担任の先生に、連絡帳でどこまでお願いしていいの?発達障害・グレーゾーンの子の場合
通常学級の担任の先生との連絡帳。どこまでお願いしていいの?
こんにちは。『担任の先生に伝わる!子どもがラクになる合理的配慮サポートブック』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。
「通常学級の担任の先生に、うちの子のことをどこまでお願いしていいの?」
「連絡帳にこんなこと書いていい?」
「子どものことで心配ごとがたくさんあるけど、モンスターペアレントだと思われたくない」
などと、お悩みの保護者さんは多いでしょう。
特に、発達面での不安や、お友だちとの関係、学習面での気がかりなど、心配ごとが尽きない発達障害・グレーゾーンのお子さんであれば、尚更だと思います(うちもそうでした)。
わが子の負担は減らしてあげたいけど、担任の先生に何をどこまでお願いしていいのか、悩みますよね。
今回は、なかなかママ友さんにも聞きづらい、「連絡帳」の具体的な使い方のことを、うちの実例とともにお伝えしたいと思います。
まず、「連絡帳に書いていいこと」から。
うちの経験上、ちょっとした声かけ、簡単な支援グッズの持ち込み、その子の取り扱いのコツ程度なら、連絡帳で大丈夫でした。
担任の先生が「その場で判断・対応できる範囲」であれば、これまでのコラムや、著書・ブログでもお伝えしている通り、「手短に・簡潔に・具体的に」かつ、丁寧にお願いしてみるといいでしょう。
例えば、うちでは、
「いつもお世話になっております。
(子ども)は、集中すると周りが目に入りにくくなり、その場の状況に合った振る舞いが苦手なようですが、家では
『今、何をする時だったかな』などと気づかせれば、適切な振る舞いができます。
お手数ですが、教室でも適宜お声がけいただけますと助かります」
などと、担任の先生にさほど負担にならない声かけ程度のサポートは、連絡帳で時々お願いしていました。
また、簡単な支援グッズも、家で子どもが使い慣れてから、「これを使えばできます」「家ではこうするとできます」と伝えて、必要に応じて持ち込ませてもらっていました。
例えば、「(子ども)は、触覚が過敏ですが、ゴム手袋を使えば、掃除に取り組めます」といった伝え方でお願いすると、先生も気軽に「いいですよ」と許可してくれやすかったです。
https://www.amazon.co.jp/dp/4772615954
例文引用:『担任の先生に伝わる!子どもがラクになる合理的配慮サポートブック』大場美鈴(著),合同出版2026.3
「こんなこと、連絡帳でお願いしてもいいの?」と迷った時は、
・担任の先生の裁量で許可できるか
・先生個人に大きな負担がかからないか
・継続的な支援を希望するか
などを、目安にするといいでしょう。
また、手軽な工夫であっても、先生にお願いすることや、お願いの頻度が多い場合には、「サポートブック」などを作って、面談等でまとめて伝えるのもいいと思います。
ただし、連絡帳は気軽にやりとりできる反面、どうしても伝えられる範囲や情報量に限りがありますし、先生もお返事に時間がかかり過ぎると、業務に支障が出てしまいます。
また、紙の連絡帳の場合には、クラスのほかのお子さんたちの目に触れることもありますし、ネット連絡等の場合もほかの教員や事務職に共有されていることもあります。
では、「連絡帳以外」の手段で伝えたほうがいいのは、どんなことでしょうか。
例えば、
・子ども同士の複雑なトラブルや、いじめ対応
・障害の診断や告知に関すること
・継続的な支援や配慮のお願い
・家庭事情などを含め、込み入ったことの相談
など、デリケートなことや複雑な事情、継続的な支援の相談は、連絡帳ではなく、手紙または文書、電話、面談など、ケースバイケースで、連絡手段を使い分けるといいでしょう。
この時、連絡帳では
「〇〇について相談したいので、ご都合のいい時に、お電話いただけないでしょうか」
「(子ども)への合理的配慮について、面談をお願いできないでしょうか」
など、事前に先生の都合を伺うとベターです。
また、「担任の先生以外」の、学年主任などの管理職の先生、特別支援コーディネーター、第三者の医療・支援機関などにも、ケースバイケースで事前相談や面談等での同席をお願いしたほうがいいことは……
・学校のルールや指導方針などで、担任の先生だけでは判断が難しい配慮の場合
・学校側に人手や費用負担が生じる、多くの人に関係すること、などの場合
・学年をまたいで、継続的な支援をお願いしたい場合
・所属学級や、進路や受験に関わること
など。
また、「担任の先生にカドを立てずに要望を伝えたい」「子どものことを、うまく説明できるか自信がない」などの場合には、スクールカウンセラーに事前相談や仲介などをお願いすると、スムーズになることもありますよ。
合理的配慮、まずは相談して大丈夫
担任の先生との、その子の個性や困り感についての連絡帳での日常的なやりとりも、実は「合理的配慮」の一つといえます。
2024年4月から、障害のある子への合理的配慮の提供は、公立学校・私立学校ともに、法的義務となりました。
ですから、「まずは相談」して、大丈夫です。
特に、発達障害・グレーゾーンの子の特有の感覚や困り感は、ほかの人には想像しづらく、言葉にして伝えないと分からないことが、たくさんあります。
ただ、学校や先生にも都合や事情があり、家庭とは環境が違うので、必ずしもお願い通りの対応や配慮が得られるとは限りません。
その時は先生、そして、お子さん自身と十分話し合いながら、妥協したり、交渉したり、別の方法を考えたり……と、柔軟に選択肢を広げていけばいいんです。
そうやって、わが子の前で、親がほかの人と相談しながら理解や配慮をお願いしていく姿を見せることが、何よりの発達支援であり、将来的な「セルフアドボカシー」へとつながっていくのだと、うちの子どもたちが大きくなってきた私は心から実感しています。
そして、私自身も、最初から担任の先生に、上手に伝えられたわけではありません。
でも、もし、うまくいかなかったら、試行錯誤しながら軌道修正をすればいいだけですからね。
特に通常学級で学ぶ発達障害・グレーゾーンのお子さんの場合、「うちの子だけ、特別扱いしてもらうわけには……」と、迷うことってありますよね。
でも、合理的配慮は決して、「特別扱い」や「ズル」「ひいき」「不公平」ではありません。
合理的配慮の目的は、社会的なハードルを下げて負担を減らし、ほかの子どもたちと同じように機会を得られるようにして、その子本来の力を発揮しやすくすることでしょう。
まずは、親と先生の関係からお互いに歩み寄っていけば、少しずつ、お子さんのハードルも下がっていくと思いますよ。
https://www.gov-online.go.jp/article/202402/entry-5611.html
参考:政府広報オンライン|事業者による障害のある人への「合理的配慮の提供」が義務化
執筆/大場美鈴(楽々かあさん)
連絡帳の活用方法、何をお願いできるか、何については連絡帳でないほうがいいかについてとても具体的で整理されたコラムをありがとうございます。すぐにでも参考にできそうですね。お子さんが保育園出身の方は連絡帳自体にとても慣れているとは思いますが、小学校での連絡帳はお子さんの状況(心身の健康状態)を細かく記すものではなく、担任の先生との連絡のツールです。大場さんが具体的に書いてくださった文例程度の分量でお伝えされると、大事なことがスパっと伝わるだろうと感じました。
担任の先生もお子さんにとって良き指導や良き声かけがしたいと考えて、出会いから試行錯誤されているので、家庭ではこうするとうまくいったといったことや、園や前年度はこうしたらうまくいっていたということがあればぜひ知りたいと思うのではないでしょうか。込み入った話や、先生方の負担の大きな支援の方法に関してはぜひ面談等される方が、直接話しながらお互いの希望と現実的に可能なところの着地を探ることができると思います。
合理的配慮に関して言えば、まずは何がお子さんにとっての社会的ハードルになっているのかという認識をすり合わせること。そのためには、お子さん本人からつらさやつまずきについて教えてほしいところですが、まだ幼いため(あるいは障害の度合いによって)そこは難しいです。だからこそ保護者からの代弁が必要になっています。そして、そのためにどんな手立てが取れるかを学校と話し合います。この一連のプロセスは、大場さんも書かれている通り、ゆくゆくは本人が学校や職場と調整していくところです。保護者の方が背中で見せていく話し合いは、お子さんがゆくゆく自分で調整していくためのモデルとなります。
はじめから上手に提案やお願いができないかもしれませんが、学校の先生方もお子さんに学校で良き時間を過ごしてほしいと思っている点では同じです。調整し、折り合いをつけて実行する。ぜひ試行錯誤していただければと思います。(監修:臨床心理士・公認心理師初川久美子先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。