抗てんかん剤「リボトリール(クロナゼパム)」の効果や副作用は?離脱症状についても解説【医師監修】
てんかんとはどのような病気?
てんかんとは、突然意識を失い反応がなくなるなどの「てんかん発作」を繰り返す病気です。乳幼児から高齢者まで誰でも発症する可能性がある病気の一つで、患者も100人に1人と決して珍しいものではありません。
原因は人それぞれで、脳腫瘍や頭部外傷後遺症など明らかな原因がある場合は「症候性てんかん」、原因不明の場合は「特発性てんかん」と呼ばれます。
また新生児から思春期までに出るてんかんを「小児てんかん」と呼び、1歳までの発病が最も多く、そのほとんどが症候性てんかんです。また幼児期から学童期にかけては、話していたり何かをしていたりするときに突然意識がなくなる欠伸てんかんや良性小児てんかんなど、成人までに治ることが多い特発性てんかんが多いという特徴もあります。
なお、欠伸てんかんは意識がなくなるのが数十秒と短いことも多く、痙攣などの症状も起こらないので周囲から気づかれない場合も。集中力に欠ける、授業中にぼんやりしているなど誤った認識を周囲からもたれてしまうこともあります。
小児のてんかんは、発作のコントロールなどはもちろんですが、本人と保護者、そして医師や医療機関が連携し、本人にとってより良い環境をつくること、日常生活や学校生活が問題なく送れるようにすることなども大切です。
リボトリール(クロナゼパム)の効能・効果
リボトリール(一般名:クロナゼパム)は大人にも子どもにも使うことができるベンゾジアゼピン系抗てんかん薬です。同様のベンゾジアゼピン系抗てんかん薬としては、「ランドセン」などがあります。
ベンゾジアゼピン系の薬は、脳の興奮を抑えてリラックスをさせる働きがあります。そのため、脳が興奮することで引き起こるてんかんなどの症状を和らげることができるのです。通常、手や顔の一部がピクピクと動く「小型(運動)発作」、さまざまな意識混濁に口をモグモグさせたり、衣類をまさぐるなどの症状の「精神運動発作」、吐き気、急に動悸がするなどの症状がでる「自律神経発作」の治療に用いられます。
もう少し詳しく解説すると、脳内のベンゾジアゼピン(BZD)受容体が活性化されると、抑制性の神経伝達物質であるGABA(r-アミノ酪酸)の作用が高まります。リボトリールは、ベンゾジアゼピン(BZD)受容体に作動薬として結合し、GABAによる抑制性神経伝達を高める作用があります。てんかん治療のほかに、片頭痛発作発症の抑制や自律神経発作にも使われる薬剤です。
開発されてから30年以上がたち、効果が優れていて安全に使用できる薬剤として、リボトリールは広く使用されています。
リボトリール(クロナゼパム)の用法・用量
リボトリールには、0.5(1/2)mg、1mg、2mgの錠剤と0.1%、0.5%の細粒があります。
通常、初回量主成分として1日0.5〜1mgを1〜3回に分けて服用します。その後は、症状に対して効果があらわれるまで、徐々に量を増やして様子を見るのが一般的です。通常、維持量は1日2〜6mgを1〜3回に分けて服用します。
乳幼児の場合は、初回量主成分として、体重1kgあたり、1日0.025mgを1〜3回にわたって服用。それ以降は効果があらわれるまで徐々に量を増やしていくことになります。通常、維持量は体重1kgあたり、1日0.1mgを1〜3回に分けて服用します。
飲み忘れた場合は、気がついたときに1回分を服用するのが一般的ですが、次の服薬時間が近い場合は1回飛ばして次の時間に1回分を飲みます。2回分を1度に飲むのは禁止です。
薬の増減や停止は医師の判断に委ねてください。保護者の判断だけで服用の中止をしてはいけません。急に薬の量を減らしたり、飲むのをやめたりすることで、てんかん発作に繋がったり、なかなか症状が回復しないという状態があらわれることがあるので、注意してください。
リボトリール(クロナゼパム)の副作用
リボトリールには、眠気、ふらつき、呼吸をするときにゼーゼー、ヒューヒューと音がする喘鳴、唾液増加などの副作用が認められています。このような症状が認められ、深刻な場合には医師に相談するようにしてください。
また、薬を使い続けることによって、薬物依存が生じる可能性があります。
急激な薬の量の減少や投与の中止で、痙攣発作、せん妄、不眠、不安、幻覚症状などの離脱症状があらわれることがあります。
医師の判断で薬を服用していれば基本的に離脱症状が出ることはないはずですが、万が一服用中に上記のような症状が出た場合には必ず医師に相談し、指示をあおいでください。
繰り返しになりますが、薬の増減、または中止は医師の判断に基づいて行うことが必須です。保護者の判断で服薬を止めるようなことはやめましょう。
まとめ
今回の記事では抗てんかん剤リボトリール(クロナゼパム)について解説しました。副作用や離脱症状などについても紹介しましたが、医師の指示に従い、決まった用量や用法を守って服用すれば、安全な薬です。
小児から思春期は子どもにとって、とても大切な期間。てんかん発作を恐れるあまりに、やりたいことができない、行きたいところにいけない…とならないように、うまく薬を利用して、発作をコントロールできるようにすることが重要です。
症状についてはもちろんですが、服薬についても不安なことがある場合には事前に医師と話し合い、本人はもちろん、保護者の方も納得したうえで進められるようにしてください。