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学習のつまずきは小学校低学年から?就学前にチェックしたい図形の模写から知る発達の目安もーー児童精神科医・宮口幸治先生

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学習のつまずきは小学校低学年から


私は児童精神科医として、これまでさまざまな自治体で、教育相談や学校コンサルテーション(教育現場での問題を解決する支援)を行ってきました。

小・中学校で出会うお子さんたちの相談内容は、「文章が読めない」「漢字が覚えられない」「計算が苦手」「集中力が続かない」など、発達や学習の遅れに関するものが多く、話をうかがうと、だいたい小学校の低学年から、学習面でのつまずきが始まっています。

認知機能の働きが弱いという可能性


そういうお子さんは、認知機能の働きのどこかに弱さをもっている可能性もあります。学力を向上させたいからといって、いくら計算ドリルや漢字ドリルをやらせても、なかなか効果が出ないことも少なくありません。学習の土台がしっかりしていないところに、教科学習を積み上げていっても定着はしづらい可能性があるのです。

認知機能とは、注意、記憶、言語理解、知覚、推論・判断といったいくつかの要素が含まれた「知的機能」を指します。いわば、下の図のように「学習の土台」なのです。

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「点つなぎ」の課題と漢字を覚えることの困難さ


ここでは、認知機能の弱さをもっていることによる困り事例や、認知機能は強化できるという事例を挙げていきます。


下の図は、小学1年生後半のお子さんが書いた「点つなぎ」の課題です。点つなぎは、視覚認知の基礎力をトレーニングするもので、見本のように、点を結んで同じ絵を再現してもらいます。

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このお子さんは、ひらがなの読み書きが不十分で、文章が読めない、漢字もほとんど読み書きできないと、担任の先生から報告されていました。点つなぎの段階で形を模写できていないと、漢字などは点々のガイドがなく、複雑な形をしているので、覚えるのも苦労しそうだと推察できます。

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次に、認知機能を強化するトレーニング「コグトレ」を行った前後の変化を示す例を紹介します。コグトレとは、「認知○○トレーニング(Cognitive 〇〇 Training)」の略称です。

学校の勉強についていくのがしんどいと訴える中学生が、下の絵のような自画像を描きました。そのお子さんは、小学生のころから黒板をノートに書き写すことや漢字を覚えることに苦手意識をもっていました。


コグトレ後は、形を覚えて模写する力が身についたのでしょう。4ヶ月のコグトレの成果で、立体図はかなり正確に写せるようになり、自画像の表現力も増し、学習面では漢字の読み書きが上達しました。

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図形の模写から知る、発達の目安


ここでは、図形の模写から、お子さんの発達の程度に目安をつける簡単な方法をお伝えします。
立体図や蜂の巣は、8~9歳くらい、ひし形は7~8歳くらい、三角形は5~6歳くらい、正方形は4~5歳くらいまでに描けることが、ひとつの目安です。
これらの図形が、該当する年齢を超えても描けないことが明らかであれば、そのときは念のため、発達専門外来や教育センターなどでご相談されることをお勧めします。

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トレーニングで認知機能を強化する


仮に今は、立体図の模写がうまくできなくても、認知機能を強化するトレーニング次第では、かなり正確に写せるようになる可能性はあります。

「写す」力が弱いなら写す練習をしたほうがいいですし、「数える」力が弱いなら注意して数える練習をしたほうがいい…。その結果、黒板を書き写せるようになる、漢字を書けるようになる、数え間違いや計算ミスが少なくなる、という効果に結びつく可能性があるなら、今、できることを少しでもしてあげたいのでないでしょうか。


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「学習の土台」をサポートする『コグトレ』


漢字が覚えられない、計算が苦手というお子さんに必要なのは、学力以前の「学習の土台」づくりです。体育の跳び箱やさか上がりにたとえるなら、それ以前に、まずは体力づくりが大事ということです。

体育でいう基礎体力に相当する「学習の土台」をサポートするために考案したのが『コグトレ』です。これは、注意して見る力・聞く力、想像する力(認知機能)を鍛えていくトレーニングです。『コグトレ』は、鉛筆と消しゴムがあれば、すぐに始められるトレーニングなので、「学習の土台」のサポートとして、よかったらお試しください。

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