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中1発達障害息子、診察室でいつも無口に…普段はおしゃべりなのになぜ?成人後の「1人で受診」に備えてできること

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なぜか診察では無口になるコウです

中1発達障害息子、診察室でいつも無口に…普段はおしゃべりなのになぜ?成人後の「1人で受診」に備えてできること

Upload By 丸山さとこ

コウは小学4年生から中学1年生の今までADHD治療薬を服用しています。そのため定期的に発達外来のある病院へ通っているのですが、診察中はほぼ口を開きません。

先生から質問されても、「ハイ」とうなずくか「う~ん…」と首を傾げるかで反応が薄いコウです。私が「最近〇〇って言ってたね」と話題を振ってもコクコクとうなずくばかりで、先生が促しても詳細を話すことはありません。

それなのに、毎回診察室を出た途端に「今日さ~」「僕は…」とペラペラ話し出すのだから不思議です。

なぜ診察室では話さないのかコウに聞くと、本人にもよく分からないとのこと。緊張しているわけでもないらしく、確かに私から見ても特に緊張したり固まったりしている様子はありません。

発達外来の医師は威圧感もなく話しやすい相手のように思いますし、コウも先生への印象は良いようです。
全く話さないというわけではなく、時折うなずいたりして相づちを打つ姿は見られます。

また、コウは「家庭以外の場や家族以外の相手に緊張する」ということは特にないと言います。

中1発達障害息子、診察室でいつも無口に…普段はおしゃべりなのになぜ?成人後の「1人で受診」に備えてできること

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実際に公開授業や運動会などの学校行事でコウの様子を見ると、クラスメイトと話したり授業中に発言したりしていることも多く、多少は気を張っているものの彼なりに楽しんで過ごしているようです。

このように『診察室で医師と会話できない状態』の理由は今一つ分かりませんが、コウも5年後には成人して1人で診察を受けるようになるだろうと考えると少し気になります。

いずれはコウも1人で診察を受けるのだな、と考えると…


今は私が診察に同伴していますが、将来を考えたとき1人で医師の問診に答えられないのは困りそうです。先日スクールカウンセリングにて相談する機会があったため、「今すぐ困ることではないのですが…」と伺ってみました。

先生は「もしかしたら、診察では『最近どうですか?』などのオープンクエスチョンが多くてコウ君にとっては難しいのかもしれませんね」と推察してくださり、私は「それは確かにあるかもしれない」と納得しました。
中1発達障害息子、診察室でいつも無口に…普段はおしゃべりなのになぜ?成人後の「1人で受診」に備えてできること

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また、コウは『頭の中にあることをサッと言葉にすること』や『自分の内面を説明すること』が苦手な傾向もあります。


知識を述べることや、既にストーリーとして自分の中でまとまっている文章を話すときはスムーズな彼ですが、「どうしてですか?」「どう思いましたか?」などの質問も多い診察中の会話は、彼にとっては難易度が高い会話なのかもしれません。

最近コウの生活は比較的落ち着いており、本人の自覚としては大きな問題はありません。そのため、「調子はどう?」と聞かれて「いいです」と答える大雑把な応答でも困ることはありませんが、今後再びトラブルや不調などの困りごとが起きるときもあるかもしれません。

『病院の問診で聞かれやすいこと』をあらかじめ紙に書き出しておいたり、その場で答えられなくても次回までに考えておいたりするなど、彼なりの方法で診察を受けられるように練習していきたいなと思いました。

中1発達障害息子、診察室でいつも無口に…普段はおしゃべりなのになぜ?成人後の「1人で受診」に備えてできること

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執筆/丸山さとこ

(監修:鈴木先生より)
ASDの患者さんは抽象的な表現の理解が苦手なため具体的に聞く必要があります。「最近どう?」よりも「学校はどう?」、それよりも「学校の授業はどう?」、それよりも「学校の英語の授業はどう?」とより具体的に尋ねた方が分かりやすいのです。主治医も行間が読めるかどうかを確認するためわざと省略して尋ねることもあります。親御さんと一緒だと話しづらいという場合もあるので、私の外来では親子別々に入れて診察するようにしています。
そうすることで親に気遣うことなく話せることがあります。そういう患者さんは、親と一緒のときに親の顔を確認したり気遣ったりして話しています。
また、ASDの並存疾患の一つに場面緘黙があります。家では普通にしゃべっているのに、玄関を出た瞬間あるいは目的地に到着した瞬間にしゃべらなくなることがあります。相手と話す不安が多い場合にはSSRIなどの抗不安薬で対処する方法もあります。

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