【反抗期と発達障害】自閉症息子が担任に攻撃的に。息子の精神を安定させたのは意外な「習慣」で…!?【読者体験談】
診断の時期と重なった、穏やかな息子の「異変」
- ASD(自閉スペクトラム症)と診断された小学5年生の息子に訪れた「反抗期」と、先生とのトラブルの背景
- 「先生の言い方が許せない」という言動に隠された、お子さん特有のこだわりや感じ方
- 特別支援学級の先生の提案がきっかけで、自己肯定感が育ちメンタルが安定した経緯
- 問題そのものに向き合うだけでなく、別の得意分野で「自信」をつけることで困難を乗り越える視点
現在14歳(中学2年生)になる息子は、小学5年生(11歳)の時にASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けました。 性格はとても真面目で優しい子です。コミュニケーションが巧みな定型発達のお友だちと自分を比べて「同じようになりたい」という思いが強く、積極的にお友だちと関わろうとする健気な一面も持っています。
そんな息子に「異変」が起きたのは、ちょうど診断を受けたのと同じ、小学5年生の頃でした。家では普段と変わらず穏やかな息子が、なぜか学校の担任の先生にだけ、強く突っかかるようになったのです。
きっかけは、ある授業での出来事でした。「家族への手紙を書く」という課題があり、息子は私宛に一生懸命手紙を書いてくれていました。しかし、授業の終わりに先生が「じゃあ回収しまーす」と言った途端、息子は猛反発しました。
「なんで家族への手紙なのに、先生に渡さなきゃなんないんですか?」
それまでの息子であれば、言われたことに素直に従うことがほとんどでした。私から見て先生の対応に特に変わった様子はありませんでしたが、息子にとっては納得がいかなかったようです。 先生からこの報告を受けたとき、私は「普段ならそんなふうに噛みつくことはないのに、一体どうしてしまったんだろう……」と、急な変化に大きな不安を感じました。
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「先生のあの言い方が無理」見えてきた反抗の理由
最初の衝突以来、息子と担任の先生との関係はぎくしゃくしていきました。 家族やお友だちに対してはいつも通り穏やかに接しているのに、特定の先生にだけ攻撃的になる。私は息子とじっくり話してみることにしました。「どうして先生にあんな言い方しちゃったの?」
すると、息子は不満そうにこう漏らしました。
「あの先生の、なんでも分かったような言い方が気になるんだよ」
息子にとっては、先生の話し方や態度に、どうしても受け入れられない「無理なポイント」があったようです。
私から見れば違和感のない対応でも、独特の感性を持つ息子にとっては、その言い回しが癇に障り、心のシャッターを閉ざしてしまっていたのでした。「このままでは、学校生活そのものが苦しくなってしまうかもしれない……」 先生と衝突を繰り返すことで、息子が学校を嫌いになってしまうのではないか、私はハラハラしながら見守ることしかできませんでした。しかし、事態は意外な方向から好転し始めます。
特別支援学級の先生との何気ない会話が「運命の出会い」に
担任の先生との関係に悩んでいたある日、事態を変えるきっかけをくれたのは、特別支援学級の介助員をしている男性の先生でした。休み時間に、息子がふと「お腹をへこませたいんだよね」と漏らしたそうです。すると、元野球経験者だったその先生が、「じゃあ、いい腹筋のやり方教えてやるよ!」と、本格的な筋トレの方法を教えてくれたのです。
これが、真面目な息子の性格にぴったりハマりました。
その日から、家で寝る前に必ず腹筋をすることが息子のルーティンになりました。
「今日はこれくらいやったよ!」と報告してくれる息子の顔は、久しぶりに生き生きとしていました。担任の先生とのトラブルで悩み、自信を失いかけていた息子にとって、「自分の身体を自分で変えられる」という筋トレは、誰にも邪魔されない聖域になったのかもしれません。私は、汗をかいて一生懸命取り組む息子を見ながら、「これが何かの自信に繋がればいいな」と心の中で祈っていました。
「筋トレが俺を変えた」心も身体も強くなった現在
筋トレを始めてから、息子には目に見える変化が現れました。お腹周りがすっきりして、自分自身も変化を確認するのが楽しみになったようで、家でも鏡を見る回数が増えました。私が「かっこよくなったじゃん!」と声をかけると、「やった!」と、本当にうれしそうな笑顔を見せるようになりました。
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そして驚くことに、あれほど突っかかっていた担任の先生への反抗が、嘘のようになくなったのです。
自分に自信がついたことで精神的に余裕が生まれたのでしょう。
「先生の言い方が嫌だ」とイライラしていた気持ちよりも、「自分は変われたんだ」という達成感が上回ったのかもしれません。その後は、先生のお手伝いを自分から申し出たり、下級生の面倒を見たりと、学校でも驚くほど安定して過ごせるようになりました。現在、中学2年生になった息子は、今も筋トレを継続しています。精神面もずいぶんとタフになり、学校も塾も休まず元気に通っています。
先日、息子が笑いながらこう言っていました。「筋トレが俺を変えたんだよ(笑)」
あの時、「反抗期」で終わらせず、別の視点から自信を与えてくれた介助員の先生には感謝しかありません。真正面から問題に向き合うことばかり考えていましたが、まさか「筋トレ」が解決の糸口になるとは思ってもみませんでした。悩みの原因を直接取り除くだけでなく、まったく別の場所で自信をつけることで、自然と心が整い、乗り越えられることもあるのだな……と学びになりました。
息子にとっての筋トレのように、お子さんがふと見せる「好き」や「やりたい」のサインが、思いがけない成長のスイッチになるのかもしれません。私自身、これからも息子のそんな小さな変化や、自信の種を大切に見守っていきたいと思います。
イラスト/マミヤ
エピソード参考/あずさ
(監修:森先生より)
お子さんが反抗期を乗り越えて成長した体験談をありがとうございます。
反抗期は、子どもが自我を確立するために必要な時期です。「自分はやればできる」という気持ち、「自己効力感」を育てるのにとっても大切な役割を果たします。大人の言うことに反発して自分の主張をすることで、自分の意見を主張できるという体験を積んで成長していくのです。反抗を無理に抑圧されてしまうと、無気力になったり、成人後に遅れて反抗期がやってきたりと自立がうまくいかず苦労するケースも少なくありません。
さて、今回筋トレが良い効果をもたらしましたが、実は筋トレは発達障害の傾向があるお子さんにとって大変有効なのです。
筋トレで「努力で自分を変えることができる」という成功体験を積むことで、達成感や自己効力感が育ち、精神的な余裕がうまれます。発達障害の傾向があるお子さんは、筋緊張がうまくいかなかったり感覚統合が遅れているために体幹が弱く、身体がくねくねと不安定になりやすいのです。体幹すなわち腹筋や背筋を鍛えることで、良い姿勢を保ちやすくなり、運動がしやすくなったり勉強中の集中力も上がります。
また、筋トレをすることで身体の感覚統合、自己調整が促進されるため、気持ちが安定しやすくなります。反抗期に筋トレをすると、身体面が発達するだけでなく、気持ちが安定して精神面でも成長するのです。これからもお子さんの成長を見守っていってくださいね。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。