料理は最高の療育?小6ASD息子「おせちづくり」に初挑戦!知育菓子、サラダづくり…スモールステップで培ってきた料理への自信が花開き…
おせちづくりはコウに丸投げ!?母のズボラで子は育つ(かも)
Upload By 丸山さとこ
昨年末のことです。スーパーで買い物中の私は、ワゴンに積まれたおせち料理の材料を「一応見ておこうかな」くらいの軽い気持ちでのぞいてみました。
すると、そこには『水で煮るだけの味つけ昆布巻き』や『つくり方がパッケージに載っている田作り』など便利そうな商品がありました。これくらいなら年末の慌ただしい中でも簡単につくれそうです。私は数の子や栗きんとんなどと一緒にそれらをカゴに入れて、意気揚々と帰りました。
それから一日が過ぎ、三日が過ぎ、一週間が過ぎ…気がつけばお正月が目前に迫ってしまいました。「これくらいなら簡単そう!」と思った時点の私はどこへやら。私はすっかりおせちづくりが面倒になっていました。
「もう床から離れたくない。ホットカーペットの上でゴロゴロしながらゲームをしていたい…」と怠惰モードになっていた私は、ふと「もしかしたらコウにもつくれるのでは?」とひらめきました。
コウは知育菓子が大好きで、パッケージの説明書を読んではせっせと水を量ったり粉を練ったりしていました。説明を読みながら作業することはできそうです。また、当時小学6年生だったコウは家庭科の授業で簡単な料理は経験していたので「炒める・煮る」だけであればできそうだなと思いました。
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早速コウに「おせちの材料買ってあるんだけど、説明を見ながらつくってみない?」と声をかけると、「うん!やるやる~!」とうれしそうに乗ってきました。
「さて、何をやってもらおうかな」と材料を見ていくと…数の子の塩抜きや薄皮を取る処理は火が要らず簡単そうですが、生臭い水が飛び散ったら後片づけが大変そうです。煮豆は加熱調理機で放置しておけばできあがります。
そんな風にして打算と安全性を重視しつつ考えた結果、田作りと昆布巻きが「炒めるだけ」「水で煮るだけ」で安全そうだと結論が出ました。
コウに「この田作りと昆布巻きをお願いします」と渡すと、彼は「まかせて~」と自信ありげに受け取りました。頼もしいその反応を見ると、逆に不安が沸いてきます。自信がある作業は雑になりがちなコウのことを考えて、やはり側で様子を見守ることにしました。
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そうして少しドキドキしながら見守っていたコウのおせちづくりは「まかせて」の言葉通りスムーズで、「田作りをフライパンから飛ばさずに乾煎りできるなんて凄いね」と感心すると、コウは「そうでしょ」とニコニコしながら味見をしてご満悦でした。
(私はせっかちに小魚を乾煎りして飛ばすことがしばしばあるので、お世辞ではなく心から感心しましたし、とても助かりました)
丸投げの下地づくりはコツコツと
コウは小学校低学年のころから少しずつ料理のお手伝いをしています。特別なことはないごく普通のお手伝いですが、
・レタスをちぎったサラダ
・プチトマトのヘタをとって洗う
・包丁でキュウリを切る
・人参をスライサーで千切りにする
というようにスキルアップが感じられる流れを心がけつつ、スモールステップで作業を増やしていきました。
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また、『ホットケーキをひっくり返すタイミングを知らせる係』をすることで、焼き加減の見極めだけを練習したこともありました。
全体の工程に目を通しつつ料理の作業を細かく割ることで、コウが安心して取り組めるように意識しました。
料理は分かりやすいスモールステップがたくさんあるなと思います。それと同時に『周囲が乾いてきたら』『透き通ってきたら』などの曖昧な表現や基準も多く、曖昧さや臨機応変な対応が苦手なコウにとってよい練習になっていると感じます。
コウを見ていると、練習の仕方が多くの人と違うことや、できるようになるまでに時間がかかることはたくさんあるようです。それらの中には『大人になっても難しいこと』も少なからずあるのだろうなと思います。
それでも、彼なりのペースと彼なりの方法で「できること」が増えていけば、おせちのように『初めてやる作業だけど何とかなった』が増えていくのかもしれません。
そんな風にしみじみしながら、今年も田作りはコウにお願いしようと思う私でした。
執筆/丸山さとこ
(監修:井上先生より)
スモールステップ化され具体的な操作を書いたレシピはコウさんにとって、とても分かりやすい手掛かりになったのだと思います。
品目によっては、塩加減や焼き加減といった数値化しにくいステップもありますが、その部分のステップだけ取り出して何度もモデリングさせたりすることも有効に思います。調理は将来的な自立に役立つだけではなく、本人の自信につながったり、親子のコミュニケーション機会にもなると思います。買い物とセットで続けていくとより発展していくと思います。楽しみながら頑張ってください。
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