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いじめを受けた小学生時代、20代では共依存、職場トラブル。発達障害の私が30代で身につけたちょうどいい「人との距離感」

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友達がほとんどいなかった子ども時代


私は小さい頃からいじめられがちで、友達がほとんどいませんでした。小学校も高学年となって完全に「いじめられっ子」となってからは、周囲にいた少数の子も、自分がいじめに巻き込まれるのを恐れて離れていってしまいました。

親はクラスの子たちの力関係を把握していました。ボスクラスの女の子を誕生会などでわざと家に呼んで歓待して機嫌をとるなど、私がクラスでうまくやっていけるように画策してくれましたが、それもあまり効果があったとは言えませんでした。

実家自体が「ちょっと変わった家」として近所から浮いていたのもあり、近所に住んでいる子との交流もほとんどなし。親戚づきあいもほとんどなし。

公立中高に行くといじめがひどくなるだろうからと、遠くの私立に通うようになってからは、なおさら地域との交流はなくなりました。中高に行ってからは皆、クラスメートも近所の子たち同士で遊ぶし、いじめられるまではなくともなんとなく浮いていたので、皆がこっそり私抜きで遊びに行っていたのをあとから知ったりすることもありました。


ということで、私は友達が欲しかったけれど、友達ができる環境に恵まれませんでした。結果的に、人とのつきあい方を学ぶ機会も得られないままに20代になってしまいました。

人間関係が不安定だった20代


大学生になるとごく少数の友達ができましたが、距離が近くなりすぎて共依存のようになり、喧嘩別れになってしまったりと、人間関係は不安定でした。

社会人になってからは、職場で職務上の指導を受けただけで自分を全否定されたと感じて感情的になったり、立て続けにトラブルを起こしたりして居づらくなり、短期間で辞めてしまうことが続きました。誰かと仲良くなるまで居続けられなかったため、当時の仕事を通じて知り合った知人や友人もほぼいません。

中距離の人間関係を開拓、少しだけ人づきあいが分かった30代以降


私は31歳で実家を出て地方に移住、夫と結婚しました。夫が私に気を遣って少しずつ周囲の人に紹介してくれたおかげで、夫の交友関係の中から少しずつ、年齢や属性の多様な知人が増えていきました。

ホームパーティーだったり、何かのサークルの食事会だったり、あちこちに連れ出される中で、緊張し、疲れてしまって参ることもありましたが、私はこうした中で少しずつ「人と交流するとはどういうことか」を学んでいったように思います。
その地域での暮らしも10余年経った頃、夫の仕事の関係で再び別の地方に移住することになりました。今度は自分でも頑張って地元の人と交友関係を広げようとあちこち動いてみました。しかし、地元の人と不用意につきあうと、予想外の無理解やすれ違いに出遭って傷ついてしまうこともあり、交友関係は広げればいいというものでもないなと思い直しました。

会える距離に理解しあえる友達や知人がいれば、確かにそれは理想的だと思います。しかし、今はSNSという、地理的条件に縛られないうえ、交流しはじめる前に互いの人となりを知ることのできる便利なツールがあるので、無理せずSNS経由で少数の人とつながるのも良いと思いました。

また、最近私は資格勉強をしているのですが、こういった、一人でなにか学ぶことに没頭する時間もとても大事だと感じます。

「友達がたくさんいる」を目指さなくてもいい


発達障害のあるお子さんのいる人は、「友達がたくさんできてほしい」とか、「友達と仲よく遊んでほしい」とか心配になることもあると思います。しかし、どんな友達とどうつきあうのが快適で幸せか、あるいは一人でもいいのかは、発達障害のあるなしに関係なく、その人によって違うと思います。


小さい頃は交友関係が狭くても、人生経験を重ねるうち、自然とその人に合った人間関係や生き方が充実していくのではないでしょうか。少なくとも私はそうでした。

私は、人との程よい距離感や、中距離の知人との交流のコツが、大人になるまで分かっていませんでした。私の場合、そこに気づくことで少しずつ交流する人を増やしてこられた実感があります。

「他人とのちょうどいい距離感」みたいなものは、小さい子ども同士で学び合うことは難しいかもしれません。周囲の大人がロールプレイや「背中を見せる」ことでお手本を見せていけたら良いヒントになるかもしれませんね。

文/宇樹義子

(監修・鈴木先生より)

ASDの子どもはいわゆる「不思議ちゃん」と呼ばれるように、いじめのターゲットになりがちです。時にはいじめる側につくこともあります。
また、親友が少ない場合も見られます。

政治にも何々党といくつか党があり、同じ党内でも派閥があります。分かり合える人と仲良くなれればそれでいいのです。SNSによるいじめや過剰な批判などが社会問題ともなっていますが、どんなことでも必ず批判する人がいます。しかしそれはごく一部なのです。

ASDの子どもは、自分の近くの縄張りに他人が入ってくると攻撃する傾向が見られることがあります。こういう場合は集団よりも個別の教育が必要になりますが、これから社会に出ていくためには、他人との「ちょうどいい距離感」も学んでいく必要があります。逆に他人に近づきすぎることもあります。
前へならえの距離や30cm定規をあててその距離以内には近づかないように指導していく必要もあります。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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