「療育の地域差」都市部の現実…選択肢は多いけど空きがない!ようやく通えた施設で息子の成長を感じて
都市部はとにかく施設の数が多い!でも、子どもの数も多くて…
Upload By べっこうあめアマミ
息子が3歳のとき、私は娘の出産のため、実家に里帰りをしました。その里帰り中の5ヶ月ほどの間、息子は私の地元の発達支援施設に通っていたのですが、里帰り後は自宅がある東京に戻らなければなりません。里帰り中は、妊娠後期の動きづらさと産後の新生児育児であたふたしながら、東京に戻ってから通う療育先探しをしていました。
私の実家がある自治体には、未就学児の療育を行っている発達支援施設は1ヶ所しかありませんでした。でも、里帰り後に暮らす東京の自治体は、調べても調べきれないほど、たくさんの発達支援施設があったのです。「これならどこかに入れるだろう」と思いましたが、現実はそんなに甘くありません。東京に限らず都市部はどこもそうかもしれませんが、施設の数が多いということは、それだけ必要とする子どもの数も多いということです。施設の数が多くても、空きがある施設はなかなか見つかりませんでした。
「里帰り後、息子はどうしたらいいのだろう…」半分泣きながら、児童発達支援センターに電話で相談しました。
すると、そこの相談支援員さんがすごく親身になってくれて、片っ端から心当たりのある施設に受け入れの相談をしてくれたのです。
それでも、なかなか希望条件に合う施設は見つかりません。ですが、最終的にその相談支援員さんが在籍している発達支援施設で、なんとか枠を確保し、息子を受け入れてくれることになりました。療育を続けられることに感謝し、相談支援員さんが神様のように思えました。
息子が通った発達支援施設、どんなところだった?
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息子が通うことになった発達支援施設は、児童発達支援を行う施設としては、おそらくその地域で最も大きな規模の施設でした。障害の程度や年齢などによっていくつかのクラスに分けられており、息子が通うことになったのは、中でも最も長時間を過ごせる、手厚いクラスです。
療育は親子分離だったので、乳児を連れて療育に付き添うことが難しい私には、とても助かりました。
そして、おそらく息子と同じくらいの発達段階のお子さんたちで構成されたクラスだったため、親同士の会話でも共通する悩みが多く、親子共にすぐに打ち解けることができました。
臨床心理士さんや作業療法士さんなどのリハビリ専門職の先生が多く在籍しており、クラスで日常的に子どもと接してくれます。療育スケジュールや各種療育のねらいなども、おたよりで丁寧に教えてくださり、定期的に「言語・コミュニケーション」や「認知・行動」の個別指導も入りました。面談もけっこうな頻度でありました。子育てや息子の発達についての悩みを悶々と抱え続けることなく、すぐに気軽に相談できる専門家がいてくれる、という安心感は大きかったです。
息子のことだけでなく、私の精神状態なども気にかけてくださり、とても行き届いた支援を行っている、良い施設にご縁をいただいたと思っています。
幼稚園と療育の併用で、大きく成長した息子
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息子は幼稚園との並行通園で、この発達支援施設に通いました。幼稚園と療育に通う生活を卒園まで続ける中で、できることがたくさん増えました。
中でも目覚ましい成長を見せたのは、身辺の自立に関することです。この施設に通いはじめた当時4歳だった息子は、靴や衣類の着脱を自分でやろうとすることはあるけれど、消極的で、完璧にはできない状態でした。排泄はほぼオムツで、パンツへの移行は全く考えられない状態でした。
でも卒園のころには、靴の脱ぎ履きは完全に自立し、衣類の着脱も簡単な声掛けでできるようになったのです。排泄の面でも、トイレでの排泄にかなり慣れ、調子がよければ幼稚園や療育に行っている間だけパンツで過ごせる日もありました。
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人とのコミュニケーション面でも、大きな成長が見られました。
息子は結局卒園まで言葉を発することはありませんでしたが、お辞儀や手をたたく、といった簡単なジェスチャーで自分の意思を示すことができるようになりました。
そして、人に対して極端に興味が薄かった息子が初めて、「お友達」を意識するようになったのです。
関わり方は不器用ですが、「同じクラスのお友達」と認識してじっと目で追ったり、手をつないだりすることができるようになりました。さまざまな療育プログラムに取り組む中で、「実は手先が器用」という息子の得意分野にも気づくことができました。親の私も気づけなかった息子の長所を、先生たちが見つけてくれたのです。
ゆっくりだけど確実に成長していった息子の姿に、 うれしさがこみあげました。
都市部の療育、ネックになるのは施設の狭さと送迎手段?
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息子が通った発達支援施設は、その地域では規模が大きな施設でしたが、駐車場はありませんでした。その施設に限らず、都市部の発達支援施設で送迎のために使える駐車場があるところは、非常に少ないのではないかと思います。私の経験則になってしまいますが、息子はこれまで、東京で4ヶ所の児童発達支援に通ってきましたが、そのいずれの施設にも駐車場はありませんでした。
これは後に利用することになる放課後等デイサービスにも通じますが、自家用車で送迎という選択肢は、基本的に考えられません。
そのため、徒歩や自転車で通えるか、送迎サービスが利用できる施設しか、選ぶことが難しかったです。
また、先に通っていた地方の発達支援施設に比べると、どうしても敷地の狭さは否めません。広い園庭がある施設はなかなか見かけることがありませんでしたし、お散歩や公園遊びもあるとはいえ、室内活動が中心でした。
療育に限らず、幼稚園や保育園、学校などもそうですが、敷地の狭さや駐車場がないところが都市部の施設のデメリットと言えるかもしれません。
多彩な療育の種類と選択肢の多さ、人が集まる場所の利点
東京で暮らしていると、日常的に通える範囲に発達支援施設が多数あることが多いです。専門的な病院でのリハビリや、専門家の個別療育を受けようと思えば、選択肢はいくつもでてきます。療育の種類もさまざまで、その選択肢の多さは魅力的です。冒頭に書いたように、子どもの数も多いことから利用待機になることもありますが、「選べる」ことは人が集まる場所の利点だと感じます。
本来であれば、どこに住んでいても等しく選択肢があるべきだとは思いますが、実際はそうもいかないのかもしれません。もっと世の中に療育の必要性が広がり、より多くの子どもたちが、求めるような支援サービスにつながりやすくなるといいなと思います。執筆/べっこうあめアマミ
(監修:初川先生より)
地方と都市部、両方の療育機関を利用されたご経験からの都市部での療育機関の特徴をお知らせくださりありがとうございます。東京は特に選択肢の多いエリアです。交通網も発達しているので、遠くから通う方もいらっしゃり、いつも満員御礼状態で稼働している機関も多くあるのが現状ですね。アマミさんがされたように、まずは居住する自治体の発達支援センターなどに問い合わせ、地域の似たようなお子さんを持つ方々がどのような機関を使っているかを聞いてみることが良いかと思います。民間機関の情報は最終的には保護者の方が動いて情報を集めることも出てきますが、地域のつながり、横のつながりからそうした情報が入ってきやすくなるようにしておくと良さそうです。
アマミさんのお子さんは幼稚園との並行通所で、出来るようになったことがたくさんあったとのこと、何よりです。
子どもの発達が著しい時期に、専門家の働きかけや助言を活用しながら子育てできることはとても心強いですね。