周囲と比較し「支援級拒否」から「自分は自分でいい」と思えるまで。IQを知り、中学進学先を決めた日【読者体験談】
「なんで僕だけ?」仲が深まるほどに突きつけられた周囲との差
- 「通級(通級指導教室)に行きたい」という本人の願いと、親としての葛藤・向き合い方
- 中学の進学先を決定づけた、医師のアドバイスとIQ検査
- 集団指示が通りにくい特性に対する、特別支援学級ならではのメリット
- 「自分は自分でいい」と自己受容につながった、部活動での成功体験
お子さんのプロフィール
- 年齢:14歳
- 診断名:ASD(自閉スペクトラム症)
- 診断時期:11歳
- エピソード当時の年齢:11歳
特別支援学級に通う息子は、真面目で優しい性格。学校行事などで与えられた役割はしっかりとこなし、セリフのある劇や発表会などにも真剣に取り組んでいました。一方で、幼い頃からお友だちとの距離感をつかむのは苦手でした。興味のあることは多弁になる反面、知らないことには関心を示さず、低学年の頃はルールのある遊びにもあまり参加していませんでした。
ところが、小学6年生になると変化が訪れます。音楽が好きだったこともあり、先生の協力を得て、通級指導教室に通うお友だちと6人組のバンドを結成したのです。大好きなギターを通じて交流が深まり、練習後に一緒に帰ることも増えました。しかし、共に過ごす時間が増えるにつれ、息子の中に「なぜ自分だけクラスが違うのか?」という疑問が芽生えました。
定型発達の同級生と自身を比べ、「自分も同じようになりたい」と強く意識するあまり、ついには、「特別支援学級にはいたくない」と拒絶の言葉を口にするようになります。
学力に差があることを自覚した息子は、必死に勉強を始めました。その姿は「目標を持って前を向いている」ようにも見え嬉しかったのですが、同時に、自分の現状を知ろうともがいているようでもありました。「クリニックに行きたい」と自分から言い出したのもこの頃です。どこまでいけるかは分からないけれど、壁にぶつかったらその時一緒に悩もう。私は祈るような気持ちで見守り続けました。
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通級指導教室か特別支援学級か。迷いを断ち切った医師のアドバイスとIQ告知
進学先を決める時期が迫る中、息子の希望は、やはりバンド仲間と同じ環境の「通級指導教室」でした。しかし、現実は厳しいものでした。
「通級指導教室はとにかく学習スピードが速く、IQ(知能指数)の数値を踏まえても、息子さんにはしんどい場面が出てくると思う。マイペースに進めていける特別支援学級のほうが本人にもいいでしょう」と、かかりつけの医師から告げられたのです。
また、就学相談でも「小学校で特別支援学級なら、中学校もそのほうが」と説明を受けました。息子の通っていた学校では後々特別支援学級から通級指導教室へ転籍するのは難しいということでした。
親としては、特別支援学級に在籍しながら通級指導教室のような交流があれば……ともどかしさを感じましたが、最終的に息子を納得させたのは、クリニックでの検査で判明したIQ値でした。客観的な事実を突きつけられた痛みはあったと思います。しかし、息子はその事実を受け入れ、特別支援学級への進学に合意しました。
一斉指示への不安……息子らしく過ごせるための環境選び
特別支援学級を選ぶうえで最優先にしたのは、情緒面の安定でした。
息子には、1対1なら話せるものの、集団の中では注意がそれてしまい「先生の一斉指示が聞けない」という不安があったのです。大人数の通級指導教室で指示を聞き漏らし、自信を失っていくよりも、生徒数が少なく先生の目が届きやすい特別支援学級のほうが、息子らしく過ごせると判断しました。
幸い、一つ上の学年に息子と似たタイプの先輩が在籍していたことも、背中を押してくれました。母同士、クラスの雰囲気などを聞けたことで、安心感につながったのです。
合唱部での出会いがくれた「自分は自分でいい」という自信
そして迎えた中学校生活。 特別支援学級に進んだ息子に、驚くべき変化が訪れました。
きっかけは部活動でした。音楽好きの息子が入部したのは、当時は女子部員ばかりだった「合唱部」。
男子が一人入ったことで、みんなから「ありがとう!」と感謝され、温かく迎え入れられたのです。合唱部の仲間たちとは好きなものが近く、部活以外でも話をしたり、一緒に帰ったりするようになりました。
かつて「みんなと同じでありたい」ともがいていた息子は、今、こう言います。「自分は自分でいいと思えるようになった。そのままでも受け入れてもらえている事実があるから」
他学年の先生や通級指導教室の生徒とも関わりが増え、テスト前には自分から机に向かうようにもなりました。特別支援学級という守られた環境にいながら、部活動という外の世界で認められた経験。その両方が、息子の自己肯定感を大きく育ててくれたのです。
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「この進学先でよかった」。迷いと葛藤の先に見つけた答え
小学校から中学校への進学という大きな節目。
もしあの時、通級指導教室を選んでいたら、学習の遅れや周囲とのギャップなどが生まれた可能性もあり、まったく別の道に進んでいたかもしれません。今は「この進学先を選んでよかった」と心から思っています。進学先選びは本当に悩みますし、正解などないのかもしれません。ただ、自身の体験から言えることがあるとすれば、「なるべく本人の希望を第一に決めて、進ませてあげてほしい」ということです。
わが家の場合、最初は特別支援学級を拒否していた息子ですが、検査を受けて自分の特性を知り、納得して進路を決めました。そのプロセスがあったからこそ、「自分は自分でいい」という自信につながっているのだと思います。
イラスト/志士ノまる
エピソード参考/あずさ
(監修:新美先生より)
中学進学という大きな節目で、学びの場をどのように選んでいったのか、丁寧に聞かせていただきありがとうございます。通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校は、制度の運用や実際の雰囲気が地域や学校によって大きく異なります。
そのため、「どこが良いか」を一般論だけで決めるのは難しく、地域の実情を踏まえた検討がとても大切になります。
学びの場を考える際には、学力だけでなく、友だちとの関係性、コミュニケーションの得意・不得意、情緒の安定、感覚の過敏さなど、さまざまな要素が絡み合います。さらに、担任の先生やクラスメイトとの相性といった、数値では測れない要因も大きく、「これが正解」と言い切れないからこそ、保護者の方が悩まれるのは自然なことだと思います。
その中で、息子さんが進学を前に自ら「クリニックに行きたい」と言い出したという点は、とても印象的でした。自分自身のことを知りたい、向き合いたいという気持ちが芽生えていたからこその行動であり、この経験がその後の選択を支える大きな土台になったのだと思います。検査結果を一つの材料として、専門家や周囲と相談しながら、最終的にご本人が納得して進路を選べたことは、何よりも大切なプロセスでしたね。進学先を選ぶ際には、先入観やイメージだけで判断せず、情報を集め、可能であれば実際に見学をし、現場の声にも耳を傾けながら、本人が「ここなら頑張れそう」と思える場所を一緒に探していくことが大切です。この体験談は、その過程そのものが、お子さんの自己理解と成長につながっていくことを教えてくれています。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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