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5歳児健診の目的、検査方法は?発達に関するチェックポイントも【専門家監修】

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5歳児健診とは?何のために行う?この時期の健診が重要な理由


5歳児健診は、主に就学前の発達上の課題などの早期発見と支援につなげることを目的としています。また、生活習慣の指導も目的に含まれています。

5歳児は言語理解力や社会性が発達するとともに、課題が顕在化しやすい時期でもあるため、この時期に健診を行うことでお子さんの特性を早期に把握し、適切な支援につなげやすいと考えられています。実際に5歳児健診により不登校発生数が減少したという調査もあります。

5歳児健診は3歳児健診などとは異なり実施は任意なので、実施していない自治体もあります。ただ、こども家庭庁では令和10年度をめどに全国展開を目指していて、自治体への助成などを強化しています。

https://gosaiji-kenshin.com/for-parent/
参考:5歳児健診ポータル保護者の方へ|こども家庭庁

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/0238af12-b583-4c09-9a67-0f2f7cb19c1c/1b5db65b/20241120_councils_shingikai_seiiku_iryou_0238af12_05.pdf
参考:乳幼児健診について|こども家庭庁

https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f3e5eca9-5081-4bc9-8d64-e7a61d8903d0/348cf530/20240530_policies_kodomo-taikou_50.pdf
参考:こどもまんなか実行計画2024|こども家庭庁

発達が気になるお子さんにとっての5歳児健診は、3歳児健診では気づきにくく、就学前には気づいて対応したい発達上の課題を発見でき、早期の支援につなげるなど就学に向けて準備できるという意味合いがあります。

5歳になると言語の発達が進んでいたり、園などで集団活動する機会が増えたりと3歳の頃とは状況が変わっており、新たな課題が顕在化することも多いと言われています。
また、家庭内でも睡眠リズムが整わないなどの生活習慣やテレビやタブレットの動画視聴などメディアの利用でも気になる点が生じているかもしれません。5歳児健診はそのことに気づく機会になるとともに、家や集団生活で日ごろ気になっていることを専門家に相談して保護者の不安を解消する機会ともなります。

また、5歳児健診は小学校に入学する前の就学時健診とも内容や目的が異なります。5歳児健診は就学時健診の約1年前に実施されるため、何か課題があった場合でも小学校入学前に医療や福祉などの支援につなげやすい点が特徴です。それとともに、発達に課題がある場合はお子さんの通っている園や入学予定の小学校と情報共有も行います。

対して就学児健診では、内科や眼科、歯科の健診や教師による面談で学校生活を送る上で課題となる疾患を早期に発見することが主な目的となっています。

https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/5歳児健診マニュアル.pdf
参考:5歳児健康診査マニュアル|令和3年度~5年度 こども家庭科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業

5歳児健診では何をするの?具体的な内容をチェック


5歳児健診は自治体によって集団で行う場合と、小児科のクリニックなどで個別に行う場合があります。保護者やお子さんとの問診や計測などを通してさまざまな項目を確認していきます。
事前に問診表を提出し、身体計測、診察、保健指導、相談などを行う、というのが大まかな流れです。

具体的な内容は以下のようになります。
身体計測:身長、体重などを測定し、成長の進み具合を確認します
目や耳の検査:問診や診察を通して疾患の可能性などを確認します
精神・神経発達の確認:会話やしりとりなどを行い、知的能力や言語能力、社会性などを確認します
運動機能の確認:片足立ちなどを行い、粗大運動・微細運動の発達などを確認します
生活習慣の確認:食事、睡眠、排せつ、歯磨き、メディアの利用状況などの生活習慣を確認します
その他:必要に応じて医師、保健師、管理栄養士などによる保健指導や心理相談を実施します

以上のような内容で行われ、3歳児健診時点の結果なども踏まえたうえで、発達の遅れなどを判断していきます。
※自治体によって健診の内容には違いがあります

5歳児健診では、運動・言葉・社会性・認知など、子どもの発達状況を確認するために、さまざまな項目が実施されます。具体的には片足立ちやしりとり、じゃんけんなどを通して一定の基準に照らして判断していきます。片足立ちは運動機能に遅れがないかをチェックするために行います。具体的には、片足立ちで左右とも5秒以上できるか、著しい左右差がないかを確認します。運動機能のチェックにはほかにもボタンのかけはずしや図形の描写などがあります。


しりとりでは知的能力、ルールの理解、対人コミュニケーション能力などの精神発達をチェックします。5歳児は目安として3往復以上のしりとりができるとされているため、うまくできない場合は発達の遅れや難聴などの可能性が考えられます。じゃんけんも勝ち負けやリズムに乗ってできるかによって、発達の遅れがないか確認します。

ほかにも会話を通しての言語理解、家庭や保育園での様子のヒアリングなどを通してお子さんの発達状況を確認していき、気になる様子があれば専門機関への相談などへつなげていきます。

https://www.jpa-web.org/dcms_media/other/5歳児健診マニュアル.pdf
参考:5歳児健康診査マニュアル|令和3年度~5年度 こども家庭科学研究費補助金 成育疾患克服等次世代育成基盤研究事業

https://doi.org/10.32198/jald.33.2_187
参考:田中 駿, 牛山 道雄, 清水 里美, 郷間 英世 著「しりとりを通してみた幼児の言語発達」LD研究 33巻 (2024年)2号 p. 187-195

5歳児健診で発見される発達障害のサインは?発達が気になる時の相談先


お子さんに気になる様子があっても、それが発達障害に関係しているのか判断が難しいと思います。ここでは、5歳頃に見られる発達障害のサインを紹介します。

多く当てはまったからといって、必ずしも発達障害があるとは限りませんが、相談する際の参考にしてみてください。

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https://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/syofuku/files/aomorihattatsu_guide.pdf
参考:青森県子どもの発達支援ガイドブック|青森県

https://cpedd.nise.go.jp/shido_shien
参考:指導・支援|発達障害教育推進センター
お子さんの発達で気になることがある場合は、専門機関に相談することでアドバイスや適切な支援などを教えてもらえることがあります。
ここでは5歳児のお子さんの発達について相談できる窓口を紹介します。

【お子さんの発達に関して相談できる窓口】
自治体の発達相談窓口:自治体の窓口や児童相談所などで相談対応や支援機関などの紹介を受けることができます
かかりつけの小児科医:専門的なアドバイスや医療機関などの紹介を受けることができます
精神保健福祉センター:発達障害に関する相談や、医療機関の紹介などを受けることができます
発達障害者支援センター:発達障害に関する専門機関でアドバイスや支援、情報提供などを受けることができます
児童発達支援センター:児童発達支援や放課後等デイサービスなどの利用や情報提供を受けることができます

場所によって予約の有無や対面、電話などの相談方法も異なります。まずは相談しやすいと感じる窓口に問い合わせてみるといいでしょう。

https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/sukusupport/sukusupport002.html
参考:1.成長、発達で気になることを相談したいとき|独立行政法人 福祉医療機構 WAMNET

【専門家に聞く】5歳児健診にまつわるギモンを分かりやすく解説!


Q:幼稚園年中の男の子です。家ではあまり困りを感じていないのですが、幼稚園では落ち着きがなく、医療機関を受診するまではいかないけれど今後の発達に少し不安があります。就学時健診だけではなく、5歳児健診も受けたほうがいいのでしょうか?

A:就学時健診だと就学まで1年未満のため、そこで何か対応を検討しても、すぐに支援を受けられない可能性があります。小学校に入学後、スムーズな集団生活を安心して送ることができるように、園での様子を5歳児健診時に相談されることをお勧めします。家だと落ち着いていても、集団で落ち着かない場合、ザワザワした環境が苦手だったり、いろいろな視覚情報が多いことが苦手など、お子さんによっても特性はさまざまです。
お子さんの特性を早めに理解し、環境を整えることで、就学までの時間をより安心して過ごすことができます。

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Q:幼稚園年中の女の子です。人見知りや場所見知りがあるので、検査がうまくできないのではと心配です。5歳児健診にはどのような準備をしていったらよいですか?

A:5歳児健診は、検査という形で身構えて取り組む必要はありません。ご家庭や集団生活のご様子を問診し、健診での診察などを踏まえて総合的に判断します。「知らない場所で知らない大人と話す」というのは誰でも、緊張してしまうことはあります。
少しでも安心して過ごせるように、例えば、
・事前に行く場所を伝えて、先生とお話しするよなど、イメージができるように説明をしておく
・お気に入りにの小さいぬいぐるみやタオルなどを持参する
・「緊張しちゃっても大丈夫」と声掛けする
などの準備をしてお子さんに安心感を与えてください。

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5歳児健診は早期の支援につなげるためにも大切な機会


5歳児健診は3歳児健診では気づきにくい発達上の課題を発見し、早期の支援につなげるためにも大切な機会です。


5歳児健診で発達の遅れなどが見つかった場合、専門家への相談や、園や小学校への情報共有などを行うことで、お子さんが学校生活へ適応するための支援も行っています。

現在は実施していない自治体もありますが、こども家庭庁では早期の全国展開を目指して援助を行っています。また、実施していない自治体でも、似たような健診や発達相談を行っている場合があります。お住まいの自治体のWebサイトなどを確認し、活用していくといいでしょう。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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