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「自分は嫌われてる」ASD息子の低空飛行の「自己肯定感」に変化が!?中2になった息子に理由を聞くと…

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「自己肯定感が大事」とはよく聞くけれど…?

「自分は嫌われてる」ASD息子の低空飛行の「自己肯定感」に変化が!?中2になった息子に理由を聞くと…

Upload By 丸山さとこ

神経発達症(発達障害)の有無にかかわらず、子どもを育てる上で「自己肯定感を持たせ損なわないようにすることが大事」という話はよく聞きます。それらの重要さには同意するものの、日々息子と暮らしていると、どこか『わが子の自己肯定感』を人質に取られているような気持ちになることもあります。

そんな息子の自己肯定感は親の手の届かないところで傷ついていくこともあるようで、何とも難しいものだなと感じます。保育園年少から小学校1年生まではマイペースに集団生活を送っていたコウでしたが、そこから小学校中学年までの間に彼の自己肯定感はどんどん低下していきました。

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学年が進むごとに、学校や趣味の場など「家庭の外」での活動時間は増えていきます。それに伴い心の中にも「親の手の届かないところ」が増えていくのは健全な成長の現れだと考えられ、それ自体は喜ばしいことだと感じます。

一方、家庭の外で傷つくことが多くなったころには、家で休むだけでは回復が追いつかなくなってゆくのも感じていました。

神経発達症(発達障害)があるコウは、意図や空気が読めなかったり、周りが見えずに自分の感情や都合のみを優先して動いてしまったりすることがしばしばあります。
特に小学校の1年から3年にかけては周囲の児童とのトラブルが多発していました。

トラブルの度にクラスメイトからできないことや身勝手さを責められていたそのころのコウは、自己評価も自己肯定感もひどく落ち込んでいました。自分に対してのネガティブな言動が目立ち、作文やプリントなどで自分のことを表現するときは、いつも「ダメな自分」に焦点が合っている状態でした。

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コウ本人や先生の話を総合して聞くと、「周囲の児童が責めたくなるのは分かるな」と思うことは多くありました。コウの事情はよく分かるけれど、それは周囲の児童には関係ないのだということもよく分かります。余計な一言を口にするなど「やってしまうこと」が問題になるときもあれば、係や役割分担を忘れるなど「やらないこと」が問題になるときもありました。

自己肯定感はどうして上がってきたのか?


そんな風に「自分は嫌われてる」「ダメなやつだ」「僕なんてどうせ…」と沈んだ表情になることの多かったコウでしたが、現在では「毎日なんだかんだ楽しいよ!」とニコニコ過ごしています。

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以前は「凄いな・いいな」と思う他人を見るたびに凹んだりやる気をなくしていたコウですが、今では以前のように落ち込むことがなくなり「刺激を受けた!」「あこがれるな~」「自分もそうなりたいよ」と言うようになってきました。


「部活の他校との合同練習で凄いプレーを見た。あこがれるよ!たくさん練習したら、僕も少し近づけるかな?」と、前向きに語り練習に打ち込む彼を見ると、その変化の大きさに驚かされます。

どうして自己肯定感が上がってきたんだと思う?と聞くと、「うーん。なんでだろう…?」とコウは首をかしげました。特別に大きな転機があったわけではないようです。

傍から見ていると小学4年生辺りから少しずつ自己肯定感が上がってきたような気がします。そのことをコウに伝えると、「うーん。担任のK先生かなぁ」とコウ。
小学4年生は、K先生のサポートのお陰で忘れ物が減り、職員室内でも「丸山(コウ)君しっかりしてきたね」と話題になった年でした。

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また、K先生はコウの話をよく聞いてくれる先生でもありました。それまではクラスメイトとトラブルが起きたときには「コウ君もはっきり嫌だと伝えないと」と注意を促されることも多く、コウは「結局自分が悪いってことになる」と思うこともあったようです。

K先生は「こんなことされたら嫌だよな、悲しいよな」と、まずコウの気持ちを受け止めた上で解決策を考えてくれることが多く、学校から帰ってきたコウが「先生は僕の気持ちを分かってくれる」とホッとした表情で話してくれたこともありました。

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当時のコウは、自分なりの事情や動機を伝えようとしては「言い訳するな!」とさらに責められることも多かったため、自分の言動をたしなめる前にまず一旦耳を傾けてもらえることは、かなりうれしいことだったようです。それらのことを振り返ったコウは「人から肯定されるのが大きいんじゃない?」と言いました。私はそれを聞いて「なるほど、確かにそうかも」と納得しました。

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人から否定され続けたことで下がったらしいコウの自己肯定感。
それが人から肯定されたことで再び上がってきたのだろうと考えると、シンプルで理にかなった流れだなと感じました。

「自己評価」は低いままでも「自己肯定感」は高くなる(コウ談)


コウが言うには、現在でも『自己評価』は以前とそう大きく変わらないのだそうです。「ダメなところもあるけど、それはそれとして前みたいに自分のことを嫌だなって思うことはない」とサッパリした調子で言うコウは、一時期に比べてずいぶん落ち着いたように見えます。

周囲の人に受け入れられた経験がコウの自己肯定感を高め、自己肯定感が高まったことが周囲の人との関係を和らげるという、よいサイクルに入ったのかもしれません。

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今はたまたま周囲に恵まれよいサイクルに入っているコウですが、今後はどうなるか分かりません。例年のパターンとして、コウは2学期から崩れやすい傾向があります。もしそうなれば、また周囲から非難を浴びることもあるかもしれません。

それでも、こうして繰り返し「周囲の人から受け入れられた」と感じる経験をしていくことで、少しずつ他者への信頼や自己肯定感の土台ができていくといいなと思います。


執筆/丸山さとこ

(監修:初川先生より)
「人から肯定されたから」自己肯定感が上がったかも、と考察するコウくん。素晴らしいですね!私もそう考えています。自分と近しい人に認めてもらえる、自分の気持ちを理解してもらえるなどの経験によって、自己肯定感は高まる面があります。ただ、それは単に褒められればいいというものでもないのだろうなと私は感じています。おそらく、小学校での苦戦が続いていた時期も、さとこさんやご家族からは褒められていることもあったのではないでしょうか。それが自己肯定感(というか、良い自己認識)に直結しなかったかもしれないのは、トラブルが多くてそちらにコウくん自身、目が向きがちだったことが大きいと思います。ですが、その間も褒められたり認められたりしながら、うまくいかない、心の黒いシミのようなもの自体は消えたり小さくなったりしなくても、それ以外の白い、シミのない部分が広がっていったのでしょう。相対的に心にゆとりを地道に作っていたともいえます。
そうして、K先生との出会いで、苦戦している際のそのつらい気持ちをわかってもらえた、苦戦そのものはすぐにはなくならずとも気持ちをわかってもらうとこんなに心強いことなのかと知った、そういう経験。そして、その経験が何であるかを知る知的な発達もあったのだと思います。そういうことから、自分へのまなざしが柔らかくなり、ダメなところだけでなく、いいところなど多角的に見ることができたように感じました。

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