てんかん(癲癇)とは?原因や発作のパターンをイラストで詳しく解説。4つの診断の種類なども【医師監修】
てんかんとは?
Upload By マンガで分かる発達障害のキホン
Upload By マンガで分かる発達障害のキホン
Upload By マンガで分かる発達障害のキホン
Upload By マンガで分かる発達障害のキホン
Upload By マンガで分かる発達障害のキホン
てんかんとは慢性的な脳の疾患(障害)で、大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作症状を引き起こす疾患です。年齢・性別・環境に関わらず発作は発症します。
日本では約100万人のてんかん患者がいて、およそ100人に1人の割合でてんかんにかかっているという身近な疾患です。
てんかん発作は突然倒れて意識を失い、四肢をピクピクまたは、硬直させる発作だけでなく、体の一部が勝手に動いたり、会話の途中にぼんやりしたと思ったら意識を失っていたりといったタイプの発作などもあります。
てんかんの“発作を起こしやすい体質”は遺伝する可能性があります。しかし、たとえてんかん発作を起こしやすい遺伝子を受け継いだとしても、全ての方に発作が発症するとは限りません。またこのようなてんかんの多くは良性のため、治療しやすいといわれています。
てんかん発作は、場所や時間を選ばずに発症するため、たとえば子どもがプールで遊んでいるときや、入浴中、車の運転中などに発作が起こり、大きな事故につながる可能性もあります。
早期治療やできる限りの注意が必要です。
https://www.jea-net.jp/epilepsy
参考:てんかんとは|公益社団法人 日本てんかん協会
てんかんの原因って?
てんかんは大脳の神経細胞が過剰に興奮することで発作が引き起こされるものです。そもそも大脳皮質とは脳の表面を覆い、複雑な思考などに深く関わっている部分になります。
脳内で情報を伝達しあうために働いているのが神経細胞(ニューロン)です。神経細胞は微弱な電流を流れることによって、必要な機能にかかわる神経細胞にスイッチが入ります。多数の神経細胞が繋がり合うことで脳の必要な部位が連携し、適切な行動を再現しています。
ところが、何らかの原因で大脳の神経細胞が過剰に興奮し、不要な神経細胞にスイッチが入ることがあります。それによって神経細胞が異常に興奮した結果、けいれんなどの発作が引き起こされます。
てんかんの主な症状の「発作」とは?
てんかんの主な症状は「発作」です。発作にはいくつかのパターンや種類があります。ここでは、てんかん発作の種類を紹介していきます。
目を開いたまま瞳が上転し、歯を食いしばり、呼吸が一時的に止まったり、けいれんをしたりします。体全身をこわばらせ突っ張る発作のことを強直発作、全身特に四肢がガクンガクンと大きく動く発作を間代発作、こわばりからけいれんが起こる強直間代発作などがあります。
起きているときに、両手足が一瞬ピクッと動くミオクロニー発作や、頭部、目時に体幹が不自然な動き、姿勢をとる運動発作があります。また、力が抜けて立っていられず倒れてしまう脱力発作などもあります。
会話の途中などで突然意識を失い、体のすべての動きが止まってしまう複雑部分発作や欠神発作があり、ぼんやりしたままウロウロ動き回ることもあります。
おおむね、すぐに回復しますが、意識を失っていた間のことは覚えていません。また脈絡のない言葉を発したり、はっきり喋ることができなくなる失語発作などもあります。
体の一部がしびれたり、感覚がなくなる体性感覚発作や気分が悪くなる自律神経発作、視覚や嗅覚、聴覚などに異常が起こる感覚発作がも挙げられます。また不安や恐怖感をあおるような精神発作もあります。症状を一見すると精神疾患と思われますが、脳波などの検査をして、脳の神経細胞の過剰興奮によって引き起こされているものだとわかればてんかん発作と診断されます。
てんかんの分類は?どのようなタイプがあるの?
てんかんは4つのタイプに診断され、それぞれのタイプに合わせた治療が適用されます。ここでは、てんかん症候群分類として現在広く知られている、国際抗てんかん連盟(ILAE)が1989年に発表した「てんかん、てんかん症候群および関連発作性疾患の分類」の分類をご紹介します。※2017年3月にILAEではてんかん発作とてんかん分類について新しい提言を発表しました。
そのため今後は徐々に2017年分類が国際基準となっていくことが予想されます。
まず、てんかん発作は脳の一部から始まる「部分発作」と右脳と左脳が同時に興奮状態に巻き込まれる「全般発作」の大きく2つに分類されます。
部分発作は、脳の一部の神経細胞が異常興奮を起こし発作が始まるタイプのものです。発作時に意識障害がない場合は「単純部分発作」といい、意識障害を伴っている場合は「複雑部分発作」といいます。
Upload By マンガで分かる発達障害のキホン
全般発作は脳全体の神経細胞が異常興奮を起こすことで発作が起きるタイプのものです。またミオクロニー発作以外では意識消失を伴います。意識を短時間失うような発作から、体の筋肉がけいれんしたり、こわばったりするものまでさまざまな発作症状があります。
部分発作だけで治まることもあれば、部分発作から始まり、全般発作に変化する二次性全般化発作もあります。
Upload By マンガで分かる発達障害のキホン
これら発作型の「部分発作」と「全般発作」に加え、てんかんの原因である「特発性(病変がなく発作を起こしやすい体質がある)」と「症候性(病変などにより脳の異常興奮が起こる)」によって4つのタイプに分類すると、次の図のように分類されます。
Upload By マンガで分かる発達障害のキホン
脳にはっきりとした病変はありませんが、体質により脳の一部で体質により過敏になり、神経細胞の異常興奮がおこるため、部分発作が起こります。幼児期から学童期に多く発症しますが、成長とともに自然に治るものが大半です。体質による過敏性が、成長とともにやわらいでいくこともあると考えられています。
【主なてんかん症候群】
・中心、側頭部に棘波(きょくは)をもつ良性小児てんかん
・後頭部に突発波をもつ小児てんかん
など
上記と同様に脳にはっきりとした病変はありませんが、脳全体が過敏になり異常興奮がおこることで全般発作が起こります。多くは小児期から思春期にかけて発症し、25歳以上の発症はまれです。薬物療法が効果的で適切な治療を続けているかぎり、発作は起こりにくくなります。ただし薬を辞めると途端に再発する場合があるので注意が必要です。
【主なてんかん症候群】
・小児欠神てんかん
・若年欠神てんかん
・若年ミオクロニーてんかん
・覚醒時大発作てんかん
など
発作の引き金となる病変があると考えられ、部分発作を起こすてんかんです。原因がさまざまゆえ、年齢を問わず発症する可能性があります。薬物療法が効きにくいといわれていて、発作の抑制が難しい場合もあります。病変を切除することで発作が起こらなくなることもあります。
【主なてんかん症候群】
・側頭葉てんかん
・前頭葉てんかん
・頭頂葉てんかん
・後頭葉てんかん
上記と同様に発作の引き金となる病変があると考えられ、全般発作を起こすてんかんです。
多くは幼児期~思春期に発症します。また発作が頻繁で、部分発作も全般発作もみられる場合が多いといわれています。てんかんを繰り返すことで知的発達面にも遅れが出やすくなります。
【主なてんかん症候群】
・ウエスト症候群
・レノックス-ガストー症候群
・ドラベ症候群
・進行性ミオクローヌスてんかん
など
まとめ
てんかんの主な症状は「発作」です。発作にはいくつかのパターンや種類があり、発作が起きている様子を見ると動揺してしまう場合もありますが、冷静になって動画を撮影するなどの行動で、その後の医療機関受診の際の問診でより医師に症状を伝えやすくなります。
また、気になる症状があったらかかりつけの医師に相談することも重要です。