【LITALICO高等学院開校1年レポ】不登校から週5登校も。生徒主体の学校づくりと26年春3拠点新設への思い
開校1年を迎えるLITALICO高等学院
2025年4月東京・渋谷に開校した、一人ひとりの個性に合わせた日常生活や学習・進路の支援を行う通信制高校サポート校「LITALICO高等学院」。開校からまもなく1年を迎えます。1期生として入学した生徒さんたちの学びの様子、そして2026年4月に予定されている「秋葉原・吉祥寺・横浜」への拠点拡大について聞きました。
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――2025年4月の開校からもうすぐ1年が経とうとしていますね。1期生として入学された生徒さんたちは、どのような思いがあって集まられたのでしょうか?
入学の動機は本当に一人ひとり違うと感じています。
例えばAさんは、人に自分の考えを伝えることが大好きで、興味のあるテーマについては目を輝かせて語ってくれます。「学校に自分を合わせるのではなく、一緒に学校を作っていくのが良いと思った」と入学を決めてくれました。
Bさんは、折り紙やイラストなど、立体的・視覚的な表現がとても豊かな生徒です。
一方で、文字を読むことには少しハードルを感じていて、自分に合った学習のサポートを求めていました。「3Dモデリングを学びたい」「気持ちのコントロールができるようになりたい」という明確な目標を持って入学してくれました。
Cさんは、イラストや創作活動が大好き。「3Dモデリングや動画編集を学びたい、好きなものを誰かと共有したい」という思いを持つ一方で、人と関わることには少し緊張や不安を感じているようでした。
――入学当初から現在までの間に、生徒さんたちにどのような成長や変化を感じられていますか?
Aさんは、以前は学校に行きづらい時期もありましたが、現在は週5日キャンパスに通っています。「タイピングができるようになった!」と嬉しそうに教えてくれたり、自分らしい目標の立て方を見つけ、ご自身のペースで学びを深められるようになりました。
そして、以前はローマ字の仕組みへの理解や、目標から逆算して細かく決めるやり方に強い不安やストレスを感じていましたが、「ある程度の自由度を残しながら目標を意識するやり方が自分に合っている」と発見できたこと、そして「タイピングができるようになった」という成功体験が自信につながっています。Bさんも以前は学校をお休みしていましたが、今は週5日通っています。
授業で3Dモデリングという夢中になれるものに出合ったことが大きいですね。以前はその真っすぐさゆえに周囲と意見がぶつかってしまうこともありましたが、最近は自分の気持ちと上手く付き合えるようになり、穏やかに過ごせる時間が増えたと感じています。
また、以前は「友達とぶつかってしまう自分」や「周りと勉強のペースを合わせられないこと」に不安を感じていましたが、気持ちや行動のコントロールが少しずつできるようになって自信がつきましたし、「自分で計画を立てて自分のペースで進めるやり方が合っている」と気づくことができました。
Cさんは、当初はご家族とのやり取りが中心でしたが、まずはオンラインで毎週参加するところからスタートし、現在は週2回、自分のペースでキャンパスに通っています。スタッフだけでなく、チャットなどを通じて生徒同士の自然な関わりも生まれてきています。
先生と生徒ではなく「人と人」安心できる居場所のつくり方
――以前の校長インタビューでは「心理的安全性」をとても大切にされていると伺いました。実際のキャンパスで、生徒さんたちが「ここは安心できる居場所だ」と感じられるよう、スタッフの皆さんが特に心を配られたのはどのような点でしょうか?
特に大切にしているのは、「先生と生徒」という関係ではなく、「人と人」としての対等な関係性です。一方的に決めるのではなく、対話をしながら進めていきます。
まずは「プレスクール」や「チームビルディング」を通じて、徐々に場に慣れていくスモールステップを設計しました。日常の中では「ワンクエ(ワンクエスチョン)」という対話の時間を設け、自己開示をしたり、互いに聞き合う時間をつくったりしています。また、月に1回は1対1の生徒面談を行い、普段みんながいる場では話しにくいことを相談できるようにしています。
また、「スクールミーティング」という、学校についてみんなで議論して決める時間も設けています。「生徒自身の手で学校をつくれる、変えられる」と実感してもらうことを大切にしています。入学式の翌日から話し合いを開始し、「高等学院のグランドルール」を作成しました。“校則”というと少し硬いですが、「みんなが過ごしやすくなるルールづくりや、意識しあうこと」について生徒たちから意見を募集し、決めていきました。
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その後も、「これまでの授業を受けてみてどうだったか、今後どんな授業を受けてみたいか」を話し合う振り返りや運営会議、教室にどんな備品が欲しいかを相談する「欲しいもの会議」などを実施してきました。
実際に、個別の自習スペースを設けたり、掃除機やクッションなどを購入したりしました。
直近の回では、「新入生受け入れ会議」を行っています。1期生たちが自分たちのプレスクール(3月)の経験を振り返り、改善ポイントを出し合いながら、「4月の入学式をどんなものにしたいか」「新入生にどういうふうに受け入れてもらえたら嬉しいか」を、生徒目線で話し合っています。
そのほか、学習やリフレクション(振り返り)を通じて、自己理解のきっかけをたくさんつくっています。また、レポートやスクーリングが終わった時、面談の場、イベントなどでお祝いや承認をする機会も大切にしています。
――そのような環境の中で、生徒さん同士の交流やコミュニティは、どのようにして自然に育まれていったのでしょうか?
先ほどの「ワンクエ」や、ボードゲームなどを通じた交流の機会、あとはサークル活動などを通して、自然と生まれていきました。
サークル活動については、どんなサークルをつくるかも生徒からアイデアを募集して決めています。1期では「散歩部」「ボドゲ部」「ものづくり部」が誕生し、ものづくり部ではバーチャル高等学院をみんなで制作しました。
2期では、お菓子づくりや筋トレなど色々なアイデアが出た中で、「ものづくりまっちょ部」と「ゲームプレイ部」ができました。ものづくりまっちょ部は、各々で自由にものづくりを行い、最後にシェアをする部活ですが、たまに筋トレをする生徒もいます。現在活動中の3期では、なんと生徒全員がこの「ものづくりまっちょ部」に入部しています(笑)。
「好き」から広がる学びと、将来の選択肢を増やすプログラム
――LITALICOならではの強みである「IT・ものづくり」の授業についても教えてください。具体的にはどのようなプログラムを実施されたのでしょうか?
Tinkercadを使った3Dモデリング(Tinkercad)や3Dプリンタでの出力、Scratchやレゴ®を使ったプログラミングなどを実施しました。特に3Dモデリングは、生徒の6割以上がハマるほど人気のコンテンツでした。授業ではネームプレートやスマホスタンドのモデリングのやり方を学ぶのですが、生徒たちはそこに自分の名前やロゴ、キャラクターを入れるなど、オリジナルにアレンジを加えていきます。生徒たちは想像力が豊かで、「自分のアイデアを形にしたい!」という思いが強く、作成したデータを3Dプリンタで印刷してストラップにするなど、プリンタが順番待ちになるほどの熱中ぶりでした。
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――大学進学を目指す生徒さんへの学習サポートは、どのような形で伴走されているのでしょうか?
進学希望の生徒には、まず「どんな風に生きていきたいか」「そのためにどんなことを学ぶ必要がありそうか」という視点から逆算して、一緒に志望校を探していきます。その上で、生徒に合った受験方式を検討し、対策を考えます。
一般受験を希望される場合は、参考書やデジタル教材を用いた個別最適な学習計画を立ててサポートします。また、総合型選抜や指定校推薦等を見据える場合には、ポートフォリオ作成や面接対策など、偏差値だけではない「その人の魅力や強み」をアピールするための伴走支援に力を入れています。
―――将来を見据えて、どのような取り組みをしていますか?
将来の働くイメージや選択肢を広げる取り組みとして「偏愛ゼミ」というプログラムも実施しています。これは、多様な働き方をしている方をゲストにお呼びし、生徒たちが直接お話を聞くことができる機会になります。2025度は、カメラマン、イラストレーター、カウンセラー、政治家の方などに来ていただき、生徒からも大好評でした。今後もさまざまな分野からゲストを呼んでいく予定です。
また、LITALICOワークスの教材を参考にして授業プログラムを作成しています。2年生以降、職業体験のプログラムを実施したいと考えているので、体験前にマナーなどを学ぶ教材を、高等学院用にアレンジしつつ活用していく計画です。
2026年春、秋葉原・吉祥寺・横浜へより多くの子どもたちに「新しい選択肢」を
――そして2年目となる2026年4月には、秋葉原・吉祥寺・横浜と、一気に3つのキャンパス(センター)が新設されますね。この拠点拡大にはどのような思いが込められているのでしょうか?
いち早くLITALICOの新しい学びの場を、多くの人へ届けたいからです。今回はLITALICOワンダーと併設する形で、まずはアクセスの良い主要都市へ展開することで、より多くの生徒さんに選択肢を届けたいと考えています。
――キャンパスが増えることで、それぞれの「特色」や「カラー」といった違いは出てくるのでしょうか?
授業内容は全キャンパスで共通のものにする予定です(サークルやイベントなど一部各キャンパス独自に実施するものもあります)。ただ、スタッフにはさまざまなバックグラウンドがありますし、集まる生徒の個性も異なるので、そこから自然と生まれてくる「カラー」はキャンパスごとに異なってくると思います。
――改めてこの1年間を振り返り、皆さんが感じていらっしゃる手応えと、これから挑戦していきたい課題について教えてください。
生徒からの信頼を得ることができている、という手応えがあります。これからは、より提供しているプログラムの価値と独自性を十分に感じてもらえるよう、工夫していきたいと考えています。
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「自分らしい生き方」を一緒に見つけたい
――今、進路に悩んでいる中学生やその保護者の方に向けて、この1年の経験を踏まえたメッセージをお願いします。
進路を考えるとき、どうしても「周りはどうしているか」「普通はどうなのか」という声が気になってしまうかもしれません。でも、一番大切なのは、ほかの誰かとの比較ではなく「あなた自身」がどうありたいかです。
LITALICO高等学院は、学校に合わせる場所ではなく、個性に合わせて一緒に学校をつくる場所です。対話を大事にしており、スタッフと生徒が対等に尊重し、率直に話し合うような文化があります。「高校卒業」「進学」がゴールではなく、その先にある「自分らしい生き方」を一緒に見つけていきましょう。まずは気軽に見学に来てください。
9:45~登校
10:00~12:00午前のプログラム(PGM)
12:00~13:00お昼休み
13:00~15:00午後のプログラム(PGM)
15:00下校
スタッフより:登校頻度は週5日から週1日、登校時間は午後から参加などお子さまのペースにあわせて、ご本人と一緒にプランニングをし、決めています。
「義務教育中は授業や学校生活がつまらないと学校が大嫌いだったので、週1〜3日程お昼前に学校へ行き給食を食べたら帰る不登校だったのですが、今は週5日学校へ行き勉強してみんなと話をしたりすることが一番の生活基準になりました。家でも学校での出来事を楽しそうにたくさん話してくれます」
「入学当初の2~3ヶ月は気分の波がありましたが、先生方のサポートもあり最近は安定してきました。3Dプリンターなどの手を使った作業が楽しそうです」
「学校に登校するのが楽しみのようで、張り切りすぎて早く起きて用意をして遅刻をあまりせずに行けるようになりました(ほかの出かける用事はいつも時間との戦いで上手くいかないことが多いです)」
「毎日の出来事を本人から話してくれているのを聞いて、先生方が同じ目線でいてくださり、上からでも下からでもなく、圧をかけたりコントロールしたりせず、本人に寄り添ってくださっているのを感じます。また先生方がご自身の貴重な経験のお話をしてくださったり、嘘や偽りなくさらけ出してくださっているのがとても学びになるようです」
「情緒や、コンディションがまだまだ安定しないですが、本人の話を聞く時間をとっていただき、聞いてもらえて、少しずつですが勉強したいという前向きな意欲も出てきたようです」
「自分の考えを伝えるだけでなく、相手の気持ちにも配慮して話すようになりました」
「本当に手厚くサポートしてくださっているので、『満足』では足りないくらい満足しています」
「定期的に面談で普段の様子などを細かく伝えてくださり、またこちらからも家での様子をお伝えできるので、本人の状況についてタイムリーに情報共有できとても有益だと感じています」
個別相談会を開催中!
LITALICO高等学院では、個別相談会を開催中です。カリキュラムや学校生活、学費など、なんでもお気軽にご相談いただけます。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。