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志望校を変えたらゲーム三昧!?発達障害息子の高校受験、通信制入学後の様子は…【読者体験談】

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勉強は自己流、成績が伸びず志望校を変更


息子は現在高校1年生。小学校1年生でASD(自閉スペクトラム症)、中学1年生でLD・SLD(限局性学習症)と診断を受けました。また、聴覚過敏もあり、小中学校は特別支援学級に所属していました。

中学3年生だった一年前、私たちは進学について悩んでいました。

息子は全日制の普通科高校を志望していたのですが、勉強は自己流。主に学校から配布された参考書や補助教材の問題集に取り組んでいました。ただし、好きな教科しか勉強せず、嫌いな教科は一切手をつけません……。当然成績は思うように伸びませんでした。


そんな中、高校の体験入学をした息子は、自分をいじめていた同級生が同じ学校を受けることを知りショックを受けていました。また、中学校とは異なり、全日制の高校には特別支援学級がありません。クラスの人数も多い全日制の学校で息子は「自分はやっていけるのだろうか?」と心配になり、学級担任の先生に相談、志望を通信制の高校へ変更しました。
私は最初から息子には通信制が合っていると思っていたので、「息子にとってもあっていると思うよ!」と賛成しました。

ですが、通信制の高校に決めた途端、息子はすべての勉強を辞め、ゲーム漬けになってしまったのです。

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受験勉強をしない息子。試験本番は人の多さに面を食らい……

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勉強をしなくなってしまった息子。あまり勉強をと急かすのも良くないなと思い見守りました(「やろとしていたのに、やる気がなくなった!」など言われないように……)。

幸いにも、中学校では通信制高校のテスト傾向を把握しており、授業中に試験対策をしてくれました。
苦手な作文には苦労していたようで、私は大丈夫なのかとハラハラ……。

そして受験当日、息子はそんなに緊張はしていない様子でしたが、会場に着くと受験生とその保護者の多さに面食らっている様子でした。
私は校舎に入る息子を見送り(どうか緊張せず実力を出せますように……!)と祈ることしかできませんでした。

通信制高校へ合格!「選んで良かった!」というサポートが行き届いた学校生活


息子は無事、第一志望の通信制高校に合格しました!

息子が入学した通信制の高校はコース選択があり、週に3日スクーリングがあるコースを選びました。スクーリング中にレポートを書くことができるので出し忘れが減らせること、全く外出せずひきこもりになってしまっても……と思い選択しました。

通信制の高校は、発達障害のある子どもが多いのかとてもサポートが行き届いていて「この学校に進学できて良かった!」と息子本人も言っています。
「分からない事はそのままにせず聞いてね」、「困っている事はない?」などと声かけしてくれたり、レポート提出がされていないと、必ず知らせてくれます。
先生方は、適度な距離感を保ちながら、クラス全体を観てくれているようです。


クラスは20人ほどで、にぎやかすぎず、静かすぎずでちょうど良く、クラスメイトとはレポートについて教えあったりすることもあるそう。

生活リズムは、小中学校の時より少しだけ遅寝遅起きにはなっていますが、お友達と出掛ける約束や、大好きなゲームの話などについて、SNSや電話でやり取りしているようです。

友達はたびたび遊びに誘ってくれます。ですが「〇〇に行きたい」と行きたい場所の希望は伝えてくるものの、段取りをつけるのが苦手だそうで、息子が電車の時刻表を見て「何時にどこで待ち合わせをする」といった調整役をしています。そのおかげか、最近では先々の見通しを立てられるようになりました。

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基本、放任主義の私ですが、夕飯時に息子から学校の事を話してくれる事が小中学校の頃よりも格段に増えました。高校が居心地の良い場所になっているようでうれしいです。

高校生になって急成長!社会性が身につきぐんぐん成長しています


また、高校生になって大きく成長したと感じるのは、社会性が身についたことです。
今までなら絶対にやろうとしなかったボランティア活動などにも参加するようになりました。

先生が誘ってくれて、入る前に見通しが立つよう事前に説明をしてくれたそうです。何をやるのかの見通しが分かったので、抵抗感なく参加できるようになったと言っていました。いままで参加しなかったのは、やりたくないのではなく、どうすればいいかわからず不安だからできなかったのですね……。それに気づいてサポートし、息子のできることを伸ばしてくださる先生方には感謝しかありません。

また現在は、発達障害のあるお子さん向けの寺子屋的な教室でアルバイトをしています。以前はそちらにお世話になっていたのですが、今度は教える側になったことは、親としてもとても感慨深いです。

生徒たちは、各々が言いたい事、やりたい事をしたり、上手くできないと癇癪を起こしたりすることもあります。
息子はそんな生徒たちを見て「まるで、小さい頃の自分を見ているようで。その気持ちすごく分かる!」と言っています。そして「お互いに譲らなきゃいけなかったり、相手の話も聞いてあげなきゃ……ということも多いんだよね」と話す姿を見て
相手の気持ちを考えることや、自分自身を客観視することなどができるようになってきたと感じています。

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息子は大学進学を希望しています。
また進学先に迷うことがあると思いますが、社会性を身につけてきた今なら、高校受験の時より心配も少なくなるかなと思っています。どんどん成長していく息子がまぶしいです。これからも楽しい高校生活が送れますように。

イラスト/ネコ山
エピソード提供/しのっぺ

(監修:鈴木先生より)
今の日本の高校教育の中で神経発達症に一番理解のある学校は通信制と言っても過言ではないでしょう。
私立でサポートが行き届いている学校もありますが、わずかしかないのが現状です。通信制の高校は身近にあって自由がきくので、神経発達症のお子さんには向いているようです。神経発達症のみならず、朝起きられず午前中調子の悪い症状のある起立性調節障害のお子さんにも向いているようです。一旦全日制の普通科高校に入学しても中退して通信制に転校したことで一日のリズムが整い、心身共にすっきりしたお子さんが多いと、日頃の外来で感じています。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。

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