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椅子に寝そべり、指示も無視…3歳息子の発達障害に気づいた習い事での「カオスな30分」【読者体験談】

LITALICO発達ナビ

この記事で分かること


  • 3歳の習い事(音楽教室)で目の当たりにした、ほかの子との「決定的な違い」
  • 「落ち着きがない」だけでは片付けられない、わが子の発達への「違和感」を抱いた母親の率直な心境
  • 周囲に「気にしすぎ」と言われても大切にした「親の勘」
  • 3歳半健診を機に発達支援センターへ相談し、ASD(自閉スペクトラム症)の特性理解や視覚支援などで生活が改善した経緯


習い事に託した願いと、当時はまだ気づいていなかった発達の偏り


現在8歳4か月(小学2年生)の息子は、3歳5か月でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。小さい時の息子は天真爛漫な甘えん坊でおしゃべり好きでしたが、不安感が強く、癇癪が激しいところもありました。

私が「息子の発達に何かあるかもしれない」とはっきり認識するきっかけとなったのは、子ども園の年少の時に行った音楽教室の集団体験レッスンでした。この習い事を始めようと思った理由は、大きく2つありました。1つは「年少になったことだし、好きなことや得意なことを増やすきっかけになれば」と思ったからです。息子は歌やダンスが好きだったので、音楽教室なら興味を伸ばせるかもしれないと考えました。もう1つは、「落ち着きがなくてマイペースだけど、集団レッスンを通じて多少でも社会性が身につけば」という期待です。当時の息子は「1か所にじっと座っているのが苦手」で、「興奮したらぐるぐる歩き回りながらしゃべり続ける」といった落ち着きのなさがありました。


軽い気持ちで参加した30分間の体験レッスンでしたが、そこで私は想像もしなかった息子の姿を目の当たりにすることになりました。

椅子に寝そべり、指示を無視──ほかの子との決定的な違い


教室に着くと、息子はすぐに「もう嫌」「帰りたい」とグズグズモードになりました。予想外の場所見知りに驚きましたが、私は「ちょっとなだめたら、そのうち気も変わるだろう」と思っていました。

しかし、レッスンが始まっても、息子は一向に落ち着きません。ほかの子どもたちが静かに座って先生の話を聞いている中で、息子は電子オルガンの横長の椅子に寝そべり、グニャグニャしていました。私は寝そべりたがる息子を起こし、「帰りたい」とぼやくのをなだめるのに必死でした。

椅子に寝そべり、指示も無視…3歳息子の発達障害に気づいた習い事での「カオスな30分」【読者体験談】

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周りの親子が静かに先生の指示に従っている様子を見て、「えっ、みんな同い年だよね!?」と少々焦りました。背が高く、見た目から年上に見られることもあった息子ですが、ほかの同年代のお子さん達と比べて、あまりに態度が幼く見えたのです。
そして、決定的に違ったのは、指示への対応でした。「みんなで一緒に『ド』の音を押してみましょう」という先生の指示に、息子だけが従いませんでした。鍵盤を押すと猫の鳴き声がする遊びで、みんなが「ミャー」と和音を鳴らしている中、息子は好き勝手なタイミングで複数のキーを押し、「ギニャー」という化け猫っぽい不協和音を不規則に響かせたのです。

「ちょっと!マイペースすぎ!!」と心の中で叫び、途中からはあまりの自由奔放さに笑いすらこみ上げるほどでしたが、このとき「今後の園での集団行動や学校生活、大丈夫なんだろうか……」とうっすら不安を感じたことを覚えています。そんな私に、さらに衝撃的な出来事が待っていました。

演奏中に壁紙をむしる息子──「なぜなんだろう」と親の勘が働いた瞬間


体験レッスンの終盤、先生が電子オルガンで演奏を始め、「私の周りに集まって聞いてくださいね」と指示されました。息子は突然表情を変え、先生の近くへスタスタと歩いていきました。「やっと興味を持ってくれた!」とうれしく思ったのもつかの間、息子は先生を通り過ぎ、なんと先生の背後にある壁の破れた壁紙をむしろうとし始めたのです。
私はすぐにその壁紙の前に立ち、演奏に耳を傾けているふりをしながら、必死で息子の壁紙むしりを阻止しました。客観的に見ればかなり滑稽な光景だったと思いますが、同時に冷静に「私は一体なにをしているんだろう……」とも感じました。それはみじめというよりも、「息子は何故ほかの子どもたちと同じことができないんだろう」という不思議な気持ちのほうが強かったです。

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この出来事を通して、私は「習い事で自信を」ということ以前に、「この子にはまだ別の何かが必要ってことかもしれないぞ……」と感じ始めました。この日、私が抱いた「発達の遅れの可能性があるかもしれない」という考えは、夫や祖父母からは「気にしすぎ」と否定されましたが、「親の勘」というものなのか、私の中でこの体験レッスンでの違和感が消えることはありませんでした。

「気にしすぎではない」──腑に落ちた診断と支援がもたらした穏やかな今


体験レッスンから1〜2か月後、市の3歳半健診がありました。そこで「発達に偏りが見られるので、今後心配なことが出てきたら、発達支援センターに相談してみては」と言われました。正直、多少のショックはありましたが、それよりも「やっぱり私の気にしすぎではなかった」という腑に落ちた感覚のほうが大きかったです。


年明けに発達支援センターに相談を始め、そこからはいろんな方々に支えていただきながら、息子の特性を知り、向き合い方を学びました。特に、視覚支援や見通しを示すことの必要性を知り、日常生活に取り入れたことで、息子とのコミュニケーションは大きく改善しました。私自身、息子の行動に一人で悩まなくて良くなったことに、ほっとしました。何より、息子が通うこども園の先生方が、発達支援センターと連携を取り、息子のできたことを「今日は、苦手なパンを一口食べられたんですよ!」「お遊戯会の練習、頑張っていました」などと一緒に喜んでくださる空気に、どれほど救われたか分かりません。

現在、息子は小2になり、地元の公立小学校の特別支援学級に通っています。今も変わらず、先生方に細やかに引き継ぎをしてもらい、適切な配慮のもと、落ち着いた学校生活を送れています。

あの30分のカオスな体験レッスンが、私たち親子が正しい道を歩み始める「気づきのスタートライン」となりました。あの時、息子の予期せぬ行動に覚えた違和感を大事にしたことで、今の穏やかな日常を手に入れることができたのだと思います。


そして「身近な人の言葉に耳を傾けつつも、ご自身の直感を信じることも大切」ということも感じました。身近な人の言葉には「気にしすぎであってほしい」という願望が少なからず混ざっている可能性もあるからです。だからこそ、もしお子さんの行動に戸惑いや違和感を抱いたら、一人で解決しようとせず、「親の勘」を信じて専門機関(発達支援センターなど)に相談してみることが自分自身の安心に繋がり、お子さんが過ごしやすい環境を作っていく第一歩になるのではないかと思います。イラスト/もっつん
エピソード参考/苗

(監修:室伏先生)
大切な経験を共有してくださり、ありがとうございます。苗さんのお話は、同じように不安を感じている保護者の方々にとって大きな励ましになるはずです。発達に関する情報を耳にする機会は増えていますが、実際の経験がなければ、どの行動がその『特性』に該当するのか、あるいはどの程度の支援が必要かを判断することが難しいと思います。ですので、「なんとなく気になる」という親御さんの直感や、園の先生のお声はとても大切です。そのもやもやをひとりで抱え込まず、保健センターや発達支援センター、医療機関などで相談してみてください。
早めに相談することで支援につながりやすくなり、お子さんが安心して過ごせる環境づくりに役立つはずです。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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