発達の不安、情報収集が困難な時期を経て。発達ナビ誕生と子どもの成長を振り返って【もうすぐ開設10周年】
私が発達ナビライターになった経緯
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2014年12月、娘の支援をしてくださっていた先生などからのすすめもあり、私は自身の子育て体験談を4コマ漫画にしてブログで描き始めました。
漫画といっても私はプロでもなくただの一保護者です。アナログ人間の私が苦手なデジタル作業などは、パソコンが得意な当事者の娘(中学3年生)が担ってくれました。
翌年、ブログを見たLITALICOの担当者さんから、新たに立ち上げるサイトのライターの依頼がありました。当時はWeb会議ツールは今ほど普及しておらず、私は詳細説明を受けるため東京のLITALICO本社に行きました。
担当者の熱意
新設サイト担当者のLさんは若く熱意あふれる女性でした。
LITALICOジュニアで児童指導の経験もある彼女は「お子さんを指導していくなかで『保護者が元気なこと』が、お子さんのためには一番良いことだと感じたんです。だから保護者の方々が元気になれるようなサイトを作りたいんです」そして「今までなかった『全国の情報が集まるサイト』にしていきたいと思っています」とお話してくださいました。
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乳幼児健診で指摘はされませんでしたが、未就園児の頃から私は娘の発達に違和感を抱いていました。
身近に頼れる親戚もいなかったため、私は自治体の相談窓口や保健師さん、赤ちゃん広場・児童館の支援員さんなどに相談をしたり、未就園児を対象とした幼・保育園の体験プログラムなどに積極的に参加しました。
困りごと感を理解してもらえなかったことも度々もありましたが、めげずにあちこちに相談しているうちに子育て支援センターに繋がり、親同伴の療育プログラムを受けることができました(その頃私は『療育』という言葉すら知りませんでしたが)。
もしこのとき私に体力や精神的な余力がなかったら、周りに相談したり、あちこち出向いていくことはできず、きっと孤独の中で娘と二人煮詰まっていたことでしょう。
娘は小学生の間は『グレーゾーン』と言われていて、療育センターではこれといった療育は受けていませんでした。娘は表面上は会話はできます。
得手(読むこと、暗記、絵を描くこと)不得手(運動、計算)の差が大きいです。
人は好きですが、他人とのコミュニケーションが苦手です。
受け身で自らトラブルを起こすことはありませんが、高学年になってからは、いじめにもあいました。
なので進路には、とても悩みました。
果たして特別支援学校や特別支援学級が娘に合っているのか?
本人はそれを望んでいるのか?
私は中学卒業後の進路先も視野に入れつつ、通える範囲で娘に適した学校を探すことに奔走しました。
『発達障害』『学校』『進路』『中学』『高校』といったキ-ワードの検索魔となり、ヒットしたブログを片っ端から読んだり、学校に関する書き込みや掲示板を目を皿にして読み漁ったりしました。
そしてずっと「情報が一元化してくれていたらどんなに良いか」と思っていました。
新サイトはまさに私がずっと望んでいたものでした。
また「どうぞ荒木さんもこのサイトをどんどん“利用”してくださいね」と『サイトとユーザーのwin-winの関係』を示唆するLさんの茶目っ気たっぷりなところにも私は好感を抱きました。
新サイトオープン!
2016年1月に、発達障害ポータルサイト・LITALICO発達ナビはオープンしました。
当時は何十人ものライターさんが在籍し、さまざまな記事を書いていました(ライターさんは未就学~小学生ぐらいのお子さんの保護者の方がほとんどでした)。
私は自身のブログを立ち上げた時から、娘のことを書くときは内容に間違いがないかを事前に本人に確認していたので、発達ナビの記事も娘にチェックしてもらってから入稿していました。
サイトオープン当初は当時のメインユーザーに合わせ未就園児~小学生の頃の話をよく書いていたので、娘は自分の記憶にない小さかった頃の話や、その時の親の気持ちを書いたコラムを興味深く読んでいました。
ライターのイロハを学ぶ
今私が持つライターのノウハウは、全て発達ナビ編集部担当さんから教えてもらいました。
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コラムは“初めてサイトを訪れたユーザーさんや、初めて私のコラムを読む方にも分かりやすい内容にすること”が大切です。でも、何本もコラムを書いていくうちに「発達ナビの読者さんなら、このことは知っているだろうから、端折っても良いかな」「この内容は以前もコラムで書いたことがあるから、説明はいらないかも」と思ってしまうことがあります。
そんな時は必ず編集担当者さんから指摘を受けます。
発達ナビのコラムは、担当者の他にも編集部で複数のチェックが入ります。
時間と手間がかかりますが、複数の目で確認することで記事がブラッシュアップされる過程が私は好きです(誤字脱字を直してもらえるのもうれしい!)。
近年では専門家の監修も付くようになり、読者さんがより安心して読める記事になっているかと思います。
情報過多
最近ではSNS上で数多くの子育て漫画や体験談を目にするようになりました。動画配信なども増え、欲しい情報も以前より簡単に手に入るようになってきています。
でも、便利になった一方で、情報の多さゆえに子育てに不安を感じてしまう保護者が増えているようにも感じます。
『障害児の子育てはこんなに大変!』といった内容のものや、アクセス数目的のインパクトのある見出しのものが「おすすめ動画」として次々と出てきてしまったら、不安が増すのは当然なのかもしれません。
小さなお子さんを持つ保護者の方へ
前に述べたように発達ナビは保護者を元気にすること目指しているサイトです。
コラムや動画には必ず何かしらの気付きやヒントがあるはずです(少なくとも私はそう心がけてきました)。
コラムの他にも
『Q&A』では先輩保護者が親身になって答えてくれます。
『コミュニティ』では同じ悩みや趣味を持つユーザー同士が交流しています。
『ダイアリー』は子育て記録や自分の気持ちを公開・非公開でつづることができます。
ユーザーは、プロの支援者や医師ではないので聞かれても答えられないこともあります。
でも、支援者や医師では分からない親としての気持ちを共感しあうことができます。
そして、実体験に基づくちょっとした知恵やアイデアは意外と役に立ったりするのです。
チャレンジ、そして……
自分の子どもに障害があったとしても、将来を悲観する必要は実はそれほどないんです。
何もしなくても良いというわけではありませんが、けっこうどうにかなるものです。
そもそも障害があってもなくても子どもを育てていく上ではいろいろなことがありますし。
ずっと先のことをあれこれ考える時間を、目の前のお子さんと一緒に過ごす時間に充ててほしいと思います。
そして不安を感じたときは周りをどんどん頼ってみてください。リアルでお子さんを見てもらい、プロの方にお子さんへの接し方やアプローチの方法を相談していろいろと試してみてほしいです。
スピードは違うかもしれないけれど、成長しないお子さんはいないので、一度や二度の失敗にはめげず、ぜひいろいろチャレンジしてみてください。
そしてもし少しでも上手くいったアプローチがあったら、それを次の世代の保護者さんに伝えていってもらえたらうれしいです。
今回は小さなお子さんを持つ保護者の方へのお話がメインとなりましたので、小中学生のお子さんを持つ保護者の方へのお話はまたの別機会に書いていこうと思います。
執筆/荒木まち子
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。
現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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