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いじめられているのに気づかない!?発達凸凹長女、相手の嫌味に「ありがとう」で火に油!表情から相手の感情を読み取る工夫とは?

LITALICO発達ナビ

親のほうで友だちトラブルに気づいた、その瞬間


わが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。

マイペースな長女ニャーイは、猫のキャラクターです。ニャーイはおしゃべりで、もてなし上手な反面、人とのやりとりに独特な不器用さがあって、よく誤解されてしまうことがあります。

いじめられているのに気づかない!?発達凸凹長女、相手の嫌味に「ありがとう」で火に油!表情から相手の感情を読み取る工夫とは?

Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ

長女ニャーイが小学校高学年の頃、学校で保護者と子どもが一緒に粘土で工作物をつくるという催しがありました。体育館にシートを広げ、親子で力を合わせて1つの作品をつくるという課題でした。

私たちは2人で相談の結果、コーヒーカップをつくることにしました。

おしゃべりをしながらつくっていたのですが、ニャーイのつくったカップは、あまりにもいびつな形になってしまいました。
どこから見てもコーヒーカップに見えません。おかしくて2人で声をあげて笑ってしまいました。

そのとき、クラスメイトの女の子が通りかかり、笑顔で声をかけてきました。
「すごくよくできているね」
ニャーイは声の主を見ると、うれしそうに「ありがとう」と返事しました。

私はこのやりとりに違和感を持ちました。誰が見ても明らかな失敗作なのに、褒めるなんておかしいし、何より言い方にとげを感じたのです。また相手の女の子は、ニャーイの喜ぶ顔を見て、さらに怒りが増したように見えました。

私は作業を続けるふりをしながら、そっと去っていく女の子を目で追いかけました。

その女の子は体育館から出て行く間際にニャーイのほうを振り向き、すごい顔でにらんでいました。

ニャーイをにらんだ女の子は、入学の時からのお付き合いがある、一番仲の良いお友だちでした。

時間をかけて聞き取りをして夫と相談を

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まず最初に、私は「長女が学校で友だちとトラブルになっているかもしれない」と夫ラクマに相談しました。その時、私は慎重にニャーイとママ友たちへの聞き取りをするようにと、夫から頼まれました。結果として、ニャーイ本人には自覚がありませんでしたが、ママ友の発言から、ニャーイは学校でいじめにあっているようだということが分かってきました。

でも、いじめの証拠があるわけではないし、せっかく長く続いている友だちなので、公にせず、なんとか穏便に友情を回復させたいと思いました。

夫ラクマからの提案で、私たちから積極的に女の子に話しかけたり、ちょっとしたプレゼントをあげたりして、ニャーイとの友情関係が回復するように働きかけていきました。すると、次第にいじめは止んでいきました。


ニャーイの母である自分のことを振り返ると、私自身も30年前、小学校時代に一番仲の良かったクラスメイトから、いじめの謝罪を受けました。ところが私は、いじめられた記憶が全くなくて困りました。

私は、深刻な雰囲気で詫びる元クラスメイトに「思い出してみるから、その時の様子を教えてちょうだい」と頼みました。すると彼女は「とても言えない」と泣きじゃくるのです。

結局、小学生の頃のいじめ問題は、今現在まで私自身に自覚がないままです。親子そろって、いじめをされても気づかないタイプのようです。

成人したあとのニャーイに当時のいじめ問題のことを質問すると「そんなことがあったのね!」といまだに驚きます。

ニャーイの子ども時代のいじめ問題から15年後くらいに、わが家は、夫ラクマを除く家族全員が発達凸凹の当事者であることが分かりました。


振り返るとニャーイは、相手の表情が読めないがゆえに、嫌味や皮肉に感謝したりするので、火に油を注ぐ結果になってしまったのだと思われます。

表情が読めないから具体的に工夫を

いじめられているのに気づかない!?発達凸凹長女、相手の嫌味に「ありがとう」で火に油!表情から相手の感情を読み取る工夫とは?

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いじめられているのに気づかない!?発達凸凹長女、相手の嫌味に「ありがとう」で火に油!表情から相手の感情を読み取る工夫とは?

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(※)わが家の当事者キャラクターは、外出のときは透明なヘルメットを身につけています。このヘルメットは「パニック対策の工夫」を表現しています。パニックになると呼吸困難のような状態になるので、ヘルメット=工夫で身を守っているという設定です。

その後、ニャーイとラクマと私は、さまざまな企業や団体からマンガやイラストの注文を受けるようになりました。ある日、夫から私に仕事の相談がありました。
「マンガのネーム(マンガの下絵)通りに、ニャーイが絵を描かないから困っている。怒った顔とかの表情がトンチンカンなんだよ。
マンガの狙いが通じない。どうしたらいいかな?」という内容でした。

私にも「相手の顔色を見て気持ちを想像するのが苦手」というニャーイと似た特性があるので、
「表現の大きさを数字にしたらいいよ。たとえば怒った顔100パーセントとか」とアドバイスすると、夫は「そうだったね!うっかり忘れてた」と喜びました。

ニャーイの場合、やりとりの場面を見て、感情のボリュームを的確につかむことが苦手というか、できないというほうが近いのです。

日頃のやりとりでも「お母さんは今、80パーセントくらい怒っているのよ」と伝えると怒りのバロメーターがリアルに伝わります。

執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ

(監修:新美先生より)
クラスメイトからの意地悪や嫌味に本人は気づいていないということ、小学生頃にはあるあるですね。気づかないままでいくこともありますが、覚えていたエピソードが、成長してからともだちの悪意に気づき、あとになって怒りがわいたり、その時の自分のふるまいに自己嫌悪してしまったりということもあるので、ラクマさんがトラブルの芽をていねいなアプローチで摘んでしまえたのはgood jobだったと思います。

また、気持ちと表情のリンクがちぐはぐになりがちな場合、数値での伝え方はとても分かりやすいですね。日常的に使えるノウハウを教えて下さりありがとうございました。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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