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自閉症息子の「ランドセル姿」を一目見たい親心。特別支援学校はリュック一択と思っていたら…!?

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結論から言うと…特別支援学校は必ずしもランドセルがNGというわけではない


特別支援学校への通学かばんは、一般的な学校に比べてかさばる持ち物が多いこと、子どもの扱いやすさを考えて、リュックが適していると思われることが多いです。しかし、必ずしもランドセル通学がNGというわけではありません。

私の息子は知的障害を伴う自閉スペクトラム症があり、特別支援学校に通っていますが、息子の学校でもランドセル通学は問題なく許可されています。そして、何より息子自身がランドセルで通学しているのです。

ただし、学校によってはランドセルが許可されていなかったり、指定のかばんがある場合もあるかもしれません。そのあたりはぜひ、個々の学校に直接問い合わせてみてください。そして、もしランドセルが許可されているのなら、はじめからリュック一択とせず、ランドセルを検討する余地もあるのではないかと私は考えています。

リュックに決めていたけれど…背負わせてみたかったランドセル

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Upload By べっこうあめアマミ

息子の進路が特別支援学校に決まり、入学準備を考えはじめた時、私は通学かばんはリュックでと考えていました。
深い意味もなく、特別支援学校とはそういうものだと思っていたからです。特別支援学校では教科書を使った学習はほとんどなく、持ち物の大半は衣類や給食グッズなどの雑貨類。ランドセルのような角ばった形である必要はないし、「大容量のリュックであるべきだ」という固定観念にとらわれていたのです。

しかし、入学が近づくにつれ、店頭やテレビCMなどでランドセルが目につくと、私はなんともいえない胸のザワザワ感に襲われるようになりました。当時、両親や義両親からランドセルの話をふられても「うちは特別支援学校だから必要ない」と言い切っていた私は、心のどこかで強がっていたのかもしれません。「ランドセルを選ぶなんて、”普通”にこだわっている親に見られるんじゃないか」「特別支援学校に通うと決めたのに割り切れていないみたいに思われそう」そんな、ほかの保護者に対する謎の見栄があったように思います。

そうやって、心の奥底には「息子のランドセル姿を一目見てみたかった」という本心があったのに、無理やり蓋をしていたのでした。

「うちは両方買いました」説明会で聞いた第三のアイデア

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年が明け、特別支援学校の入学説明会に行った時のことです。
通学用品の説明の中で、「通学はリュックでもランドセルでもどちらでも大丈夫ですよ」という話がありました。特に保護者から質問があったわけではなかったのですが、在学中のお子さんにもランドセルを使っている方はいて、荷物が多い日だけリュックを使うなどして対応していると教えてくれました。

私はその話が気になり、たまたま近くに座っていた方に、通学かばんについて話をふってみました。すると、その方から思いもよらない答えが返ってきたのです。その方は、すでに両親に子どものランドセルを買ってもらったと言うのです。そして何の迷いもなく、普段はリュックで、荷物が少ない日だけランドセルを使うつもりだと言いました。「もし使わなくても、入学式の日だけでもいいから、やっぱりランドセルを背負わせたくて」

私はその言葉を聞いて、ずっと胸の内を支配していたザワザワがパァッと晴れていくように感じました。「どちらかに決めなくていい、両方使えばいいんだ」「特別支援学校に決まってもランドセルを背負わせたいっていう気持ち、私だけじゃなかったんだ」そう思うと、一気に気持ちが楽になりました。


狙い目は値下げ後のランドセル、息子のうれしそうな顔に、購入を即決!

自閉症息子の「ランドセル姿」を一目見たい親心。特別支援学校はリュック一択と思っていたら…!?

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次の休みの日、私たち家族は量販店にランドセルを見に行きました。するとそこで、うれしい誤算がありました。時は2月。すでに次年度入学者向けのランドセル商戦はほぼ終わっています。そうなると、型落ちとなった次年度入学者向けのランドセルが軒並み値下げしていたのです。結局、息子のランドセルは2万円程度で買えました。すでに買っていた大容量のリュックも2万円程度。あわせても4万円。
近年のランドセルの相場を考えると、決して高すぎる出費というわけでもありません。

そして、何よりも喜ばしかったのが息子の反応でした。ランドセルを初めて背負った息子は、うれしそうな笑みを浮かべ、ずっと手放そうとしなかったのです。「やっぱりランドセルってうれしいよね、一生に一度のことだもの、買ってあげたいよね」そう思った私と夫は、その場で即決でランドセルを購入したのでした。

入学後、ランドセルって実際どうだった?

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4月になり、息子は無事、特別支援学校の入学式の日を迎えました。あの日買った、ピカピカのランドセルを背負う息子を見て、私たちはやっぱり「買ってよかった」と思ったのです。

そして、意外にも同じようにランドセルを背負っているお子さんは何人もいました。「入学式だけかもしれないから」そう言いながら、うれしそうにはにかむ保護者の方。
入学式だけだとしても、一生にたった一度の機会、ランドセルを背負わせたっていいじゃない、と思うのです。

入学後も、うれしい誤算がありました。実は、意外とランドセルの出番が多かったのです。あくまで息子の場合ですが、小学1、2年生の間は、一年のうちで学期末と学期始め、夏のプールの日、1ヶ月に1回あるかどうかの特別な持ち物がある日以外は、全てランドセルで通学できました。つまり、リュックの出番のほうが少なかったのです。

その後、本人の体格が大きくなったことにより着替えのかさが増えると、徐々にランドセルではきつくなってきましたが、もともとの値段を考えたらこれだけ使えれば充分かなという気もします。息子が利用している放課後等デイサービスが、施設に着替えなどの持ち物を置いておける施設だったことも、荷物が多くなりにくかった要因かと思います。

このように、通う学校や利用する施設、子どもの体格などによって差は出ますが、特別支援学校でもランドセルで長く通える例もあります。
来年度、お子さんの特別支援学校入学を考えている方も、いずれ特別支援学校へ入学することを視野に入れている方も、ランドセルをあきらめるのは早いかもしれません。

このコラムで、かつての私のようなザワザワ感を感じていた方の気持ちが少しでも晴れれば、うれしく思います。

執筆/べっこうあめアマミ

(監修:初川先生より)
特別支援学校に就学するにあたってランドセルを使用するかどうかについての迷いや決断についてのシェアをありがとうございます。ランドセルには小学生になったこと、これからは学校に通って勉学にも励む年齢になったことなどさまざまな象徴的な意味合いが含まれますね。お子さんからしても、あの独特な形や風合いがかっこいい、憧れのように感じる場合もあるでしょう。本人、保護者や家族の心理的な意味合い、そして、実用的な面からの意味合い。だいぶ軽くなったとはいえ、ランドセルは何も入っていなくてもある程度の重さがあり、固さもあります。窮屈に感じるお子さんもいるかもしれません。
そうした、それぞれを考えて決断された“両方使う”。そこに至るまでの悩み、逡巡含めて、とても共感的に読ませていただきました。きっと同じく心がざわざわしながら入学準備されている方にもご参考になると感じました。ありがとうございます。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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