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【放デイの悩み】支援方針に疑問も、自閉症娘は楽しそう…退所して正解?違和感を信じ、母が貫いた支援の軸【読者体験談】

LITALICO発達ナビ

「予定と違う!」視覚優位の娘に届かない声


  • 視覚優位のASD(自閉スペクトラム症)の子どもに対して「口頭指示のみ」の環境が招いたパニックと混乱
  • 「パニックになったらアイスクリーム」?誤学習を招く対応への違和感
  • バッティングセンターでの危険な飛び出しなど、特性と活動内容のミスマッチ
  • 「前の所に戻りたい」と訴える娘に、親がブレずに理由を伝える大切さ


お子さんのプロフィール
  • 年齢:10歳
  • 診断名:ASD(自閉スペクトラム症)
  • 診断時期:3歳
  • エピソード当時の年齢:10歳


娘は穏やかで素直な性格ですが、不安が強く、一度気になると衝動的に動いてしまう特性があります。また、言葉で説明するのが苦手な構音障害もあり、自分の思いをうまく伝えられません。特に際立っているのが「視覚優位」であること。耳からの情報処理は苦手ですが、文字やイラストがあればとてもスムーズに理解できます。

転居先で探した放デイ(放課後等デイサービス)は学校までの送迎があり、急な利用も可能なありがたい存在でした。契約時、私は娘の特性を丁寧に伝え、「予定や困りごとは視覚を使って伝えていただけると助かります」とお願いしました。

しかし、いざ通い始めると現実は期待していたものとは異なりました。その放デイは運動遊びが多く、耳からの情報だけで動けるお子さんが多かったのです。
ルール説明も予定変更も、一斉の「口頭指示」のみ。口頭指示だと聞き洩らしてしまうことが多い娘は、見通しが立たない不安から「予定と違う!」と混乱し、度々パニックを起こすようになっていきました。

遊具へ一直線!制御不能のパニックと「誤学習」


ある日、初めて行く公園での活動中にトラブルが起きました。思い込みの強い娘は、「みんなでの活動が終わったら遊具で遊べる」と勝手に信じていたのです。しかし、実際は活動が終わったら帰る時間に。 目の前にある初めて見る魅力的な遊具に心を奪われた娘は、「遊具で遊びたい!」と指導員の手を振り切り、暴れてしまいました。そんな混乱の最中、指導員の方から私の携帯に緊急の連絡が入りました。
「娘さんがパニックを起こしています。
どうしたらいいですか?」

パニック状態に陥ると娘は聞き入れることが難しいため、「週末にママがその公園に一緒に行くから、今日は帰ろう」と伝言をお願いするのが精一杯でした。その後も、「パニックで大号泣してしまったので、落ち着かせるためにアイスクリームを買ってあげました」という報告を受けたこともあります。

「泣けばアイスがもらえる」「暴れれば思い通りになる」そんな誤学習をしてほしくない。対話を大切にし、納得して気持ちを切り替える力をつけてほしいと願う私の想いとは裏腹に、放デイでは誤学習が重なっていくように感じ、私の違和感は膨らんでいきました。

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命を守るための決断……バッティングセンターでの冷や汗


決定打となったのは、課外活動でバッティングセンターへ行った日のことです。娘にとっては初めての場所。ボールが飛び出す機械の仕組みが気になってしまった娘は、衝動的にボールが出てくる発射口へ向かって走って行ってしまいました。

指導員の方はすぐに止められる場所にいなかったそうですが、幸いにも怪我はありませんでした。
しかし、一歩間違えれば大けがにもつながります。娘の安全のためにも、私は退所を決意しました。

加えて、もう一つ大きな問題がありました。それは「ゲーム」です。 その放デイでは、課題に参加したくない子は別室でタブレットやゲームをして過ごして良いというルールがあったのです。家では時間を決めて楽しんでいるゲームが、放デイではやりたい放題。「娘さんがゲームをしたいと言うので」と、放デイにいる間中ゲームする日々が続いていました。

「親のエゴ」と向き合い、娘と交わした約束


退所後通い始めた新しい放デイは、親の希望通り、小集団で丁寧な支援をしてくれる場所でした。
しかし、娘にとっては「ゲーム天国」だった前の放デイが恋しくてたまりません。「また前の放デイに行きたい!」 数か月もの間、娘は私に言い続けました。

「せっかく本人が楽しめていたのに、辞めさせたのは親のエゴだったのではないか?」そう考えるときもありました。でも、バッティングセンターでのヒヤリとした経験から、娘の特性に合う安全な場所であることや、人との関わりを学んでほしいという方針は譲れません。私は腹をくくって娘と向き合い、「どれだけ行きたいと言っても、前の放デイに行くことはもうないよ」そうきっぱりと告げました。その上で、ゲームばかりすることへの心配や、危ない行動を取ったことがとても怖かったと、時間をかけて丁寧に説明したところ、娘はそれ以降「戻りたい」と言わなくなりました。

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「ブレない軸」が守った娘の居場所


新しい放デイに移った当初、娘が「戻りたい」と言い続けたのは、前の放デイを辞める時に理由をしっかり説明せず、さらっと辞めさせてしまったことも原因の一つだったと反省しています。

「エゴだったのでは」と悩むこともありましたが、「対話を大切にする」という自分の方針を貫いたことで、現在は新しい放デイで課題に前向きに参加し、楽しんで通っています。
「預かってくれる場所があるだけでありがたい」と、家庭と方針が異なったとしても妥協してしまうこともあるかもしれませんが、やはり事業所の考えが合っているかどうかや、子どもの特性に合っているかどうかは、子どもの成長にとっても重要だと実感しています。

完璧な場所を見つけるのは難しいですが、親として「これだけは譲れない」という軸を持ち続けることが、結果として子どもを守ることに繋がるのではないかと、私は考えています。

【アンケート結果】わが子にぴったりの場所を求めて。施設探しの「理想と現実」


ここからは発達ナビで行った施設探しアンケートの結果をご紹介いたします。

お子さんに合った支援の場を見つけたい。そう願って「施設探し」を始めたとき、真っ先に直面するのが「どうやって探せばいいの?」「実際、通える場所はあるの?」という不安ではないでしょうか。

通いやすい距離、活動内容の相性、そして何より「空き」があるかどうか……。いくつものハードルを越えて、ようやく見つけた施設は、親子にとって大切な居場所となります。しかし、そこに至るまでの道のりは、スムーズなケースもあれば、険しい道のりとなるケースも少なくありません。


今回は、50名を超える読者の皆さんに伺った「施設探しのリアル」をお届けします。納得のいく場所に出合えた方のエピソードから、現在進行形で悩んでいる方の声まで、今の支援現場の状況が見えてきました。
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意外にも、全体の50%と最も多かったのは「施設探しはおおむねスムーズにいった」という回答でした。 これは、就学前から情報を集めていた方や、地域の相談支援事業所との連携がうまくいったケース、あるいは発達ナビの施設検索などを活用して効率的に候補を絞り込めた方が一定数いることを示唆しています。「早めの情報収集」が、安心感に繋がっている一つの要因と言えるかもしれません。

一方で、38%の方は「施設探しは大変だった」と回答しています。 「見学に行ったけれど満席だった」「入学後に急いで探したが、条件に合う場所が見つからなかった」といった、地域ごとの受け入れ枠の不足や、タイミングの難しさが浮き彫りになっています。やっとの思いで入所できても、その後の先生とのコミュニケーションに悩むなど、入所が「ゴール」ではない難しさも見て取れます。


施設探しは「情報戦」と「タイミング」。納得のいく居場所を見つけるために


アンケートでは、施設探しが「スムーズだった方(50%)」と「大変だった方(38%)」で二極化する結果となりました。

スムーズに進んだ背景には、早めの問い合わせ・見学や相談支援の活用などがあるようです。一方で、大変さを感じた方の多くは、地域の空き枠不足や急な必要性に迫られるといった、タイミングの難しさに直面していました。

施設探しは、単なる場所選びではなく、わが子の「育ちのパートナー」探しです。地域差や運に左右される面もありますが、まずは一括検索などで選択肢を広げ、専門家の力も借りながら、親子が無理なく通える「安心の拠点」を焦らずに見つけていきましょう。

イラスト/星あかり
※エピソード参考者のお名前はご希望により非公開とさせていただきます。

(監修:藤井先生より)
放課後デイサービス選びで悩みながらも、「対話を大切にする」という親としての軸を持ち続けてこられた姿に深く共感しました。完璧な場所を見つけることは難しく、育児においては常に最善な選択ができるわけではありません。それでも、「これだけは譲れない」という大切な軸を守りながら、結果として娘さんの成長の機会を守ることにつながるのだと改めて感じました。今、お子さんが前向きに、楽しんで通えていることが何よりの答えですね。多くのご家庭の励みになる、素敵なコラムをありがとうございました。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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