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毎日泣いていたあの日の私に「頑張ったね」と伝えたい。自閉症子育てと障害受容を振り返る【発達ナビ10周年企画コラム4/あやこ編】

LITALICO発達ナビ

2020年から連載開始「あやこ」さんと振り返る!


今回は発達ナビ10周年企画として、2020年以前から連載をして頂いているコミックエッセイライターの皆さんのヒットコラムとともにお子さんの成長を振り返っていきます。今回は2020年から連載開始した「あやこ」さんです。

あやこさんの長男いっちゃんは、重度知的障害(知的発達症)とASD(自閉スペクトラム症)と診断されており、現在は特別支援学校の2年生です。これまでのコラムを年代別・テーマ別にご紹介します。

毎日泣いていたあの日の私に「頑張ったね」と伝えたい。自閉症子育てと障害受容を振り返る【発達ナビ10周年企画コラム4/あやこ編】

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【障害受容 編】


妊娠前からASD(自閉スペクトラム症)という言葉を知っていたあやこさん。生後5か月頃から、長男いっちゃんの特性に気づき始めたそうです。ご家族や親戚に伝えたときの葛藤や、少しずつ支援者の方とつながりながら障害を受容していく様子を描いていただいています。

(執筆者:あやこさんより)
何かがおかしい……と感じてから息子に障害があると分かるまで、そして分かってからも、しばらくは本当に孤独で真っ暗で、手探りの日々でした。
強くなる特性と睡眠不足で精神的にも肉体的にも疲弊し、コロナ禍で支援も十分に受けらず、毎日のように泣いていました。

私はSNSで障害に対する知識を得て、同じ境遇の方々と交流し、共有することで少しずつ前に進めたように思います。今も完全に障害を受容できているわけではなく、心が苦しくなる瞬間はあります。だからこそ、今この時期を過ごしている方には、どうか自分を責めず、たくさんの人に甘えて頼り、今日を生きている自分をたくさん褒めて、認めてあげてほしいと願っています。

【癇癪 編】


大きな困りごとの一つ、癇癪。3歳の頃は、長いときは3~4時間、最長で20時間以上も泣いて怒っていたという、長男いっちゃん。「癇癪にスマートに対応するには、母親である私の精神状態がとても重要」と、イライラしないことを心がけていたそうです。そして、療育の先生のアドバイスを実践したり、医師と相談して投薬治療を始めたりしてみたところ……。


(執筆者:あやこさんより)
癇癪については本当に、いま振り返ってみても、よく頑張ったね……と自分に言ってあげたいほど大変でした。この頃の生活は全てにおいて息子中心で〝癇癪を誘発しないように〟細心の注意を払って行動していたと思います。耳栓をして過ごすこともありましたし、耳栓の上にイヤーマフをつけて過ごした日もありました。泣き声が耳に残り、入浴中も泣き声が聞こえるような気がして全くリラックスできない現象が数年間続いていました。

8歳現在も癇癪は起こりますし、力も強いので対応の難しさは増しており、正直にいうと大変さは変わりません。しかし、当時の、「なぜ泣いているのか分からない」と途方に暮れていた頃と比べると対応ができるだけまだいいのかもしれません。緩やかではありますが、確かな変化を感じています。

【幼稚園 編】


医師からの「早く集団に入れたほうがいい」というアドバイスを参考に、長男いっちゃんは幼稚園の満3歳児クラスに入園することに。
入園前に特性などをまとめたものも提出し安心していたそうですが、長男いっちゃんは帰宅すると酷い癇癪を起こしたり食べ物をほとんど口にしなくなりました。いっちゃんにかかっていた負担に気づき、下した決断は。

(執筆者:あやこさんより)
半年で退園した幼稚園のことを思い出すと、今でも園とコミュニケーションがうまく取れなかったことに対する悔しさが消えません。園に非があるというより、自治体の制度や環境の問題だと感じています。

療育園がない地域では、集団に入れるには保育園か幼稚園を選ぶしかなく、どちらにも障害への理解や知識が十分でない現状があります。ASD(自閉スペクトラム症)の子どもにとって、初めての集団生活が安心できる環境であることは何より大切で、関わり方ひとつで成長が大きく違ってきます。この時期の保護者にはレスパイトの機会が不可欠ですが、それを快く受け入れてくれる園は多くありません。制度や支援体制に地域差がなくなることを心から願っています。


【就学 編】


2024年に4月、特別支援学校に入学した長男いっちゃん。「特別支援学校一択」だったこともあり、年長の5月頃からゆるやかに就学準備をスタート。特別支援学校を見学したり、就学相談でモヤモヤしたり……。年長の終わりから始めた、放課後等デイサービス探しと合わせて、振り返っていただいたコラムです。

(執筆者:あやこさんより)
就学準備の期間は、これまでの疲れがピークに達していたように思います。まさに最後の力を振り絞って進めていた感覚でした。わが家は迷うことなく特別支援学校を希望しており、放課後等デイサービスの選択肢も一択だったため、決断に悩むことは少なく、精神的には楽だったと感じています。

進路に迷われるご家庭は、さらに大きな負担を抱えるのではないかと思います。
就学に向けた準備を進める中で、自治体の支援がまだ十分とはいえない現実にも気づき、不安を感じる場面もありました。全ての家庭が安心して進路を選べるような体制が整うことを願っています。

あやこさんにとって発達ナビとは?

毎日泣いていたあの日の私に「頑張ったね」と伝えたい。自閉症子育てと障害受容を振り返る【発達ナビ10周年企画コラム4/あやこ編】

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LITALICO発達ナビ10周年、おめでとうございます!編集部の皆さん、いつも温かいご対応を本当にありがとうございます。突然放り込まれた真っ暗な世界で、右も左も分からなかった私の前に、道しるべのように現れてくれたのがLITALICO発達ナビでした。

育児がとてもつらく感じていた時期に、コラムの連載という形で自分の想いを発信する機会をいただき、共感してくださる方、応援してくださる方に支えられて、今日まで歩んでくることができました。

私の思いや経験が、誰か一人にでも届き、何かの助けになればという気持ちで書き続けています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。今後のさらなるご発展をお祈り申し上げます。


(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。


ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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