子育て情報『作業療法はハッピーに過ごせることがゴール!保護者と作業療法士の連携のコツは?【日本作業療法士協会 酒井常務理事取材】』

作業療法はハッピーに過ごせることがゴール!保護者と作業療法士の連携のコツは?【日本作業療法士協会 酒井常務理事取材】

というもの。どんな理由があっても、人権が損なわれてはいけないというスタンスで物事を考えることです。先ほどのケースでは、難病がある=外に出られなくても仕方がない、ではいけない。ほかにも、強度行動障害がある=身体拘束をしても仕方ない、ではだめなのです。現状はそうせざるをえないのかもしれませんが、極めて懸念される事態であり、なんとかしなくてはいけないという認識を持つことが大事ということです。この学びによって、自分の中でより「活動・参加」に沿って考えられるようになりました。

――「仕方がない」「諦めて当然」ではないのだと。

酒井:私たち支援者が諦めたら誰がやるのか。
この子たちを知っている支援に携わる人間が、今の限界にしっかり気づき、仕方ないではなく子どもが権利侵害を受けている認識がないと前に進むことができません。

少し難しい話になってしまいましたが、分かりやすく言うと「子どもの可能性を形にする」です。目の前にいる子どもの可能性を、小さいことでも形にできるか。保護者の方が「無理じゃないか」「そんなことできると思わなかった」を、「うちの子、できるんですか!」につなげていく。それは、重度心身障害のお子さんが指を一本動かせることかもしれない、重度知的障害のお子さんが名前を呼ばれた時に立ち止まれることかもしれない。保護者の方にお子さんの可能性を見せていくことを大事にしていきたいですね。


「意見が合わない」は多職種連携の一歩

――「活動・参加」を目指すために、より多職種連携が大切になりそうです。

酒井:そうですね。
お互いに平等であるという考え方のもと、連携を強化していく必要があります。私は、通所事業所で時々聞く、「保育士と専門職」という言い方もおかしいと思っています。保育士の方も、専門職ですよね。あくまで、専門性が違うだけですから。

また、多職種連携では意見が合わなくて当たり前なのです。意見が合わないことが分かりましたというのは、残念なことではなく多職種連携の一歩を踏み出せたということ。意見を合わせることが大事なのであれば一職種でいいということです。子どもと家族のハッピーに向けて、同じ方向を見ることができればうまくいくはずなのです。



作業療法士には「お子さんの全部」を話してほしい

――保護者の方が作業療法を受ける際に意識するといいことはありますか。

酒井:まずお伝えしたいのが、「焦らなくて大丈夫」

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