発達障害は治りますか?【公認心理師・井上雅彦先生にきく】
Q:子どもの発達障害は、治せるのでしょうか?
A:発達障害の診断の有無に限らず、本人の得意なことや苦手なことを理解させ、さまざまな相談や工夫によって乗り越えたり、解決するよう支援することが大事です。
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発達障害は、原因として中枢神経系の機能に困難があるといわれています。それが、環境との兼ね合いの中で症状が強まったり弱まったりするともいわれています。発達障害の程度にもよりますが、症状として軽減する、年齢と共に適切な環境と療育によって症状はあるけれども問題にはならない、本人としての困難感はあるけれどもできる行動は増えていくということはあります。例えば、小さい頃は感覚の過敏性がひどく、こだわりのためにパニックを起こしたり、衝動的な飛び出し行動があったりということが、加齢と共に過敏性は感じられるものの行動の出方としては、やりすごすスキルや、対処法を身に付けていくことで問題とならなくなるなどです。
また、発達障害の特性が軽いタイプの子どもの場合、診断基準を満たさなくなり診断が外れることもあります。しかし、この場合も本人が感じる困難さは残っていることが多く、注意は必要です。
いっぽう、発達障害としての特性を理解しないで、本人の努力不足として叱責されたり、自信を失ったりすることで自らを追い込んでしまい、思春期位で不安や抑うつ症状が強まってしまうこともあります。
診断の有無に限らず、本人の得意なことや苦手なことを理解させさまざまな相談や工夫によって乗り越えたり、解決するよう支援することが大事です。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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