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過敏性腸症候群の治し方は?4つのタイプ別症状、薬、セルフチェック表も【医師監修】

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過敏性腸症候群とは?原因は?


過敏性腸症候群とは、腹痛や腹部の不快感を繰り返し、便秘や下痢も見られる消化管の疾患です。20代までの若年層に多く、子どもの腹痛に関する疾患としてもよく知られています。トイレに何度も行くことへの抵抗感で学校に行きづらくなるなど、社会生活に影響を及ぼすことがあります。

厚生労働省のサイトによると、過敏性腸症候群は以下のように定義されています。

過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)は、大腸の正常な機能を妨げる慢性疾患です。症状としては、腹痛、腹部疝痛(痙攣)、腹部膨満感、便秘、下痢などがあります。IBS患者の多くは、症状を軽減するために補完療法に頼ることがあり、そして、これらのアプローチの中には、いくらか有用である可能性を示す新たなエビデンス(科学的根拠)も出てきています。
過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)と補完療法について知っておくべき7つのこと|厚生労働省ejim

https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/communication/c03/11.html
過敏性腸症候群の原因はまだ明確には解明されていませんが、ストレスが大きな要因の一つと考えられています。
大きなストレスを受けることによって、自律神経のバランスが乱れることが、過敏性腸症候群を引き起こすと考えられています。

具体的には、ストレスによって腸の運動機能に異常が生じることや感覚が過敏になることが挙げられます。また、ストレスによって免疫機能が低下することが、腸の炎症を悪化させる要因になっている可能性もあります。このようにストレスが身体に影響を及ぼすことを心因性と言い、子どもの場合は入学や転校などの環境の変化、学習や人間関係の悩み、別の疾患や不調などが考えられます。

ストレス以外にも過敏性腸症候群の原因として考えられるものとしては、遺伝や食習慣、腸内細菌のバランスの乱れ、消化管ホルモンの乱れ、感染性胃腸炎後など別の疾患の影響といったことが挙げられています。

過敏性腸症候群を発症する原因は一つだけではなく、ストレスなどの心理社会的因子やホルモンの乱れなどの生理学的因子などさまざまな要因があります。

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/01-%E6%B6%88%E5%8C%96%E7%AE%A1%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%81%8E%E6%95%8F%E6%80%A7%E8%85%B8%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%EF%BC%88ibs%EF%BC%89/%E9%81%8E%E6%95%8F%E6%80%A7%E8%85%B8%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%EF%BC%88ibs%EF%BC%89
参考:過敏性腸症候群(IBS)|MSDマニュアルプロフェッショナル版

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010/003.htm
参考:第2章 心のケア 各論Ⅰ心のケアの基本|文部科学省

過敏性腸症候群の治し方は?4つのタイプ別症状、薬、セルフチェック表も【医師監修】

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過敏性腸症候群の症状や治し方は?


過敏性腸症候群は消化管の病気で、腹痛や腹部の違和感、繰り返される下痢や便秘、腸内にガスが溜まることによるお腹の張りやガスなどがよく見られますが、人によって大きく異なります。腹痛は排便によって和らぐこともありますが、良くなったり悪くなったりを繰り返すことも特徴として挙げられます。


過敏性腸症候群は、排便の状態によって大きく「便秘型」、「下痢型」、「混合型」、「分類不能型」の4つのタイプに分けられています。便秘型は便が硬くなかなか出てこない、下痢型は液体状の便がよく出てくる、混合型は両方の特徴を持っていて便秘と下痢を繰り返すという特徴があります。

分類不能型はいずれにも該当せず、人によって症状が異なるタイプで、「ガス型」などの分類があります。ガス型は腸内にガスが溜まることで以下のような症状を引き起こします。

・頻繁なおなら:おならの回数が多くなったり無意識に出たりする
・お腹の張り:ガスによってお腹が膨らみ不快感が生じる
・腹痛:腸壁をガスが刺激することによって痛みが生じる
・腹鳴(ふくめい):ガスの移動によって、お腹からごろごろという音が鳴る

こういった症状があることで、「授業中おならが出るのでは」「周りは匂いを気にするのでは」という不安が生じて、学校に行きづらくなるなど社会生活に影響が出ることもあります。

過敏性腸症候群のガス型になる原因としては、ストレスや食生活、腸内細菌のバランスの乱れなどが考えられています。

・ストレス:ストレスを感じることで腸の働きが悪くなってガスがたまりやすくなる
・食生活:豆類、乳製品、発酵食品、炭酸飲料など特定の食品により、腸内のガスが増えやすくなる
・腸内細菌のバランスの乱れ:腸内には善玉菌、悪玉菌、日和見菌といった腸内細菌があり、そのバランスが崩れるとガスが生じやすくなる
ガス型の原因によっても治療方法が異なるため、医師の診察を受けて原因を特定し、それに合わせた治療を行っていくことが必要です。

https://doi.org/10.2169/naika.102.70
参考:金子 宏, 後藤 秀実著「4.過敏性腸症候群(IBS)の病態・診断・治療 」日本内科学会雑誌 102 巻 (2013) 1 号 p.70-76

https://doi.org/10.15064/jjpm.33.8_705
参考:金沢 文高, 小宮山 博朗, 前田 基成, 松田 弘, 美根 和典, 中川 哲也著「不登校を呈した過敏性腸症候群ガス症状優位型に対する行動療法」心身医学 33 巻 (1993) 8 号 p.705-709

https://doi.org/10.32183/ifcm.17.1_8
参考:立垣 愛郎 著「乳酸菌の健康機能」全人的医療/17 巻 (2018) 1 号 p.8-19

過敏性腸症候群の治療方法は食習慣を含む生活習慣の改善を基本に、服薬や心理療法も行っていきます。
過敏性腸症候群を完治させることは難しく、自身に合った治療法を見つけ症状をコントロールできるようにし、生活に支障が出ないようにしていくことが大切と言われています。

生活習慣の改善では医師により睡眠の安定や規則正しい食事、特定の食品の調節、ストレスコントロールなどの指導が行われます。食事では多くの場合水分を多くとることが推奨され、症状を悪化させる要因となる食品を減らしていくことが多いです。服薬では便秘型や下痢型など症状のタイプによって薬を処方するほか、抗うつ薬が用いられることもあります。不安やストレスが原因となっている場合には、心理療法として認知行動療法を行っていきます。

過敏性腸症候群の適切な治療を行うためにも、医師の診察を受けることが大事です。過敏性腸症候群の診察は「ローマ基準」という診断基準に基づき、問診を中心に行われます。問診で確認される内容としては、症状の期間、便の状態、痛みの種類、既往歴、食事習慣などがあります。
また、ほかの疾患との鑑別のため、出血、体重減少、夜間の下痢の有無などの確認も行われ、必要であれば別途血液検査などが実施されます。

https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/01-%E6%B6%88%E5%8C%96%E7%AE%A1%E7%96%BE%E6%82%A3/%E9%81%8E%E6%95%8F%E6%80%A7%E8%85%B8%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%EF%BC%88ibs%EF%BC%89/%E9%81%8E%E6%95%8F%E6%80%A7%E8%85%B8%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4%EF%BC%88ibs%EF%BC%89
参考:過敏性腸症候群(IBS)|MSDマニュアルプロフェッショナル版

過敏性腸症候群は生活習慣の改善や服薬によって症状をコントロールすることも可能です


過敏性腸症候群は長期間腹痛や腹部の不快感を繰り返し、下痢や便秘、ガスがたまるなどの症状が表れる、子どものお腹の疾患においてよく見られる疾患です。

過敏性腸症候群の原因はストレスなどの心理社会的因子とホルモンの乱れなどの生理学的因子が関わりあっていると考えられています。
過敏性腸症候群を完全に治す方法はまだありませんが、生活習慣の改善や服薬によって症状をコントロールすることは可能です。適切な治療を受けるためにも、お子さんに過敏性腸症候群の症状が見られるときには病院を受診するようにしましょう。

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