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知的障害のある自閉症娘、同僚の結婚式に連れて行って大後悔。いろいろな体験をさせてあげたいけれど…母の葛藤と思いーーユーザー体験談

LITALICO発達ナビ

自由人で言葉での意思疎通が難しいASD、知的障害、先天性の疾患のある娘


わが家の小3の娘は2歳のときにASD、知的障害、先天性心疾患などの診断がおりました。自由人で言葉での意思疎通が難しい娘。そんな娘が3歳のときに、夫の会社の同僚の方から結婚式に招待をされました。その方とは私も独身時代からの知り合いで、子どもが産まれてからもよく家に遊びに来てくれていました。

子どものこと、そして子どもの障害についても、ある程度話しており、娘のこともよく可愛がってもらっていました。

「人数も少ないのでぜひ、結婚式に来てほしい」と言われ、娘を連れて行くのは大変だろうと想像はできたのですが、いつもお世話になっているので行くことを決めました。

結婚式に招待されて。障害のある娘も連れて行ったけど…


結婚式当日。もちろん娘は結婚式に行くなど分かっておらず、家族でどこかにお出かけをするのかな…といった感じでした。
結婚式場につくと、知らない人がたくさんおり、娘はソワソワし始めました。

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知らない場所ということもあり、娘は式場に入りたくなさそうな様子でした。それでも式の時間は刻一刻と迫ってきます。仕方なく無理矢理会場へ入れると全力で逆らって出て行こうとする娘…。しばらくすると慣れてきたのか式場内を駆け回りはじめました。

結婚式場での娘の行動に…


式場には写真を撮ったり、歓談をしている人がたくさんいましたが、娘はそのような人たちを気にせず全速力で自分の気に入る場所を見つけに行きました。また、スピーチ中に突然大声を出したり、絨毯敷の床でゴロゴロ寝転がっていたり。立ち入り禁止の場所にも無理矢理入って行こうとするので常に私は止めに入り、娘をおさえつけておく必要がありました。


周りの人たちの中には娘の行動にとてもびっくりしている方もいました。「子どもだししょうがないよね」と優しく声をかけてくれる方もいましたが、多くの方は娘の様子に驚き、関わりたくないといった様子でした。

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もう式場内にいられない、と思った私は娘をつれて一旦会場を出ました。

スマホで動画などを見せて落ち着かせようとしましたが、娘はスマホを私の手からうばい取ると、姿勢を崩して動画を見始めました。おとなしくなり、娘も安心したかのように見えましたが、やはり普段と違う場所が落ち着かないのか、終始ソワソワしていました。

お世話になってる方の結婚式で、祝福したい気持ちはもちろんありました。ですが、娘の様子を見て私は心の底から「留守番していればよかった、連れてこなければよかった」と思ってしまいました。

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娘にいろいろな体験をさせてあげたいけれど


私たちは家族なので、娘がどんな行動をとっても受け入れることができます。


しかし、今回一番つらかったのは周囲の目でした。周りの驚き、「なぜ静かにさせられないのか」という思いを、痛いほど感じました。結婚式という特別な場です。式に行く前から「絶対に迷惑はかけられない」と気負っていた分、「迷惑をかけてしまった」ことは、私の心に重くのしかかりました。知人にも、参列者にも、そして慣れない場に連れてきてしまった娘にも申し訳ない気持ちになりました。

それ以降、子どもにいろいろな経験をさせたいと思う一方で、他人に迷惑かけてしまったらと思うと、なかなか勇気が出せないでいます。また、他人の視線に私たちも傷つきたくない、という気持ちもどこかにあるのも事実です。

姉のピアノ発表会でのヒヤリ体験。そして今、感じること。


その後、長女のピアノの発表会が何度かありましたが、静かにすることができない、椅子にじっと長時間座っていることができない、突発的な行動をすることから、娘は留守番をさせていました。


ですが本人が「発表会に行きたい」と言ったときは、長女の出番のときだけ発表会会場に入ったことがありました。最初は静かに座っていましたが長女がドレスを着て舞台で主役になっているのを見て羨ましく思ったようで、ほんのちょっとした隙に、長女の演奏中に舞台中央に走っていってしまいました。

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長女の友達や、その保護者はやさしく見守ってくれましたが、親としては、とても焦り蒼白となった出来事でした。

障害のある娘が、長女のようにドレスを着て発表会の主役になることは難しいかもしれません。そんな娘のことを思うととても複雑な気持ちになりますが、娘が娘らしく楽しく過ごしていけるように、親としてできることは何か、日々考えていきたいと思っています。

小3になった今も、興味のないこと、想像と違った事に対してはすぐ飽きてしまい、長時間静かにすることは難しく、お出かけの際に我慢をさせてしまうことも多いです。しかし、我慢して出かける形になっても、いざ出かけると楽しそうにしていることもあり、最近では、出かける前に、「どこに」「何をしに」「何の乗り物で」「誰と行く」「誰と会う」を紙に書いて目で見て読ませ、想像が難しくても説明をし、娘が納得してから出かけるようになりました。

途中で飽きたり、ぐずり出すときもありますが、短い時間だけでも我慢するように約束し、一度した約束は、こちらも引き伸ばさず、どんなときでも守るようにしています。
そうすることで、成功体験と、約束を守る信頼関係につながり、少しずつではありますが、娘も成長し、我慢と納得ができるようになってきています。

イラスト/SAKURA
※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。

(監修:井上先生より)
小さいうちからいろいろな体験をさせてあげたいという親御さんの思いは納得できます。一方、お子さんにとっての新規な場面は興奮や多動につながりやすいですし、周りの目も気になる、といった葛藤に悩まされるかもしれません。イベントの途中で十分な休憩を挟めるような場所を確保したり、スポット参加を工夫をすることで、トライすることも良いでしょう。

また、視点を変えて「少し大きくなってから」にしていくのも一手です。年齢と共に行動も変化し、参加できることは徐々に増えていくと思います。少し大きくなって、それらの刺激が受け入れられるようになってから体験するというのもありかもしれません。
焦らず無理せず、そして工夫も加えて親御さんもイベントを楽しめる環境がつくれるとよいですね。

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