脳性麻痺の症状4分類を解説。原因、治療法やリハビリについても/医師監修
脳性麻痺の原因とは?
脳性麻痺は、妊娠中、分娩中、出生時、出生後のいずれかの時期に、脳が傷つくことで生じます。脳が傷つく原因として、以下が挙げられます。
・ビリルビン脳症(核黄疸):新生児黄疸で起こる病気。ビリルビンという色素が脳に損傷をもたらす
・低酸素性虚血性脳症:仮死状態で生まれてきたとき、脳に酸素が行き渡らずに脳が損傷する
・脳室内出血、脳室周囲白質軟化症:未熟児や早産が原因で、脳出血を起こしたり、必要な部分に血液が行き渡らずに脳が損傷する
そのほかにも、
・感染症(風疹、トキソプラズマ症、サイトメガロウイルス感染症、ジカウイルス感染症など)
・遺伝子異常による脳の形態異常
・頭部外傷
・髄膜炎
・敗血症
・重度の脱水
なども原因として挙げられます。
感染症はワクチンによって予防することが可能なものもあります。感染したからといって必ず脳性麻痺になる、というわけではありません。また、脳性麻痺は原因を特定することが難しい場合も多くあります。
脳性麻痺の症状とは?
脳性麻痺の発生率は、1000人に約2人の割合ということが明らかになっています。
脳の損傷部分や程度は人によって異なるため、ひとことで「脳性麻痺」といっても、症状はさまざまです。動きにぎこちなさがみられるぐらいの人もいれば、四肢をまったく動かせないという人もいます。ここでは症状による分類を紹介します。
大脳で運動神経を司る錐体路系という場所が傷つくことで生じるタイプで、脳性麻痺がある子どもの70%以上が痙直型です。
おもな症状は筋肉のこわばり(痙直)です。体のさまざまな部分の筋肉が緊張しつづけ、突っ張った状態になっています。症状があらわれる部位は以下です。
・両腕と両脚(四肢麻痺)
・両脚(両麻痺)
・片側の腕と脚(片麻痺)
・両脚と下半身(対麻痺)
症状が出ている部位は、筋力が低下したり、高い緊張状態が続くために、望ましくない姿勢に変形してしまうことがあります。
また、こわばりが出ているために、脚を交差して歩くハサミ足歩行やつま先立ち歩行をすることもあります。
四肢麻痺がある場合、けいれん発作や嚥下障害、知的障害もみられることがあります。両麻痺、片麻痺、対麻痺の場合は、知的障害はあまりみられません。大脳の奥深くにある大脳基底核という場所が傷つくことで生じるタイプで、脳性麻痺のある子どもの約20%がアテトーゼ型です。