「退園して」と言われない?加配付でも座れない、支度できない自閉症息子の処遇は?ハラハラした保育園入園から8か月、面談で知った意外過ぎる息子の様子
自閉スペクトラム症がある息子の入園時の様子
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先生の話によると、息子は入園当初の4月5月は、部屋にいることができず教室から出て行ってしまう、椅子に座っていることができない、登園後の支度も先生が一緒にやろうとしても嫌がる、などがあり、先生も必死で接してくれていた様子だ。今思い出すとそのころはお迎えに行くと子どもたちはみんな大きなホールで待っているが、息子だけ「ホールにいたくなかったみたいで…」と別の部屋から先生と2人で出てきたりすることが多かった。
私も息子が座っていられない、教室から出たがるなどは絶対しているだろうなと思っていて、入園当初は加配保育といえども、「これではうちでは見れません、辞めてください」と言われるのではないかとハラハラしていた。
ただ今思い出すと、入園してからずっと保育園側から「リュウちゃん全然座っていられなくて…」などのマイナスな連絡はいっさいない。送迎時はほかの保護者も多くバタバタしているので、そんなにお話しする時間もないということもあるだろうけど、「静かな部屋に入って行って絵本読んでました」や「今日はこんなことしてましたよ」などのお話だけでにこやかに対応してくれていた。今回面談をして4月、5月ごろの息子の様子を詳しく聞けて、改めて先生方に感謝すると共に、息子の成長がうれしくなった。
現在の保育園での息子
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入園当初、座っていられず教室から出て行きたがっていた息子は、なんと今は朝の回も帰りの回もお昼ご飯の時間でさえしっかり座っていられるというのだ。
登園後の支度なども、荷物をリュックから出してタオルはここに置く、着替えはここに置く、など一連の流れができているそう。
ほかの子どものように完璧に1人でできるわけではないので、先生がある程度ついててくれているようだがきちんと動けているらしく、「リュウちゃんすごいんですよ!」と先生もうれしそうに教えてくれた。
息子は食べることが大好きなので、お昼ご飯も保育園の楽しみの一つになっていると思う。ママとのご飯のときは自分が食べ終わったらすぐに動く!の息子だが、保育園の集団の中では、時間が来るまで席を立ってはいけないということが分かったようだ。食べるのが早いのですぐに食べ終わってしまい、以前は食べ終わったらウロウロ動き出して先生が介入していたようだが、「今はつまらなそうにしてるけど、ちゃんと席に座ってごちそうさまするのを待っているんですよ…!」と聞くことができ、私も嘘でしょ!?とビックリするほどだ。
自分で考えて居場所を見つけている
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少人数の保育園から急に人数の多い園に入ったことによって居場所が分からず、環境にも慣れていないために教室から出て行くなどして逃げ回っていたようだが、今は保育園に慣れて楽しんでいる様子だ。
話を聞いていると、自分なりに気持ちの落ち着く場所を探して移動したりしていることが分かった。息子はおっとりとしたおとなしい性格のため人が多い場所や騒がしかったり盛り上がっている空間が苦手なようで、教室で自分の周りが騒がしくなってきたりするとスッと教室内での居場所を変えるなどしているらしい。でも毎回いなくなるわけではなく、みんなと一緒になってキャーキャーはしゃいでいるときもある様子。
同じ空間の中で不機嫌にならずに自分の気持ちで場所を移動して生活できていることに成長を感じた。
友達と会話ができない息子、母が一番心配なことは…
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私が一番心配なのは友達関係だ。発語はあるがまだ言葉のやりとりが全くできないので、保育園では基本的に先生と一緒に行動していて、同年代の子どもと一緒に遊ぶ姿はなかなか見られない様子。会話が成立するまで友達関係を築くことは難しいだろうと私も思っているので、無理にでも子ども同士の関わりを持たせて欲しいなどは望まないが、毎回お迎えのときに子ども同士で遊んでいる中1人でいる息子を見ると少し寂しい気持ちにもなる。でも息子が保育園を休むとクラスのお友達が「今日リュウちゃんは?」と気にかけてくる様子があったり、たまにだが絡んでくる子どももいるようで、お友達との関係性は時間をかけて様子を見守ることとなった。
保育園にお迎えに行くと「リュウちゃん!ママきたよー!」と叫んで教えてくれる子どもが多く、ちゃんと息子を認識してくれているんだなと分かり、今はそれだけでうれしい。執筆/まる
(監修:初川先生より)
入園から8ヶ月が経ち、リュウくんが保育園に慣れてきている様子で何よりです。環境の変化を理解して馴染みつつ、自分のできること・できないこととの折り合いのつけ方を少しずつ身につけているようですね。
ただ座っている(座って待つ)は実は結構難しいことなのですが、それをそういうものだとして取り込んでいるのはすごいなと感じました。先生方がきっとそれができたら即時で褒めてくれるなど、本人にとっていいことがないと、なかなかそこは身につきにくい習慣ではあります。
さて、お友達関係について。園生活にも慣れてきたので、友達について考えられるようになってきたということでもありますね。大人の思う「友達」と園児たちの思う「ともだち」とはおそらく違ったものを指していると思います。もしかしたら、園の子どもたちにとっては、同じ園にいるだけで「ともだち」であることに何の疑いも持たないかもしれません。友達なのかどうか、ほかの子どもと関わるには、ということを広く考えるとなかなか雲をつかむような話です。そこで要素に分けて考える。
「友達」として外から見て分かりやすいところで言えば、挨拶をする、一緒に遊ぶ、声をかける・かけられる、話をするなどがあります。そういうそれぞれの場面において、まずどこなら取り組みやすそうか、どこならうまくいきそうか(相手の子どもたちがうまく対応できそうか)というところから見ていきましょう。そして、きっとこういうことは園の先生方はうまく仕組むのがとてもお上手ですし、そういう場面をつくりたいと日ごろから考えていらっしゃるのではないでしょうか。そういうことも日々の先生方とのやりとりや面談時などで話題にしてみると良いかもしれませんね。