11/15公開!ドイツで100万人動員の大ヒット映画「ぼくとパパ、約束の週末」自閉症の息子と家族が教えてくれる大切なこと【モデル父子インタビュー】
僕も、妻もASD(自閉スペクトラム症)と向き合うのは初めてだったからこそ、最初は、間違った対応をたくさんしてしまいました。それこそ、パスタとソースが触れて、パニックになり、何も知らない周りの人達からいろいろ言われた時は、どうしていいか分からなかったんですよね。でも、今の私たちは、周りの言うことなどどうでもよく、ジェイソンがやりたいようにやらせてあげられるようになりました。というのも、ASD(自閉スペクトラム症)の人が、社会において、きちんとした立ち位置、居場所を得なければいけないと思っているので、その第一段階として、親である私たち夫婦が、ジェイソンそのものをまるっきり受容しなければいけないと思ったんです。その決意は確固たるものなので、その気持ちが揺らぐことはないですね。現在、大人になったジェイソンは自立し、遠い地域に離れて暮らしていますが、もし私たちの助けを求めているのなら、すぐに飛んで行って助けてあげたいと思っています。
ジェイソン:こうやって助けてくれた両親がいることに、僕はすごく感謝しています。でも、ASD(自閉スペクトラム症)の人も1人の人間として、まっとうな権利をもっているからこそ、要求が満たされて生きる価値、自分が生きやすいように生きる権利があるんです。
それに、お父さんは全部のサッカーを見て、推しのチームを決めることを約束してくれたので、その約束は守らなくちゃいけないから、そこは感謝というよりも、当たり前のことですよね。
ミルコ:おいおいおい(笑)!長距離の会場まで付き合っているんだからそこは感謝してほしいんだけど(笑)!
ジェイソン:あはは。
――ジェイソンさんは、ASD(自閉スペクトラム症)の子どもたちに、どんなメッセージを伝えたいですか?
ジェイソン:「君は今のままでいいんだよ」と伝えたいです。この言葉は、映画の中で祖父がジェイソンに向かって言うセリフなんです。これは私が今作のなかで一番大事なメッセージだと思うんですよね。ASD(自閉スぺクトラム症)の人は、自分を社会に適応させたり、自分を社会に適応させるために変える必要はまったくないと思うんです。だって、ASD(自閉スペクトラム症)であることは間違いではないですし、本人にとって負担、重荷であることはないんですよね。そこに適応ができないところに身を置くと、そう思ってしまうだけなんです。
なので、当事者の方はもちろん、その家族の方々も、そのメッセージを受け取ってもらえたらうれしいです。