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登園拒否を経験した発達障害娘。場所見知り、人見知り、見通し不安…親子で追い詰められないために【専門家によるアドバイスも】

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場所見知り・人見知りのある娘

登園拒否を経験した発達障害娘。場所見知り、人見知り、見通し不安…親子で追い詰められないために【専門家によるアドバイスも】

Upload By 古都 コト子(koto)

発達障害のある娘は、療育に行き始めたばかりの幼児期に場所見知り&人見知りがあり、1年近く行き渋りをすることがありました。療育園だったので、娘にとって過ごしやすく楽しい場所になるようにたくさんの配慮がなされていたのですが、それでもこの世の終わりのように泣き叫び、そんな娘を無理矢理連れて行くことに疑問を感じる日も多々ありました。

これが学校のように義務とされている場所だったら、行き渋りはとても悩ましい問題だったと思います。通っていた療育園では、行き渋る子どもはパジャマのまま登園しても許され、活動に参加できないときも寄り添ってくれる先生がいました。そのうちに、娘も安心して心を開けるようになったのか、3年目からはむしろ喜んで行くようになりました。家族以外の人に心が開けるようになったのは良かったですが、時間が必要でした。

行き渋りから登園拒否へ


娘はどの療育園でも大好きな先生やお友達と楽しく過ごせるようになりましたが、年齢が上がるにつれ、合理的配慮や手厚い支援の少ない場所で過ごすことに対し、不安感や拒否反応を示すようになりました。

療育園での過ごしやすさと比べてしまい、娘にとって居心地の悪さを強く感じる場所だったようです。
みんなと同じように過ごすため、最初はかなり頑張っていましたが、徐々に「行きたくない」とこぼすようになりました。そして、それは行き渋りから登園拒否へとつながっていきました。

コロナ禍ならではの不安も

登園拒否を経験した発達障害娘。場所見知り、人見知り、見通し不安…親子で追い詰められないために【専門家によるアドバイスも】

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朝起きると「行きたくない」と言い、朝ごはんを食べさせたり着替えをさせることが困難でした。それでも園に行けば楽しいこともあるので、必死に説得しながら身支度をしていました。また、ご褒美を用意しておくことが有効だったので、毎朝、行き渋る娘に「今日は帰りに〇〇(娘の好きなおやつ)を買って帰ろう」「次のお休みは〇〇(娘の好きな場所)に連れて行ってあげる」と声を掛け、やる気を引き出していました。

コロナ禍では、「健康な児童であっても休めるときはなるべく休ませてください」といった休園要請が出たためお休みする子どもが多くなり、娘もその影響で休園要請が終わっても休みたがる日がグッと増えました。今日は休めるのか休めないのか、クラスメイトは誰が来ているのか、当日になるまで分からないコロナ禍での日々は、ルーティーンを大事にする娘にとって、とても不安な毎日です。

行き渋る理由が深刻で解決が難しい場合は

登園拒否を経験した発達障害娘。場所見知り、人見知り、見通し不安…親子で追い詰められないために【専門家によるアドバイスも】

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行き渋りや登園拒否があっても、未就学児の場合は休ませたり、まだ体が小さいので抱っこをしたりして行かせることができる場合もありますが、小学生以上になってくると、体も大きくなってきて精神面でも成長しているので、無理に学校に行かせようとしても難しくなってきます。
先生やクラスメイトとの人間関係が原因だったりすると、簡単に解決できる問題でもなくなります。行きたくない理由を正直に話せる子どももいますが、本心を話せない子どももいます。

現在はフリースクールや通信教育を受けられる機会も増えているので、行き渋る理由が深刻で解決が難しい場合は、それらを検討してみようと思っています。また、日ごろより意識して、先生から話を聞ける関係性をつくっておくと、対策が考えやすくなるのではないでしょうか。友達だと言っていた子どもと実は仲が悪かったり、トイレに行くのが苦手だったり、意外な理由のこともあるようです。

行き渋り、不登校は親子で追い詰められる場合が多いので、同じ悩みを抱えている人たちと情報交換をしたり、感情を共有することも大事にしたいです。家と学校以外に居場所があることは、保護者にも子どもにも良い影響があるのではないでしょうか。

執筆/古都 コト子(koto)

(監修:初川先生より)
娘さんの行き渋りについての思いをありがとうございます。
古都さんの思いを読んで、なるほど、保護者の方がお子さんの行き渋りに対してできることは、どのように行かせるか(朝説得をするなど)、帰ってきたときにどんな対応をするか(ご褒美を用意する、それを朝から予告しておくなど)がまずは取り掛かりやすい部分なのですね、ということでした。

古都さんは、お子さんの園での行き渋りについて書いてくださいましたが、私が現在小学校でスクールカウンセラーをしており、就学後のお子さん・ご家族の登校渋りに際してのご相談を受けることが多くあります。そこで、就学後の対応についてもご紹介したいと思います。スクールカウンセラーとして多くの登校渋りや不登校のお子さんや保護者の方と関わっていますが、お子さんにとって学校が過ごしやすくする環境調整がとても大切だなと感じます。教育機関では学校と保護者との協働作業なのだと考えると分かりやすいでしょうか。たとえば、お子さんについての「こういうときにはこうなる」という情報を学校に伝えます。そのうえで、例えば学校での1日の流れや各授業での内容を細やかに予告する、難しい単元については家庭とも連携して予習してもらう、トイレ休憩や休み時間の過ごし方の打ち合わせをしておくなどの手立てを取ることができます。

担任の先生や特別支援コーディネーターの先生などとの密な打ち合わせが初期には必要です。
その中で、学校という環境の中でお子さんがどんな苦手さを持っているのか、どんな場面なら楽しく過ごせるかについて、学校側も理解を深めていくことができます。あまりに渋りが激しい、あるいは、お子さんが登校するととても疲弊してしまうなどの場合には遅刻・早退や別室対応が可能かどうかなども検討するかなと思います。

そうした中で、大事なのは、お子さんが学校で楽しかった・勉強が分かってよかったなど、何かしらの「よかった」経験をすることです。集団生活なので、すべてがよかったとなることは難しいです(これは発達特性の強めなお子さんだけでなく、誰しもそうだと思います。万事うまく過ごせてよかったと思う日はそうそうあるものではありません)。だからこそ、少しの戸惑いや嫌なことがあろうとも、総じて、今日もそれなりであったと思えるようにするための土台として、お子さんがつらくない環境をベースとしてつくっておくこと、そこに学校と一緒に取り組んでいただけたらと思います。

まずは、担任や特別支援コーディネーター、あるいは養護教諭、管理職の先生、またはスクールカウンセラーなど、お子さんの様子も見ることができ、環境そのものに働きかけることができるポジションの方と一緒にそうした環境調整やトライアンドエラーによるうまくいく・いかないことの積み重ねを進めていただけたらと思います。

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