愛あるセレクトをしたいママのみかた

睡眠障害娘に15年添い寝で万年寝不足。体力も限界に…睡眠導入剤メラトベルを使ってみると【読者体験談】

LITALICO発達ナビ

娘の睡眠障害歴は15年、母は万年寝不足


特別支援学校に通う重度知的障害がある娘には、幼児の頃から睡眠障害がありました。障害の影響で脳波異常があるせいか睡眠はコマ切れ、いつまでたっても乳児のような睡眠で1~2時間おきに目を覚ますので、娘が1歳を過ぎたころに仕事復帰した私は万年寝不足。結局寝かしつけには添い乳しか方法がないように思えて、小学生になっても添い寝添い乳する毎日を続けていました。

さすがに小学校中学年位からは添い乳は卒業しましたが、今度は寝かしつけの方法がない。コマ切れ睡眠の上に、5~6時間後にはすっかり目を覚まし遊び始めるのです。つまり、娘が22時に寝るとすると、3時か4時には完全に起きるわけです。

寝かしつけから寝入るまで1時間以上かかることも多かったのですが、その間は真っ暗にしていないといけません。添い寝している大人が先に寝てしまうと娘は絶対に寝なかったので、大人はじーっと娘が寝入るまで腕枕でそばにいる必要がありました。
ぐっすり寝入り、腕枕を外しても大丈夫かなという頃合いを見て寝室を出て、家事や残った仕事をする。そうすると、私が就寝する時間は午前0時をまわります。しかし、娘は明け方前に目を覚ます。つまり、私が眠れるのは3時間か4時間という毎日です。

睡眠障害娘に15年添い寝で万年寝不足。体力も限界に…睡眠導入剤メラトベルを使ってみると【読者体験談】

Upload By ユーザー体験談

母の体は限界、病気に。メラトベルの処方へ


睡眠不足の毎日が祟ったのか、数年前には腎臓を悪くし「このままでは人工透析になるかもしれない」と病院で告げられました。私が倒れたら大変……そう思って、思い切って娘の主治医に入眠しやすくなる薬を処方してもらえないか相談をしました。

当時、日本では病院で処方ができなかった「メラトベル」が小児に処方できるようになった時期でした。メラトベルはメラトニンを補う薬で副作用もほとんどないと聞いて、それであればぜひ試してみようと思ったのです。


娘の障害には睡眠障害を伴うことは主治医もご存じでしたので、すぐにメラトベルを処方してもらえました。すると驚くことに、いままで入眠に1時間以上かけていた寝かしつけが30分以内に。それだけでもずいぶん楽になりました。

しかし、トラブルはまだ続くのです。

添い寝、腕枕の影響で頸椎ヘルニアに


娘は寝るときに腕枕をしないと寝つけない。しかし中学生になると40キロを超え……体はすっかり大人の娘を腕枕するのは重い……。娘が寝入ったら腕を外すのですが、夜中に目を覚ました娘はおそらく寝入ってる私の腕をとって腕枕にするため、朝起きると肩の痛みや手のしびれに気づくことも多くありました。

腕枕をして15年近く。
私の肩や腕は限界だったのでしょうか。数か月前から、肩に激痛が走るようになりました。
五十肩?と思って整体に行ったり湿布を貼ったりしても一向に良くなりません。さすがにおかしいと思い、整形外科に行ってMRIをとると、頸椎ヘルニアになっていて、その影響で肩まで痛くなっていることが分かりました。

悪化したら手がずっとしびれてしまうかもしれません。腕枕している間はもちろん、していないときも、娘がどんどん私の方によって来るため、50センチくらいの幅で寝ることになり、十年以上ろくに寝返りも打てなかったのもよくなかったようです。

意を決して別々のベッドに!意外にも……!?


添い寝しないと寝てくれない。でもこれ以上は私の体が限界になってしまう。


今まで、シングルベッドを2つくっつけて寝ていましたが、「もうお姉さんなので、ママとは違うベッドに寝ます!」と(半ば強引に)宣言し、ベッドを離してみることにしました。

最初は納得がいっていなかった娘でしたが、メラトベルの効果でうとうとしている状態だったためか、なんとか寝てくれました。明け方になるとやはり気持ちのコントロールが難しいのか、こちらのベッドにやってきますが、5時から6時までの1時間程度なら私も耐えられます。最近は、寝るときに自分の足だけ私のベッドにのせて、かすかに母を感じながら寝る技も見出したようです。

ようやく!十数年ぶりに!朝まで熟睡できる毎日を送ることができるようになりました。娘自身も、一人でベッドで寝たほうが睡眠が深そうです。以前は私が隣で動くと、振動で眠りが浅くなるらしく、そのたびに目を覚ましそうになっていたのですが、夜中に目を覚ますこともなくなりました。

睡眠障害娘に15年添い寝で万年寝不足。体力も限界に…睡眠導入剤メラトベルを使ってみると【読者体験談】

Upload By ユーザー体験談

もっと早くベッド離すことができたのかも?とも思いますが、今がきっと娘の心の成長的にもよいタイミングだったのではないかなとも思います。
まだまだ一人きりでは入眠はできず、部屋を真っ暗にして隣のベッドで寝入るまで一緒にいてあげる必要はありますが、お互いのQOLはぐっと上がりました。

重度の知的障害があり、成長は亀のように遅いですが、それでも少しずつ成長しているし、気持ちのコントロールもできるようになってきているのだなぁと思うと感慨深いです。

イラスト/よしだ
エピソード参考/こっこ

(監修:鈴木先生より)
「寝る子は育つ」という言葉もあるように、睡眠障害のあるお子さんは成長ホルモンの出が悪く、低身長になる傾向があります。日中の活動を高め、バタンキューで眠ることができれば良いのですが、重度の知的障がいや神経発達症のあるお子さんは睡眠に問題のあるケースが多くみられます。入眠を早くするためにメラトニンのサプリメントを以前は海外から輸入して利用している方が多かったのですが、最近は神経発達症の診断がついていれば16歳未満に限ってメラトベル(メラトニン製剤)を処方することが可能となりました。睡眠をよくするための睡眠衛生環境も重要です。常夜灯のような弱い灯でもメラトニンを抑制して目覚めさせてしまうこともあるので、ホテルのように小さな窓で照明の明るさも抑えて、寝る時には真っ暗な状態が望ましいのです。従って、寝る前に電子メディアを見るようなことも控えましょう。
日中の散歩をお勧めします。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。
程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

提供元の記事

提供:

LITALICO発達ナビ

この記事のキーワード