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77の展示から見えた、未来の教育・支援のカタチ。「みんなの脳世界2025」レポート

LITALICO発達ナビ

「超多様」な世界をのぞく――違いを「面白がる」空間


「ニューロダイバーシティ」という言葉を聞くと、少し難しく感じるかもしれません。しかし、会場に広がっていたのはワクワクするような世界でした。

77の展示から見えた、未来の教育・支援のカタチ。「みんなの脳世界2025」レポート

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会場には、最新のロボット技術、VR(仮想現実)を使った体験、アート作品、そして身体感覚を拡張するツールなど、ジャンルを超えた77のブースがずらりと並びました。 そこで行われていたのは、「障害のある人を助ける」という一方的な支援の展示ではありません。

    ・「見えないもの」を可視化する技術
    ・「できない」をテクノロジーで「できる」に変える工夫
    ・人それぞれの「感覚の違い」を楽しむ体験

これらが当たり前のように混在し、子どもから大人まで、障害の有無にかかわらず多くの人が目を輝かせて体験していました。 「みんなちがって、大変」ではなく「みんなちがって、面白い」。 そんなポジティブな空気が会場全体を包み込んでいました。
今回は77の展示の中から、いくつかの取り組みをピックアップしてご紹介します。


「読みやすさ」を科学するアプローチ

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「読むのが苦手」というディスレクシア(読字障害)の当事者であっても、比較的読める(あるいは、読みやすい)文字があるのではないかーー。

「MyType プロジェクト」が取り組んでいるのは、「読みやすさの個別最適化」です。
これまでの教育現場では、全員が同じ教科書、同じフォントで学ぶことが当たり前でした。しかし、ディスレクシアの傾向がある人を含め、脳の特性によって「読みやすい文字」は千差万別であることがわかっています。

会場では、タブレットを使ってフォントの種類や文字間隔を微調整し、自分だけの「最適解」を導き出す試みが行われていました。
ここでの体験は、「読めないなら練習しよう」という従来の指導から、「読めないなら、読める環境(フォント)を選べばいい」という、合理的配慮が当たり前になる未来を予感させるものでした。将来的にデジタル教科書と連携し、子どもたちが自分のIDを入れるだけで、画面が「自分仕様」に変わる。そんなインフラ作りを目指す取り組みです。


※MyTypeプロジェクトは、ー般財団法人森澤信夫記念財団の協賛を受け、武蔵野美術大学、株式会社モリサワ、株式会社コンセント、東京科学大学によるプロジェクトとして実施しています。

当事者の声から生まれる「インクルーシブデザイン」

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モノづくりの現場でも、発達障害当事者の声を起点とした製品開発が進んでいます。その象徴的な事例として展示されていたのが「mahora(まほら)ノート」です。
この取り組みの特筆すべき点は、「当たり前を疑う」姿勢です。
例えば、学習帳には必ずあると思われていた「十字リーダー(点線)」や「真っ白な紙」。これらが感覚過敏のある子どもにとって「視覚的なノイズ」や「まぶしさ」の原因になっているという事実に耳を傾けました。

開発チームは、余計な線をなくした「バランス中心点」だけのレイアウトや、光の反射を抑えた紙を採用。
これは単なる文房具の改良にとどまらず、「多数派に合わせて作られた社会の規格を、多様なマイノリティの視点で見直す」という、インクルーシブデザインの好例と言えます。

子どもの「できない」に注目するのではなく、「道具の側にあるバリア」を取り除く。企業のそんな姿勢が、子どもたちの学びやすさを支え始めています。

共感を生むための「翻訳」という技術

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発達障害の人が持つ目に見えない困難さを、どうすれば周囲に理解してもらえるか。
この課題に対し、その困難さを別の言語表現に置き換え(翻訳し)ながら共有を試みるのが「こまりごと翻訳」プロジェクトです。

この展示が提案しているのは、抽象的な自分の感覚を、「誰もが持っている日常感覚」の表現へ変換することです。
例えば、「どうしようもない無力感」を、「洗車した直後に雨が降った時の気持ち」や「メガネをおでこに乗せて探している時の呆れ」
などに置き換える(翻訳する)のです。https://amzn.to/3Py5mFe
参考文献:見えないスポーツ図鑑(晶文社)/伊藤亜紗 (著), 渡邊淳司 (著), 林阿希子 (著)

親子関係や学校生活において、「なんでできないの?」という衝突は、相手の感覚が想像できないことから起こります。
困難さを「機能障害」として伝えるのではなく、誰もが共感できる「物語」として伝える。
この「翻訳」というアプローチは、家庭や教室に優しい相互理解をもたらす、新しいコミュニケーションの形になるかもしれません。

エビデンスに基づく「心の可視化」と教育

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教育現場の課題に対しても、精神論ではなく「科学(エビデンス)」に基づいたシステム導入が進んでいます。
展示されていたのは、子どものメンタルヘルスや人間関係をサポートするICTプログラムです。

「デイケン」は、日々の健康観察をアプリ化し、子どもが1人1台端末を使って、ほかの児童生徒に知られることなく、気軽に先生に今日の気分や体調、相談希望を伝えられる仕組みになっています。

子どもたちがカードゲームをしながら楽しく学べるゲーミフィケーションワークショップが、通称「ゲミワ」です。

その教材の1つである「いじめ予防ゲミワ」は、遊びを通して自然といじめ予防の実践につなげることが可能です。特徴的なのは「クラスピ」という動物をモチーフにしたオリジナルキャラクターを用いている点。人間ではなく動物のキャラクターを通すことで、対人関係に苦手意識があるお子さまでも客観的に自分や他者の振る舞いを学ぶことができます。


「ゲミワ」は今後、「いじめ予防」以外のさまざまなテーマでも展開される予定です。

重要なのは、これらが研究室の中だけの話ではなく、すでに全国各地の学校で実際に導入されているという点です。
先生の経験則だけに頼るのではなく、データや体系化されたプログラムを使って、子どものSOSを拾い上げたり、ソーシャルスキルを育んだりする。
学校教育が、「個人の資質」に委ねる形から、「仕組みで子どもを守る」形へとアップデートされつつあることを感じる展示でした。

社会は「個に合わせる」方向へ動き出している


77の展示を通して見えてきたのは、子どもたちが自分を変えようと必死になるのではなく、「環境やツール、社会の側が、子どもたちの個性に合わせようとしている」という確かな変化です。
「読めないならフォントを変えよう」
「書けないならノートの線を見直そう」
「伝わらないなら言葉を翻訳しよう」
「心配なら科学の力で可視化しよう」
こうした取り組みの積み重ねが、これからの当たり前を作っていきます。

「みんなの脳世界2025」は、私たちの子どもたちが大人になる頃には、もっと生きやすく、もっと面白い社会が待っているかもしれない。そんな希望を感じさせてくれるイベントでした。


「みんなの脳世界2026」の開催も決定!出展・協賛の募集がスタート

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昨年大盛況だったこのイベントですが、早くも今年の秋に「みんなの脳世界2026〜超多様〜」として開催されることが決まりました。日程は2026年11月7日(土)・8日(日)の2日間、同じく東京ポートシティ竹芝で行われます。

現在、主催のB Labではイベントを一緒に創り上げる出展者や協賛企業の募集を行っています。

【開催概要】
イベント名:みんなの脳世界2026〜超多様〜(ちょっと先のおもしろい未来 –CHANGE TOMORROW-(ちょもろー)と同時開催)
開催日程:2026年11月7日(土)・8日(日)
会場:東京ポートシティ竹芝 オフィスタワー1階 ポートホール(JR 浜松町駅北口より徒歩4分)
入場料:無料

※クリックすると発達ナビサイトから「みんなの脳世界2026~超世界~」公式サイトに遷移します

「みんなちがって、面白い」を理屈抜きに体感できるこの空間。今年も新しいインクルーシブなアイデアとの出合いが待っています。

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