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療育手帳は障害児育児の強い味方!福祉サービス、休日のお出かけ、税制面まで…「宝の持ち腐れ」にしないために

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療育手帳は障害児育児の強い味方!福祉サービス、休日のお出かけ、税制面まで…「宝の持ち腐れ」にしないために

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私の息子は重度知的障害として、東京都から「愛の手帳」の2度の判定を受けています。
「愛の手帳」というのは東京都が交付する療育手帳の呼称で、障害の程度を示す等級は、
・軽度4度
・中度3度
・重度2度
・最重度1度
となっています。
「A1」「B1」などとアルファベット付きの等級名を使う地方自治体が多いことを考えると、少しめずらしいかもしれませんね。

息子が初めて手帳を取得した年長の時は中度の3度でしたが、小学校入学後に再度判定を受けに行くと、重度である2度になっていました。
就学前の就学相談の時点で教育委員会から「重度知的障害」と言われていたので、最初に判定を受けた時は幼かったのもあり、少し軽めに判定されたのかもしれません。

手帳の等級が重くなればなるほど、受けられるサービスは手厚くなります。
特に私の経験上、中度から重度に変わるところで、支援内容が大きくランクアップしたように感じました。
中度の手帳を持っていた時から手帳の便利さは感じていましたが、重度判定の手帳をもらって、その存在感はより大きくなったからです。

息子を含めた家族の毎日が、以前より過ごしやすくなり、困りごとの多くが解消されたと感じています。

具体的に何が助かっているの?

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療育手帳を持っていると助かるとか、いろいろなメリットがあるという情報はよく出回っていますが、具体的に何がどう助かっているのか?イメージしづらい人もいると思います。
なぜなら、療育手帳制度は地域差が大きいので、インターネットで調べても具体的なことは断定しづらいからです。
そこで、あくまでわが家の息子が利用しているサービスや支援について、具体的にお伝えしたいと思います。

実際に手帳で受けられるサービスは、分厚い冊子1冊で語られるほど種類が多く、対象者の規定も細かいです。
そのため、その全てを理解し、利用するのはかなり難しいのではないかと思います。
本人の年齢や家庭環境によっても必要な支援やサービスは変わるでしょう。あくまで一例ではありますが、小学生の息子がいるわが家が今、「これは助かる!」と思って利用しているサービスのみに絞ってお伝えしたいと思います。


息子が、私たち親の代わりにヘルパーさんに付き添ってもらって外出する、移動支援の利用。
そして、夜間の宿泊込みで息子を預かってもらう短期入所の利用。
これらは手帳とは別にそれぞれ受給者証の取得も必要になりますが、非常に助かる福祉サービスです。
移動支援も短期入所も施設を探すハードルが高く、利用までは時間がかかりますが、障害がある子どもの付き添いや預け先を確保しておく安心感ははかりしれません。

手帳を提示すると、駐車場料金が無料になる都立公園は非常に多いです。公園以外でも、都立のレジャー施設の入場料などが同伴者含め無料になったり割引になったりします。民間のレジャー施設の入場料も手帳の提示で割引になることが多いため、休日のお出かけに手帳は必須の持ち物です。

知的障害や発達障害などがある子どもとのお出かけでは、レジャー施設に行っても何かしら本人にひっかかるところがあって入れなかったり、癇癪を起こして早々に出ることになる場合もあるでしょう。

しかし、入場料が無料であれば、親としても気軽に「行ってみようか」と誘えますし、無理せずサッと帰ったり、何度も入りなおしたりできるのが非常に助かります。

・タクシー券の配布(重度から)※所得額などにより支給制限があります
・駐車禁止等除外標章の交付(重度から)
・都営地下鉄、都営バスなど都営交通の利用料が無料
・有料道路の通行料金割引(ETC利用も)
・JR、私鉄の旅客運賃の割引
などの移動の際に使えるサービスも助かります。
これらのサービスは、レジャー施設と同じように、本人の気分が乗らなければサッと移動しようというフットワークが軽くなるのがうれしいところです。

駐車禁止等除外標章をもらえると、いくつかの定めに沿った場所であれば路上に車を停めておけるので、子どもの送迎などの際に助かります。
東京は駐車場が少なく、学校、放課後等デイサービス、福祉施設や病院も駐車場がないところがほとんどなので、持っておくと特にありがたみを感じます。

手帳を持っていると、等級に応じてさまざまな手当を申請できます。
所得制限の基準などもあり、必ずしももらえるとは限りませんが、何かとお金がかかる障害児育児を金銭面で助けてくれます。自動車税や軽自動車税の減免や、所得税や住民税の障害者控除などが受けられます。

どこまで受けられるかは障害の等級によりますが、手帳を取得したなら申請しておくに越したことはありません。

注意!手帳は地域差が大きい&障害の程度でサービス内容が大きく変わる

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ここまで療育手帳について詳しく書いてきましたが、ここで書いているのは、あくまでわが家の息子の場合です。
具体的には、東京都が交付する療育手帳、「愛の手帳」の2度(重度)判定で受けられる支援やサービスの中で、息子の家庭環境や状態に適応しているサービスです。そして、わが家もすべてのサービスを利用しているわけではなく、必要なものを選択して利用しています。

療育手帳の運用は地方自治体に任されているため、先にもお伝えした通り、療育手帳は障害者手帳の中でも特に地域差が大きいです。
そのため、すべての地域で同様のサービスが保証されてはいません。
その上、障害の程度によっても状況は全く変わります。

ただ、おおまかな内容は似ていると思うので、「こんなことはできるのか?」と気になることがあれば、ぜひご自分の地域の障害福祉課などにお問い合わせください。


手帳がないと、障害児育児はより一層ハードモード…持っていて損はない

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ちなみに、はじめて息子の手帳を取得した時は、不覚にもショックで涙した私でしたが、重度判定を受けた時は特に何も出てこず、無の感情でした。しかし、「実際の障害の程度は重度なのに受けられる支援は中度」なんていう不条理な状況を脱することができたことには心底安心しました。

もちろん、両手をあげてバンザイ!と言えるほど喜べるわけではありませんでしたが、今以上に障害児育児が楽になると思うと、それは喜ばしいことだったのです。

とはいえ、障害の等級が重くなったことに変わりはありません。
息子が重度判定を受けた日、なんともいえない複雑な空気で児童相談所をあとにした私たち。
そんなモヤモヤを察した夫が、「じゃあ景気づけに焼肉行こう!」と言って空気を変えてくれたのがなんとなく救いでした。夫の一声で、家族みんな楽しくわいわいモードになり、ポジティブな気持ちで一日を締めることができました。
その後の毎日も、息子が重度判定になって受けられるようになった支援を存分に使って生活しています。


障害児育児は大変です。
でも、手帳を持っていないとその毎日はより一層ハードモードになるでしょう。
少しでも負担を減らして生きていくために、使えるものは使ったほうがいいんじゃないか、手帳は持っていて損はないものなんじゃないかというのが、私の気持ちです。

執筆/べっこうあめアマミ

(監修:初川先生より)
療育手帳の活用法を具体的にシェアしてくださりありがとうございます。手帳取得をめぐっては葛藤を感じられる方も多いので、手帳取得の思い、判定が変化した際の思いも含めて聞かせていただき、とても参考になりました。

さまざまなサービスを受けられるからぜひ取得したらとすすめられることが実際には多いのではと感じますが、アマミさんが書かれていたようにお子さんの気分が乗らない、癇癪を起こしたなどでも、心の面からしてもさっと引き上げられるというメリットがあるのですね。さまざまなところでお子さんにとって良い経験をさせてあげたいと思って外出されたり、療育や通院で必要に迫られて移動したりする際に、移動(交通費、駐車料金)や入場料などの負担が少ないのは長期的に見て、また外出しようという行動を維持しやすいですね。

実際の活用法は自治体によって、障害の度合いによっても違うと思います。
お住まいの自治体の障害福祉課にまずは話を聞きに行くところから情報収集していだければと思います。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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