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ASD息子の長所って…どこ!?「短所は裏を返せば長所に」ならない?トラブルの多いわが子を観察してみたら

LITALICO発達ナビ

長所を伸ばすことについて、改めて考えてみると…

ASD息子の長所って…どこ!?「短所は裏を返せば長所に」ならない?トラブルの多いわが子を観察してみたら

Upload By 丸山さとこ

発達の凸凹が大きい子どもを育てる上で、「短所ばかりに注目しない」「長所を伸ばすことが大事」と聞くことはしばしばあります。一見すると弱みに見えるところにも強みが隠れていることがあり、そこを活かせるようサポートすることで子どもが自信をつけられるとも聞きます。

先日もそのような話を聞いたため、改めて「コウの長所ってどこだろう?」と考えてみると、「ここが!長所です!!」と明言できるポイントはよく分からないことに気付きました。

彼の長所はたくさんあると思います。ですが、安定して(?)長所だと言えるところをとりあげようとすると中々定まりません。

コウは声が大きく、授業中の発言や発表などでは聞き取りやすく堂々とした雰囲気で話すため、そこは長所なのかな?と思います。ですが、その『声の大きさ』はトラブルを生むこともあります。

中学生になり、以前よりは調節できるようになったものの、今でも「丸山、声でけえ!」「うるさい」と言われることはあるようなので、分かっていてもコウにとって難しいところなのかもしれません。


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そのようなとき、解決方法として『合う環境を選ぶこと』がよくあげられます。実際、コウにとって有効なことも多いようです。

そんな中で、合う環境にもいろいろあるのだろうなと思うようになりました。コウの長所が発揮できる環境は『長所が活かされる環境』の場合もあれば『短所が目立たない環境』の場合もあったからです。

コウの長所が発揮できる環境って、どんな環境だろう?


コウの声の大きさや主張の強さは、発表の場ではよく活かされます。ただし、『発表をできる環境』には『コウ以外の人の発表』もあるため、それらの発表を聞くことも大切になってきます。

普段から「人の話を聞いていない」と言われることの多いコウは、担任の先生から「人の発表も聞きましょう」と注意を受けることもしばしばありました。

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別のときには、個人懇談にて先生から「コウ君がほかの子の発言を『今言われた〇〇というのは間違っていて…』と否定して発言してしまうことで、萎縮してしまう生徒がいます」と聞いたこともありました。


それらの話を聞いた私は、家庭にて「発表ではほかの人の話も聞くこと」「発言をするときは、ほかの人の意見を踏み台(枕)にしないこと」を話しました。その後それらの行動は出なくなったとのことでホッとしましたが、長所を活かすことの難しさを感じる出来事でした。

そんなコウでしたが、いろいろな発表の場を見ていくうちに、『発表の場で緊張しないこと』がシンプルに活かされる場もあることが分かってきました。

例えば、楽器演奏の発表では言葉を使わないため、『人の発言を押しのけたり踏んだりすること』は起きません。緊張せずに練習の成果をしっかり活かせるため、コウの短所は目立たずに長所が目立ちます。

人の話を聞くのが苦手なコウも演奏には集中しやすいそうで、人の発表にも耳を傾けて参考にするようになりました。

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ほかにも、トラブルの原因になりがちな『自分の意見がハッキリしている』ことや『理由にこだわる』ところも、レポート作成には活かされることが分かりました。

普段人に話せば「説明が長い」「言い訳ばかり」「講義か」と言われるようなことでも、レポートであれば思う存分書くことができます。


堂々と発表ができることは『話す』こと以外で活かし、意見があって理由にこだわるところはレポートに活かす。コウの持っている要素を長所として活かすために「長所を細かく丁寧に見ること、いろいろな環境を試すこと」は大切なのだなと改めて思いました。

短所は長所の裏返し…なのか?


また、短所については「短所も裏を返せば長所になる」と言う言葉を聞くことがあります。実際、短所としてのみ注目されていた要素が『長所になる面』も持っていることも、たくさんあるだろうと思います。

ですが、凸凹の目立つ子どもの場合はストレートに「短所も裏を返せば長所になる」とはいかないことも多いのではないか?とも思います。

例えば、前述のようにコウは声が大きく主張もハッキリしていますが、それは『周りとの違いを怖がらないから言える』のでありません。『周りが見えないので怖がることなく言える』ため、周りが見えない結果トラブルにつながることもたくさんあります。

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神経発達症(発達障害)がある子どもは、「こだわりが強い」ことでトラブルが起きやすい反面「粘り強さや一途さがある」とされることも多く、これなど、まさに「短所を長所に!」にあたるのではないかと思います。


ですが、子どもと接していると「こだわりは強いが粘り強くはない」というケースも結構あるのではないかと感じます。

ほかにも「完璧主義だけど責任感は強くない」「マイペースにやりたがるが、特に丁寧ということもなく作業が雑」など、一般的にセットとされるはずの「短所は長所でもある」が通用しないことも多いような気がします。

「裏を返せば」は、見方を変えるヒントの一つなのかも?


こうして書いていくと、「短所は裏を返せば長所なのかも?」という言葉に懐疑的なように思われるかもしれませんが、私はそれも一つの良い見方なのだろうと思っています。

一つの要素も、短所だと思い込んで見れば良い面が見えなくなることがあります。そんなときに、「こっちから見てみたらどうかな?」と新しい光の当て方をしてくれる方法が「裏を返せば」「見方を変えれば」という言葉になっているのではないかと考えています。

ただ、『見方を変えようとして別の角度から光を当てているはずなのに、返って見えなくなることもあるのかもしれないな?』と思うことはあります。

「落ち着きがない」という短所は、「好奇心旺盛で活発」などの長所でもあると聞いたことがあります。そういう子どももたくさんいるのだろうと思いますが、中には「好奇心旺盛ではなく活発でもないが落ち着きがなくなってしまう」子どももいるのだろうと思います。


その子の場合は、『好奇心の向くままに活発に動けるように、じっとしなくていいように』支援するのではなく、『見通しを立てたり不安を解消したりする』ことや、『刺激を減らして落ち着けるようにする』ことが、その子にフィットした支援になるかもしれません。

もちろん、「好奇心旺盛で活発なため落ち着きがない」場合は、その子が好奇心のままに自由に動ける環境や「先生に希望を伝えてから移動する」などの手続きを教えることがサポートになるのだろうと思います。
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そうしていくと、よく言われがちな『その子にあった支援を』ということになるのだと思いますが、それが難しいのですよね。自分で書いておきながら、「それが簡単にできれば苦労せんわい!」という気持ちでいっぱいです。

ある要素や出来事を『短所として見ること』だけでなく、『短所の中に長所を見出そうとすること』すら素直な目線を奪うことになりかねないのだろうと考えると、他者を見るとは何と難しいことなのだろうと思います。

園や学校や医療機関や、療育園や放課後等デイサービスなどなど…いろいろな場所や人の力をお借りしながら、コウの中にあるさまざまな要素や可能性を見ていけたらいいなぁと考えています。

執筆/丸山さとこ

(監修:藤井先生より)
息子さんの長所・短所を探すのは、息子さんの行動や特性を振り返る良い機会になったのだと思いました。さまざまな視点で行動を観察してみると、強みが見つかりやすいですね。
「その子にあった支援」には、お子さんの成長によって変わってくる部分もあります。お子さんに関わっているいろいろな人と相談しながら、強み探しをしていくのが大事ですね。

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