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行き渋りと癇癪で限界…自ら児相へ電話した夜。孤立した母を救った「匿名ペアトレ」での学びと実践、取り戻した家族の対話【読者体験談】

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小学校入学をきっかけに始まった行き渋りと癇癪


  • 小学校入学後の行き渋りと、家庭内暴力(他害)への対応の難しさ
  • 「自ら児相に通報する」という決断に至った経緯と葛藤
  • 匿名性が徹底された「ペアレントトレーニング」での心理的安全性
  • 子どもとの対立を解消する「Iメッセージ」と「家族会議」の導入事例


  • お子さんの年齢: 10歳(現在)
  • 診断名: ASD(自閉スペクトラム症)傾向強めのグレーゾーン(高低差35以上)
  • 当時の年齢: 7歳(小学校入学直後)


息子が7歳、小学校に入学した頃のことです。入学と同時に行き渋りが始まり、帰宅後は毎日のように癇癪。保育園時代には、このようなことはありませんでした。

どう対応すればいいのか分からず、スクールカウンセラーや市の窓口にも相談しました。どちらも「お母さん、大変ですね頑張ってますね。お話しか聞けなくてすみません。気持ちが軽くなったらいいですけど」と優しく寄り添っていただけるのですが、具体的にどうすればいいかは分からないままでした。毎日、2時間以上子どもの癇癪に対応しているのに、在宅勤務の夫は「またけんかしている」くらいの感想しかないのか止めにもきません。


学校に行けば行くほど荒れていく息子。日を追うごとに暴言暴力も出るようになり、私はかなり追い詰められていました。

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「もう終わらせたい」と思うほど追い詰められた私


その日も息子の癇癪がひどく、疲れ切っていました。夜中2時、私は24時間対応のサポートセンターに電話をかけ、思わずこう言ってしまいました。

「このままだと子どもを虐待しそうなんです」自分でもその行動、言葉に驚きました。限界だったのだと思います。
電話先の方は「お母さんが心配です」と寄り添ってくださいました。その後、具体的な支援を教えていただき、これがきっかけで地域の教育福祉とつながることができました。
そこで虐待防止の「ペアレントトレーニング」を受けることになったのです。これが大きな転機となりました。

匿名だから話せたペアレントトレーニング


紹介されたペアレントトレーニングでは、
  • 本名を使わない
  • 連絡先を交換しない
  • 講座外で関わらない
といったルールがありました。このルールによって自分は守られてると思えました。
この場所だけで顔を合わせる人、この世界だけで通用する名前を名乗って自分のことを話す。どこの誰かは知らないけれど、目の前にいる生身の人にちゃんと話を聴いてもらえている。相手も話してくれている……この場で私は安心して自己開示ができました。

自分の話ができない日は、ほかの参加者の話をただ聴く時間がありました。
ただ座って聴いているだけなのに、なぜか涙が出ることがありました。共感したり、もっと聞きたいと思ったり……。それまで張りつめていた気持ちを、少し緩ませることができました。

このペアレントトレーニングでは、ほかの受講者が話しているときは傾聴して意見を挟まないこと、気持ちを伝えるときは「Ⅰ」メッセージ(相手を責めずに自分の感情や考えを伝えるコミュニケーション手法)で話すことが大事にされていて、これは家でも使える方法だと感じました。

家族会議を始めたことで変わったこと


講座で学んだことを参考に、わが家では「家族会議」を始めました。
何か問題が起きたときは、すぐに言い合うのではなく、家族全員の時間を事前に決めて、『何月何日何時から行うので、必ず全員時間を空けること』と紙に書いて貼り出します。だいたい、土曜日の午前中が多いです。

学校行事にどこまで参加するか、どこまでできそうかのラインを決めるとき、家族旅行の行先や何をするかなど気になること、問題だなと思ったときに開催です。
話すときは、相手の言葉をさえぎらず、最後まで聞きます。この傾聴方法が息子にはとてもよかったようです。自分の意見を聞いてもらえることが嬉しかったようで、ニコニコして「また会議やろう」と言うようになりました。

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そして、家族会議を重ねていくうちに、家族の会話も少しずつ落ち着いてできるようになっていきました。息子は時に「Iメッセージで話して」と夫を嗜めるようなことを言うようになりました。

保護者が楽になることも大切だと知った


「なんなの⁉」と子どもに思うことがあっても、ストレス値を5段階評価で数値化してみて「これだけあればまぁイライラするよね」「不安になってるな」とか客観的に捉え、「疲れてる、寝よう」「さっさと病院いこう」などの判断ができるようになりました。すぐ行動に移すと気持ちも変わり、「なんか分からないけれどモヤモヤする」という時間が減り、私の心が「怒り」に持って行かれることがなくなったと思います。外注できるところは出すようにして、抱え込まず相談をするようにしました。
すると、QOLは確実に向上しました。

私のQOLが向上すると家庭環境もよくなるのか、子どもが落ち着く場面も増えていったように思います。

同じように悩んでいる方へ


子どもが小さい頃から育てにくさを感じていても、どうすればいいか分からず、一人で抱えてしまうことは少なくないと思います。でも、具体的な方法を知り、少しずつ試していくことで、状況が変わることもあります。

問題がなくなるわけではありません。それでも、「どうしたらいいか」が分かるだけで気持ちは大きく変わると感じています。もし今つらいと感じている方がいたら、一人で抱え込まず、支援につながる道を探してみてください。

イラスト/志士ノまる
エピソード参考/sasa

どうして良いか分からず一人で抱え込んでしまうことは、より孤立感を強め親自身が精神的に追い込まれてしまいます。
誰かに相談すること自体が大きな不安であったり、それを乗り越えることにも勇気とエネルギーが必要になりますよね。相談機関にかぎらず「しっかり聞いてくれる誰か」に話すことで、自分の考えを改めて整理したり、自分の感情や行動に向き合うきっかけになると思います。「こうすれば良い」という唯一の答えを見つけるのはなかなか難しいですが、さまざまな工夫や対処法を自分自身や子どもに対してトライしてみることで、新たな発見や方向性が見えてくるのではないかと思います。(監修:公認心理師井上 雅彦先生)

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。


ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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