COSMINに準拠したLITALICO発達特性検査の開発とは?信頼性や妥当性のある尺度開発のガイドラインについて解説します
そのため、尺度に十分な妥当性と信頼性がある尺度を開発するためには、尺度の教示文や質問項目の内容などについて、しっかりと検討する必要があります。
COSMINの目的と特徴
尺度は受検者が自ら回答する検査ツールです。健康に関わるQOL(生活の質)や自覚症状、日常生活の機能状態などについて、受検者が自ら気持ちや体験をどのようにとらえているのかを数量的に測定することができます。そのため、近年では発達障害の分野でも尺度がよく用いられるようになり、さまざまな尺度が開発されてきました。
尺度を開発したり使用したりする場合、それぞれの主観で回答しても一定の結果が得られるか、検査結果と実際の状態に大きなずれがないかなどは、検査の品質として検討され、担保されなくてはいけません。つまり、こうした受検者が主観で回答するという特性を考慮したうえで、尺度に十分な妥当性と信頼性がある必要があります。
ですが、これまで、どうやって信頼性や妥当性を担保するのかというのは研究者間でも考え方が分かれ、基準や意見の一致がほとんどない状態でした。そのため、信頼性や妥当性を十分に評価されていない尺度が使われているのではないかという懸念もありました。
このような背景や課題に対し、尺度特性を評価するための標準的な基準として開発されたのがCOSMINです。COSMINでは、信頼性や妥当性といった心理測定学的特性を下の図のように分類しており、それぞれに対して評価基準が明確に設定されています。2018年に国際的専門家による合意形成によってガイドラインが改訂され、具体的に検証を進めるためのチェックリストなども開発されています。
Upload By LITALICO発達特性検査 編集部
COSMINでは、チェック結果が高い品質になるよう、事前にしっかりと研究計画を立てて開発を進めることが重要です。COSMINでは、チェックリストに含まれている評価項目一つひとつに対して、「とても良い」から「不適切」までの4段階で評価していきます。このチェックリストを使うことで、検査が妥当なものであるか、信頼できるものであるかどうかを、慎重に評価して開発することができます。
なぜLITALICO発達特性検査はCOSMINを使って開発したの?
LITALICO発達特性検査では、検査の品質を重要視して開発しています。品質担保の観点でCOSMINを開発指針として採用した理由としては、主に以下の2点が挙げられます。