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特別支援学校の行事で知った、わが子の「2割の成長」を喜べる幸せと安心感

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親としては「子どもの晴れ舞台」を見たいけれど

特別支援学校の行事で知った、わが子の「2割の成長」を喜べる幸せと安心感

Upload By あやこ

行事は、息子にとっていつもと違うイレギュラーな状況です。普段の生活とは違う環境、初めて会う人、賑やかな音、予想できない出来事。そうした要素が重なると、息子にとっては大きな負担になります。

一方で、親としては「子どもの一生に一度の晴れ舞台を見たい」という気持ちがあります。

しかし現実には、参加させると夜泣きや癇癪がひどくなったり、落ち着かず走り回ったり。多動な息子は予測不能な動きをするので、ほかの保護者のカメラに映り込んでしまうのでは……と気をもむことも多く、未就学時には心から楽しめる行事はほとんどありませんでした。

保育園時代は特に悩みが大きく、「参加させたほうがいいのか」「欠席させてしまっていいのか」と迷い続けました。悩んだ結果に参加させても、無表情で不安定になっていたり帰宅してから大癇癪を起こす息子を見て、「やっぱり無理をさせるべきではなかった」と後悔することの繰り返しでした。


特別支援学校の行事では

特別支援学校の行事で知った、わが子の「2割の成長」を喜べる幸せと安心感

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【入学式】
特別支援学校の入学式は、とてもコンパクトで短時間でした。入学前から「体育館に入るのは難しいだろう」と覚悟していましたが、案の定、息子は会場に一瞬たりとも姿を見せませんでした。
入学式の姿を記録できないのは残念でしたが、その場で私が強く感じたのは特別支援学校に対する安心感でした。嫌がる子を無理に連れて来て参加させようとする大人は一人もいませんでしたし、参加できないことに同情したり「かわいそう」といった目を向けられたりすることもありませんでした。「式に出られなくてもいい」「その子のペースで大丈夫」そう思える雰囲気が自然に流れていて、私は心からホッとしました。

【授業参観】
1年生になって初めての授業参観は、もちろん席に座らないことが想定内、帰りたがるのも想定内。期待を裏切らず、私を見るなり帰ろうと必死にクレーンをしてきました。
しかし2年生の参観日では、スムーズに席に移動し、落ち着いた様子で座っている姿に驚きました。
もちろん長時間じっとしていることはできず、7割はジャンプをしていましたし、1割は「帰りたい」とクレーンをしてきましたが、残りの2割は、嫌々ながらも授業に参加できていました。その2割が、私にはとても大きな2割でした。「去年よりも確かに成長している」そう実感でき、先生たちへの感謝の気持ちでいっぱいになりました。

【運動会】
運動会というと、大きな声援や競争、順位を競う雰囲気を思い浮かべるかもしれません。けれど特別支援学校の運動会は、順位よりも「その子ができること」が大切にされていました。できないことを無理にやらせるのではなく、先生も保護者も、できることを温かく見守ってくれるのです。
2年生になった息子は、先生の指示を少しずつ理解できるようになり、去年よりもできることが増えていました。その姿を見たとき、初めて「運動会に参加できてよかった」と心から思えました。


【発表会】
秋になると発表会があります。保育園時代は、音、照明、密集した観客などの刺激が息子にとっては大きな負担になると分かっていたので、そのアフターケアが億劫で、一度も参加させることができませんでした。
特別支援学校の発表会はというと、音や照明などは気にならない程度に設定されており、観客席もギュウギュウ詰めではなく、子どもが安心できることを第一に考えていることが伝わってきます。思うように動けなくてもそれでいい。保護者も先生も誰も責めず、ただ「その子がそこにいる」ことを喜んでくれる。そんな雰囲気に包まれていました。そんな空気のおかげで、安心して息子を初めての発表会に参加させることができました。

「その子がそこにいる」ことを喜んでくれる

特別支援学校の行事で知った、わが子の「2割の成長」を喜べる幸せと安心感

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特別支援学校の行事は、大規模で華やかなものではありません。
けれど、そこには何よりも大切な「安心して過ごせる環境」があります。

親のエゴのためではなく、わが子がその子らしく過ごせること。無理をせず、自分のペースで参加できること。それこそが行事の本当の目的であり、特別支援学校の温かさなのだと感じました。

これから就学を控えているご家庭に、少しでもこの安心感が伝わり、進路を考える際の参考になればうれしいです。

執筆/あやこ

(監修:鈴木先生より)
「Not unable, but able.」、何ができないかではなく何ができるかが重要です。一般の学校と特別支援学校の違いは先生方のセンスの違いです。特別支援学校の先生方は原則として特別支援学校教諭免許状を持っておられます。
車でいうとタクシー運転手のようなもので、特別支援教育においての「プロ」でもあるのです。もちろん、一般の学校の先生も教員免許を持ったプロなので、神経発達症を理解して温かく見守っていける環境が必要なのです。しかし、生徒数に対する教員の割合が特別支援学校よりも低いため現実では困難になります。温かく見守ってくれる先生が一人でもいればお子さんのストレスもなくなり、将来自立就職できる可能性が高くなるのです。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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