必要でした。
そして、関わった3つの自治体や発達支援施設が、どこも協力的に動いてくれたこと、タイミングなどの運もよかったことなど、いろいろな幸運が合わさっての結果だと思います。
そのため、場合によってはうまくかみ合わず、できないこともあると思います。
ただ、この経験から私は、最初から「できない」と決めつけず、「やってみる」大切さを学びました。
里帰り中の療育に助けられた私たち
Upload By べっこうあめアマミ
息子が里帰り中に通った療育は、都会にはあまりないタイプの、後ろは山で自然いっぱいの、とても広い施設でした。毎日砂遊び、毎日プール、日常的に自然とふれあえて、息子は毎日砂だらけで帰宅し、新たな成長も見せてくれました。そして、親子分離の療育だったため、息子が日中行く場所があることで、私も両親も里帰り期間中はずいぶん助けられました。
1人目の子どもが療育に通っていたり、何らかの支援が必要だったりすると、2人目の妊娠出産をどう乗り切ろうか悩む人も多いと思います。私のようなパターンは、全国どこでも通用するとはいえませんが、あきらめずに試してみる価値はあるのではないかとも思います。
もし、同じような状況にいる方は、一つの例として参考にしていただけたら幸いです。
執筆/べっこうあめアマミ
(監修:井上先生より)
べっこうあめアマミさんのように2人目の出産のために里帰りをするということは意外に多いのかもしれません。
とても貴重な情報だと思います。住民票の移動や場合によっては受給証の再発行など手続きが大変かと思いますが、交渉力すごいです。家族や周りの人たちの協力を得ながら進められると良いですね。以前の療育機関で作成されていた個別の支援計画やアセスメントの情報などを新しい療育機関に引き継いでもらうなどもできるとさらにより良いと思います。