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ASD小6長女「自分はできない子」と思い込み…漢字が書けず、習字にも通わせたけれど。親子を救ったスクールカウンセラーの言葉とは

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たどたどしいひらがなを書いていたゆい


ゆいがひらがなを書き始めたのは確か4歳ごろでした。たどたどしいひらがながとてもかわいくて、当時ゆいが書いたノートは今でも大切に保管しています。

小学1年生になって担任になった先生は、文字をきれいに書くことを大切にされていました。ゆいがたどたどしく書いた国語のノートはいつも真っ赤に書き直されていて、ゆいはいつもしょんぼりしていました。私はまだ1年生だし、そのうちきれいに書けるようになるだろうとのん気に構えていたので、ゆいを励ましはしましたが、文字をもっと練習させようとは考えていませんでした。

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小学2年生になり、去年の担任の先生がそのまま持ち上がりました。そしてあいかわらず国語のノートは真っ赤に添削されていました。このころはまだ障害があるとは気づいていなかったのですが、今思い返すとゆいの描く文字は力が入っておらずフニャフニャしていて、まっすぐ強い線を引くことができていなかったのです。


私はゆいの書く文字が「やる気を感じられない字」に見えて、まだ低学年だけどやはり文字をきれいに書くということが必要なのではと思うようになりました。ゆいに言わせると「文字なんて読めたらそれでいいじゃない。どうしてきれいに書く必要があるの?」ということなのですが、一般マナーとして美文字または読みやすい文字であるに越したことはありません。

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そして小学2年生のときに、大手書道教室の硬筆のレッスンを受けさせるようにしました。

一人では嫌がるかなと思い、私も一緒に受講しました。隣で見ていると、ゆいは練習にまったく身が入っておらず「これではお金をドブに捨てているのでは?」と思ってしまいました。なにより本人がやりたくないことを親のエゴでやらせていることに気づき反省したのです。その後、ゆいの書き文字は全く上達せず硬筆レッスンは終了しました。


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漢字が複雑になると対応できなくなってきて…スクールカウンセラーに言われた言葉


それから学年が上がるにつれ習う漢字が増えて複雑になってくると、ゆいは対応することが難しくなってきます。漢字を読むことはできますが、書くことと覚えることにとても苦労していました。私は焦ってお勉強系の習い事を増やしましたが、これは今振り返ると間違っていたように思います。ゆいは学校でも放課後も「自分はできない子なのだ」と思い込むようになり、本人を追い詰めてしまいました。

そこから数年してゆいの障害判定が下りるのですが、そのころにスクールカウンセラーの先生に言われたことがあります。「文字を書くことが苦手?まあ、社会に出たら文字を書く機会は減りますしそんなに気にすることはありませんよ。漢字が分からなければスマホで検索すればいいだけなのですから」

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先生の言葉を聞いて、そういう対処方法もありなのだと気持ちが楽になりました。人よりちょっと覚えることが苦手ならどんどん便利な道具を使えばいいのです。
これはゆいにも伝えてお互い気楽にいこうと話し合いました。

というわけで小学6年生の現在、相変わらず漢字の書き取りテストはさんさんたる結果ではありますが、ゆい本人は低学年のころのような自分をダメだと思い落ち込むことはなくなりました。これから先はどうなるのか分かりませんが、今のところはゆいの笑顔が見られてうれしく思っています。

執筆/吉田いらこ

(監修:千村先生より)
吉田いらこさんのこのコラムは、私たちに大切なことを教えてくれます。
ゆいちゃんは、字を書くのが苦手なんですね。手を動かすこと、筆圧を調節することなどが上手にできないのかもしれません。もしかしたら、身体の動かし方を練習したら上手に書けるようになるかも知れませんが、私は、もっと大切なことがあるのだと思います。

漢字の書き取りに苦労するゆいちゃんとお母さんへのスクールカウンセラーの先生の言葉に、ゆいちゃんもお母さんも気持ちが楽になったことと思います。
できないことをできるようになるために頑張ることも大切ですが、できないことは無理せず、楽しく取り組めることに頑張れることはもっと大切です。楽しい体験があるからこそ、ちょっと楽しくないこと、つらいことでも頑張れるのではないでしょうか。楽しい体験は頑張る原動力です。それでは、ちょっと楽しくないこと、つらいことを頑張るためにはどうしたら良いか考えてみましょう。モチベーションという言葉があります。「○○をするモチベーションを高める」などと言いますね。モチベーションには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の二つがあります。

「外発的動機付け」は、例えば、頑張って何かに取り組んだときや、何かを達成した時にご褒美が与えられること。
ご褒美がもらえることが、さらに頑張るきっかけになるというものです。一方、「内発的動機付け」は、何かに取り組むこと自体、何かを達成すること自体が喜びにつながるというものです。このような動機付けがあるからこそ、私たちは頑張って何かに取り組もうとするのです。最初は外発的動機付けも大切ですが、自発的に継続して頑張ろうとできるためには、内発的動機付けが欠かせません。できないことを厳しく指摘されて頑張れる人もいるかも知れませんが、厳し過ぎると頑張れなくなってしまいますね。

何かを達成しようとするときに成果を焦らないことも大切です。頑張って取り組んでもすぐに良い成果が得られるとは限りません。最初は、頑張ろうとするだけで良いでしょう。
モチベーションを持ち続けられることが大切ですね。ゆいちゃんも、漢字の書取りに楽しく取り組めるようになると頑張れるかな。

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