過集中な小2息子、工作に没頭してハサミを下級生に!?親子で謝罪に向かったお宅での沁みた言葉ーーユーザー体験談
衝動性が高く、口下手だった息子
小学校低学年のころの息子は多動性や衝動性が強いところが目立ちました。また、口下手なところがあり、自分の気持ちをうまく伝えられないという面がありました。精神的にも少し幼いところもあったからか、年下の子どもと気が合うようで、よく一緒に遊んでいました。
工作になると過集中状態、そして…
そんな息子ですが、工作が大好きで、家でも通っていた学童クラブでも、暇さえあれば何かを作っていました。
工作中は過集中状態になっていることも多く、一心不乱。話しかけても気づかないこともしばしばでした。
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その日も学童で、工作に熱中していたようです。1年生の男の子が、息子と遊びたくて話しかけてきました。
しかし、息子はしばらく返事もせず工作に没頭。
1年生はかまってほしくて、目の前にしゃがみ込み、めげずにずっと声をかけてきてくれていたようです。すると…息子は手に持っていたハサミを目の前にあった1年生の足にむけ…無言でジョキリとソックスを切ってしまったのです!
1年生は驚いて泣き、学童クラブの先生もあわてて仲裁に…。会社から帰宅途中だった母の私にも、学童クラブから連絡の電話が入りました。
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「やめて」と言う前に刃物を向けてしまうなんて…さすがにショックを受けました。
1年生の子のママとは、PTA活動などで話したこともあり、連絡先を知っていました。私は学童の先生からの電話を切るとすぐに彼女に電話を入れ、「謝罪に伺いたい」と伝えると、受け入れてくれました。
息子と一緒に謝罪へ
1年生の家に謝罪に向かう前に、息子としっかりと話をしました。
「いやなのであれば、やめて、と言葉で伝える」
「刃物はけがをさせてしまうこともある。絶対に人に向けてはいけない」
冷静になった息子は、ようやく危険な行為をしてしまったことに気づいたようで、落ち込んでいました。
そしてすぐに、会社近くのデパートで購入した新しいソックスと菓子折をもって、謝罪に向かいました。相手のお宅への道中、暗い夜道を息子の手を引いて歩きながら、泣きたいような気持ちになったのを覚えています。
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緊張しながら呼び鈴を鳴らすと、顔を出した1年生のママは、夜の忙しい時間にもかかわらず、そのまま自宅に迎え入れてくれました。ダイニングまで上がらせてくれるとお茶をすすめ、少し落ち着いてから、息子に対して、静かに静かに諭してくれました。
集中しているときに邪魔をしてしまったのはよくなかったけれど、刃物を向ける前に言葉で「やめて」と伝えてほしかったこと。刃物でもし相手にけがをさせてしまったら、血が出たり、場合によっては障害も残り、大変なことになること。
けがをさせてしまったら、けがをさせた側もけがさせられた側も、心が傷つくだろうこと。
息子にも分かるように、ゆっくり、しっかり、話してくれました。
責めたてられても拒絶されても当然の行為をしてしまったのに、厳しいけれども芯のところはあたたかく叱ってくれた1年生のママに、私は深く深く感謝しました。
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厳しくも息子を包み込んでくれた1年生のママの存在
その後、1年生と息子はさらに仲良くなり、息子が学童をやめるまでよく一緒に遊んでいたようです。子どもの気持ちに寄り添いながらも、言うべきことはきちんと言い叱ってくれたママの存在は、息子にとって貴重なものになっていると思います。
1年生のママは、私よりずっと若くきれいな人でした。きっと10年は私のほうが長く生きていただろうに、彼女は私よりずっと精神的に大人でした。以前の私は、息子の友人たちに対してうまく叱ることができず、トラブルに直面しても、あいまいに「大丈夫だよ」と言ってしまう場面もあったように思います。
でもそのために、子どもたちは学ぶ機会を失っていたかもしれません。
息子にとっても大切な言葉をくれた1年生のママは、私にも大切なことを教えてくれました。いまでもふとしたときに思い出される出来事です。
イラスト/taeko
エピソード参考/あっきー
(監修:三木先生より)
とても理解のある優しいお母さんで良かったです。こうやって、いろんな大人がいろんな子どもの未来を案じて真剣に向き合ってくれることはとても大切なことです。しっかり振り返りもできて、またお子さんの成長につながると良いですね。