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4歳、5歳、6歳の発達チェックリスト。発達障害かもと感じたら?/小児科医監修

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想像力が豊かに。4歳頃の心と体の発達、社会性


子どもは4歳から6歳頃にほとんどの運動機能を一通り獲得すると言われています。心の発達とも相まって、周りから何も言われなくても、朝起きて着替えてトイレに行き、ごはんを食べるなど、自立が進んでいきます。友達とは言葉を使って気持ちを表現し、その中で団結したりけんかしたり仲直りしたりを繰り返して社会生活の基礎的な力を育てていきます。こうして小学校就学を迎えます。

4歳頃になると、多くの子どもは体を思ったように動かす力がつくのと同時に想像力が豊かになり、自然の中にあるものや身近なもので遊ぶようになります。友達との関係は、同じ目的をもって行動したり、ただ楽しいだけでなく、不安や葛藤など複雑な気持ちも経験します。

ただ歩く・走る・手足を動かすというだけでなく、全身のバランスのとり方がうまくなり、片方の足だけで立つ・跳ぶこともできるようになります。手先は、ひもを通す、はさみを扱うなど、より器用な動きができるようになり、絵を描いたり、粘土や空き箱などを組み合わせて、想像しながら作品作りもします。
また、遊びながら声をかけるなどのように、並行して同時に2つの行動ができます。

手足を使い、見たり触ったりしながら、水遊び、砂遊びをしたり、花を摘み、虫を観察するなど、自然の中にあるものや身近なものに興味が出てきます。大人から見ると、危ないと思う場面もあるかもしれませんが、自由な感性に任せて遊ぶことで、色彩感覚や身体感覚を育んでいくので、心配かもしれませんが安全に気をつけて見守っていきましょう。

ますます語彙は増えていき、想像力も豊かになり、現実に起きたことと絵本で見たことなどを重ね合わせたりしながら、遊びの世界を広げていきます。また、おばけやこわい夢、一人になったときの不安感など、「こわい」という感情も芽生えていきます。

友達と言葉を介して同じ想像の世界を繰り広げる、ごっこ遊びを行うようになってきます。自分は周りの人にどう見られているのか、という自意識が芽生えます。その中で、周りの人に褒められたり励まされたり、共感したりしながら、人の気持ちを理解するようになっていくでしょう。


友達と一緒に遊ぶことが楽しくなるのと同時に、競争する気持ちも芽生えてけんかも多くなります。「悔しい」という感情を経験しながらも、友達が言うことに従ったり、あるいは自分の言うことを受け入れてもらったりします。こうして、ただ楽しいだけでなく、一緒に遊ぶ中で複雑な面白さを覚えていく時期でもあります。

自立性が育つ。5歳頃の心と体の発達、社会性


5歳頃になると生活に必要な身体能力はほぼ整い、自分の身の回りのことを大人に言われなくても一通りできるようになります。友達との関わり方も複雑になっていき、ただ楽しいだけでなく、競争心が生まれ、その中で切磋琢磨しながら育っていきます。

5歳頃になると、大人が行う動きのほとんどができるようになります。鬼ごっこのような一定の制限やルールの中で体を動かすような遊び方ができます。手先の動きでは、ひもを結ぶ、雑巾を絞るといった生活に必要な細かい動作ができるようになり、さらに、包丁やのこぎりなど危険性が伴う道具を大人の助けを受けながら扱うことができるようになります。


自主性や自立性が育ちます。身の回りのことができる身体能力がついたことで、食べる、着替える、トイレに行く、運ぶ、片づけるなど、朝起きてから夜寝るまでの行動がほとんど一人でもできるようになります。大人に指示されなくても、だいたいの一日の流れを分かって行動できます。

自分のことだけでなく、相手の気持ちになって考えたりする感受性も身につけます。人の役に立ち褒められることが嬉しく、誇りをもってお手伝いをするようになります。

友達と過ごす中で、自分の気持ちを伝えたり相手の気持ちを理解したりするために言葉によるコミュニケーションが重要になっていきます。ルールを理解して集団遊びをしたり、活動したりするときにそれぞれが「役割」をもっていることを理解して行動します。そのためにはルールを守る、約束を果たすことが大事だということも学び始めます。
また、すぐに大人に頼らないで、子どもたちで解決しようとする様子が見られるようにもなります。

こうして、社会生活に必要な基本的な力を身につけて、これまでは個々の成長だったものから、集団の中での成長へと変化していきます。

就学前に何ができるようになる?6歳頃の心と体の発達、社会性


自分が思ったように体を動かし、友達とのかかわりが生活の大事な部分を占めるようになる6歳。次第に社会的、科学的なことに興味を持つようになり、世界が広がっていきます。大人に甘えながらも、外へ向かって経験を積んでいくのが6歳代です。身体機能が成熟し、さらに体力もついてくることから、活発に動きまわります。ボールを蹴りながら走ったり、跳び箱のようにいくつもの連続した動作を組み合わせるような運動ができるようになります。手の動きはさらに細やかになり、頭でイメージしたものを描いたり、思考しながらダイナミックに表現していく楽しさを覚えていきます。


特別に教えなくても、自分から文字を書いたり読んだりするようになります。ニュースなどの社会的な話題や、自然現象などにも興味を持ち始め、自分の好きなジャンルの図鑑を見たりするなど、学ぶことの面白さが芽生えていく頃です。
自分と自分以外の人は違う、ということを意識し始め、周りの人の特徴や個性を感じとりながら関わるようになっていきます。

子ども同士の集団的な遊び方が活発になります。遊びの中で役割が生まれ、より複雑なルールを自分たちで考えます。こうして、社会生活をしていくときに大事な自主性と強調性を獲得していき、就学へとつながっていきます。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000202211.pdf
参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省

https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/pre_school/files/curriculum2/15_2_2_sankou.pdf
参考:<参考> 0歳児から2歳児の発達過程|東京都教育委員会

https://www.guide.metro.tokyo.lg.jp/point/tokucyou/index.html
参考:東京都こども医療ガイド|東京都福祉保健局

4歳、5歳、6歳の発達チェックリストー運動・心と言葉・社会性の目安

4歳、5歳、6歳の発達チェックリスト。発達障害かもと感じたら?/小児科医監修

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https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000202211.pdf
参考:保育所保育指針解説書|厚生労働省

発達に遅れや凸凹がある?通院の目安や、保護者ができること


4~6歳頃になると、自己免疫力も高まり、頻繁に高熱を出すことも減ってくるでしょう。とはいえ、インフルエンザ、ヘルパンギーナ、溶連菌、麻疹、水ぼうそう、おたふく風邪、ウイルス性/細菌性胃腸炎などの感染力が強いウイルスや細菌には注意が必要です。
身体機能的には、手洗い・うがい、体を清潔にすることは自分でできる年齢になってくるので、習慣化を心がけましょう。
ただし、けいれんを繰り返す、急に意識がなくなる、手足が動かない、慢性の頭痛を繰り返す、一度できたことができなくなるなどの症状がみられる場合には、かかりつけの小児科医や病院を受診してください。

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000500775.pdf
参考:年代別・世代別の課題(その1)|厚生労働省(7ページ)

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e4b817c9-5282-4ccc-b0d5-ce15d7b5018c/d557529d/20230401_policies_hoiku_15.pdf
参考:保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)|こども家庭庁

https://www.city.shirakawa.fukushima.jp/page/page000412.html
参考:白河市 保健福祉部こども支援課

発達の遅れや、言葉や発語が遅いと感じたときは、小児科医や地域の相談窓口で相談しましょう。また、5歳の前半に5歳児健診を行なっている自治体があります。気になることを相談するチャンスとなります。

5歳児健診でチェックすること


5歳児健診では、保健師などの専門家による問診をしながら、子どもの体の動かし方やコミュニケーションの様子、言葉の発達の様子などをみていきます。健診では次のような項目があります。
・保健師による問診
・身体計測・視力検査
・医師・保健師・担当保育士による診察
・集団遊びや工作などをさせて、様子を観察
・個別の歯科衛生士による歯科相談、栄養士による栄養相談
このほかにも、保育士、保健師、臨床心理師、教諭などによる個別の相談ができます。


3歳児健診では特に問題ないと言われたけれど、5歳児健診で発達障害の可能性を指摘されることがあります。また、数字や文字を読んだり書いたりができるようになってくる年齢でもあるので、教育相談の場も設けられているのが、それまでの乳幼児健診とは違う点です。正式に診断できるのは就学後ですが、学習障害の可能性を指摘されることもあります。

もし、子どもの発達で気になることがあったら、また、育てにくいと感じていることがあったら、健診時に保健師さんなどに相談してみるといいでしょう。また、健診が行われていなくても気になることがあれば、まずはかかりつけの小児科や病院で相談してください。また、地域の相談窓口に行ってみると、心理や医療の専門家に相談できるので、困っていることが解決される糸口が見つかるはずです。

地域の相談窓口


地域の相談窓口がどこにあるかは、5歳児健診の際や自治体の役所に問い合わせましょう。主な相談窓口としては次のような場があります。

健診や発達相談などを行うセンターで、健康や保育に関するさまざまな相談窓口です。引っ越したばかりなど、どこに相談していいかわからない場合にも地域医療を紹介してくれる場にもなります。

保健センターと同様に公的機関ですが、子どもの発達支援に特化した窓口となります。発達相談をしたのちに、児童発達支援センターでもっと具体的な子育てについての相談などができます。

就学時健診とは別に、発達が遅れていると感じられる子どもの場合、就学先をどこにするのかを、地域の教育委員会と相談していくプロセスが就学相談です。子どもの様子や状況に合わせて、通常学級なのか、通級指導教室(地域によっては特別支援教室)や特別支援学級、特別支援学校なのか、地域の選択肢の中でどこに就学するのが良いかを、面談や診察、学校見学などの機会を重ねながら決定していきます。就学時健診のように自治体からお知らせが届くものではないので、保護者が直接、教育委員会に連絡して申し込むか、保育園・幼稚園を介して申し込む必要があります。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken07/
参考:軽度発達障害児に対する気づきと支援のマニュアル|平成18年度 厚生労働科学研究「軽度発達障害児の発見と対応システム およびそのマニュアル開発に関する研究」

4~6歳の発達の遅れが気になる子どもへの家庭でできる関わりとは


発達の遅れが気になる子どもを育てるときに、保護者としては不安があるとともに、日々の生活の中で子どもにどう接していいかわからないといった困りごとがあります。下記は代表的な3つの困ることについて、どうしたらいいかのアドバイス例になります。

1. 落ち着きがない
家庭で、音や光の刺激が多いようだったら、改善しましょう。大きな音でテレビがつけっぱなしだったり、長時間、場面展開の早い動画を繰り返し見ていたりしているようなら、見たい番組が終わったらスイッチオフにする習慣をつけましょう。また、音量も適切かを確認しましょう。

2. 癇癪を頻繁に起こす
自己主張する力よりも自己抑制する力のほうがゆっくりと発達する傾向があります。このため、4~5歳頃は、自分がしたいことがあってそれを押さえられないというギャップから強い癇癪を起すことがあります。何回も何回も、「こうすればなんとかうまくいく」という経験を積んで、見通しをもてるようになることが大切です。

また、予定が見通せるように、1日のスケジュールを伝えたり、これが終わったら次に何ができるのかということを伝えたりするといいでしょう。

3.指示が伝わりにくい
言葉の発達に合わせて、子どもが分かる言葉遣いで伝えましょう。また、聞こえてはいても話し言葉で伝わりづらく、絵や数字など視覚から分かるようであれば、カードやメモを使う方法もあります。

また、「だめ」と叱られることが、子どもにとっては大人に反応されて「面白い」と感じることになってしまうことがあります。大人が禁止すればするほど、悪いことをしたがるような場合は、叱らずにしばらく無視しておくことも効果的です。見ないようにしたり、取り合わないようにしたりするうちに、子どもは「これでは気を引くことができない」と気づくとやめます。

まとめ


体が自在に動かせるだけでなく、体力がついていく4~6歳代。自分の身の回りのことは自発的にできて、遊びの幅も複雑さもぐんと成長します。

小学校入学も視野に入ってくる分、発達が遅れているかもと気になる面も多くなるかもしれません。その子らしさを見守りながら、周りの人や地域の相談窓口をうまく活用していくことをお勧めします。(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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