PTSDとは?4つの症状の特徴、診断基準、トラウマになる原因をマンガで解説【医師監修】
PTSDとは?概要や症状、原因を解説
PTSD(Post Traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)は、ショック体験や強いストレスをきっかけに、こころにひどく傷を負うことで発症します。
※この文章を読んで、自分のトラウマがよみがえってきたり、気持ちがつらくなった場合には、一旦画面を閉じましょう。可能であればゆっくりと深呼吸をして、今が安全であることを確認しましょう。気持ちが落ち着いたら、また再開してくださいね。
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PTSDを発症すると、その出来事に関わる人・場所を過度に避けたり、常に気を張ったり、考え方が否定的になったりと、日常生活を送る上で支障が出てしまいます。時間が経つにつれて症状が軽くなることもありますが、数ヶ月、症状が長引くようであれば、専門家に相談することも必要になります。
また、PTSD患者は、他の精神疾患を合併することが多いとされています。PTSDがある人が精神疾患を合併する割合は80%近くになります。
合併することの多い精神疾患としては、うつ病、不安障害、アルコール中毒や薬物中毒といった物質使用障害です。
PTSDは、誰しもがかかりうる疾患です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4260019074
出典:日本精神神経学会/監修『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)
PTSDの原因
PTSDはショック体験や強いストレスがこころを傷つけ、トラウマになることで引き起こされる疾患です。
人それぞれトラウマになる出来事はバラバラです。しかし、アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)によって、PTSDにつながるショック体験や強いストレスが定義されています。
PTSDと診断するときには、以下のような経験をしたことを条件としています。
A.実際にまたは危うく死ぬ、重傷を負う、性的暴力を受ける出来事への、以下のいずれか1つ(またはそれ以上)の形による曝露:
(1)心的外傷的出来事を直接体験する。
(2)他人に起こった出来事を直に目撃する。
(3)近親者または親しい友人に起こった心的外傷的出来事を耳にする。家族または友人が実際に死んだ出来事または危うく死にそうになった出来事の場合、それは偶発的なものでなくてはならない。
(4)心的外傷的出来事の強い不快感をいだく細部に、繰り返しまたは極端に曝露される体験をする。(例:遺体を収集する緊急対応要員、児童虐待の詳細に繰り返し曝露される警官)
注:基準A4は、仕事に関連するものでない限り、電子媒体、テレビ、映像、または写真による曝露には適用されない。
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出典:アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)
例えば、診断基準として上の条件を満たすような経験には、次のようなものがあります。
・自然災害
・殴られる、蹴られるなどの暴行
・性的な虐待
・手術中に意識を取り戻してしまうなどの医療事故
・交通事故
・大切な人の予期せぬ死
これらの経験は、本人に失態があり、降りかかるようなものではありません。PTSDの原因になる経験は、日常生活を送る上で頻繁に起こるものではなく、非日常的な出来事であることが多いです。
PTSDの症状
PTSDは、過去に悲劇的な出来事があれば必ず発症するものではありません。
過去にショック体験や強いストレスがあったことと、以下に挙げる特徴的な4つの症状が1ヶ月以上持続することを共に満たす場合にのみ、PTSDだと診断されます。
・トラウマが突然、思い出される
・トラウマに似た状況を避けようとする
・自分自身や他者、世の中に対して否定的になる
・いつも緊張状態にある
特徴的な4つの症状について、一つずつ詳しく見ていきます。
トラウマとなった記憶が急に思い出されて、さまざまな反応を引き起こすことをフラッシュバックと言い、場合によっては、突然反応がなくなったように見えることもあります。
つらい記憶に似た状況に置かれたときに、記憶が急に思い出されるケースもあります。例えば、東日本大震災がトラウマになった子どもは、比較的小さな地震が起きたときにも、東日本大震災での記憶が呼び起こされます。
PTSDがある人は、トラウマとなった出来事に関係する刺激を、常に避けようとします。多くの人は、トラウマを思い出さないように、つらい記憶について考えたり、会話したりすることや、トラウマに関係する場所、人を意図的に避ける努力をします。
PTSDになると、否定的な感情を抱いたり、トラウマとなった出来事に対する認識がゆがんだりすることがあります。
例えば、「私がすべて悪い」、「誰も信用できない」と考えてしまうこともあります。また本来、本人には一切の責任がないようなことであっても、原因が自分にあると思いこんでしまったりすることも少なくありません。
PTSDがある人は、いつも気を張り詰めて緊張状態にあることがあります。日常の中で、ささいなことに苛立ちを覚えたり、電話がなると飛び上がるなど、予期しない刺激に過剰に反応してしまいます。
このような症状が発症したとしても、数ヶ月のうちに自然におさまることも少なくありません。しかし、数ヶ月を超えても続く、あるいは段々とひどくなっていくという場合には病院で相談してみるといいかもしれません。また、半年以上経過してから発症する場合もありますので、時間が経ってからの症状にも注意が必要です。
イラスト/カタバミ