生活リズム調整、やりたいことの探求…卒業後の「焦らない進路選び」をサポート!自立訓練「LITALICOテラス」取り組みと利用ステップ

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学校卒業後の進路、「いきなり就労」に迷いや不安はありませんか?


高校や大学、特別支援学校を卒業したあとの進路について「いきなり働くのは少しハードルが高いかもしれない」「まずは規則正しい生活や、人とのやりとりに慣れることから始めてほしい」など、さまざまな思いや不安がある保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんなご家庭の選択肢の一つとして2026年7月に神奈川県横浜市(新横浜)に開所したのが、自立訓練(生活訓練)事業所「LITALICOテラス」です。

「自立訓練(生活訓練)」とは?


自立訓練(生活訓練)とは、障害者総合支援法に基づく福祉サービスの一つで、自立した日常生活や社会生活を送るための土台づくりを行う場所です。

【LITALICOテラスの概要】
LITALICOテラスでは、体力や生活リズムが不安定な方や人とのコミュニケーションが苦手な方など、日々に「生きづらさ」を感じている方が、次への一歩を踏み出していくための場所です。社会福祉士・精神保健福祉士・臨床心理士・公認心理師などの資格を取得した専門スタッフを配置し、主に次のようなサポートを行っています。

  • 基礎的な生活リズムの整え
  • 自己理解とスキル学習
  • 一人ひとりに合った自己決定と次へのステップ


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【対象となる方】
18歳以上、65歳未満の方で、精神・知的障害・身体障害・発達障害・難病のある方や、医師から利用を勧められている方が対象となります。なお、利用するためには「障害福祉サービス受給者証」が必要です。これは「児童通所受給者証」とは異なり、新しく自治体への申請を行います。


【利用できる頻度・期間】
週1〜2日から利用することができます。原則として最長2年間です。

【利用料金】
世帯の収入状況によって負担上限が変わります。18歳以上になると保護者の方の所得とは切り離され、ご本人(および配偶者)の収入に基づいて算定される仕組みです。そのため、高校を卒業して利用される方の多くは、自己負担なし(0円)でご利用いただけます。

学校卒業後の「焦らない準備期間」と自立訓練の役割

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どのような背景や思いから「LITALICOテラス」が開設されたのか、どのようなサポートを行っているのか、新横浜センター長の岩崎文秀さんに聞きました。

ーー自立訓練は18歳から利用できますが、高校や特別支援学校を卒業したあとの進路について保護者の方からはどのようなお声がありますか?

「就職を目指したいけれど、体調や体力が続くか心配」「いきなり就労に向けた支援に通わせるのは、本人にとってプレッシャーにならないだろうか」といったお話を伺うことがあります。
実際に高校卒業後に就職し、同じ職場で長く働き続けるケースもあれば、環境や業務が合わずに離職を選ばざるを得ないケースもあります。
ステップアップのための転職もありますが、リアリティショックというか、「やりたいことと違った」というミスマッチが起きるケースもあります。焦って進路を決めてしまうことで、ご本人が自信をなくしてしまうこともあるかもしれません。
だからこそ、すぐに就職するのが最適か迷ったときは、まずは自分に合った生活のペースづくりや自分の得意・苦手を知る時間を持つことも、大切な過ごし方の一つだと考えています。

ーー自分に合ったペースづくりや自己理解を進めるうえで、具体的にどのようなことを大切にされていますか?

就職するためのスキルアップも大切ですが、その前提として、体調を整えること、ストレスを感じたときの対処法を知ること、困ったときに周りに相談できることといった生活の基盤が欠かせません。LITALICOテラスでは、ご本人が「どんな生活を送りたいか」「どう過ごすと心が安定するか」といった根本的な部分をスタッフと一緒に整理し、自分なりのペースを見つけていくプロセスを大切にしています。

ーー自立訓練か就労移行支援か、迷われるご家庭もありそうです。自立訓練は、どのような方におすすめですか?

自立訓練のご利用は、主に以下のような方におすすめです。

1. 社会人に向けた生活面での自立・自己管理を身につけたい方
成人になるタイミングでは、自分に合った生活リズムの確立をはじめ、調理や金銭管理、SNSの活用、コミュニケーション力の獲得、家事など、自分で管理すべきことが一気に増えていきます。
まだ経験したことのない事柄も含め、実際の体験を通して自分に合った自己管理の方法を学ぶことができます。

2. 自分に合ったこれからの進路をじっくり検討したい方
「将来どのような生き方をしたいか」「どんな進路が自分に合っているのか」といったイメージがまだ湧いていない方にもおすすめです。さまざまな体験を通してスタッフと一緒にご自身の得意や関心を深掘りし、納得感を持って次のステップへ進むための準備ができます。

ーー自立訓練と就労移行支援、両方活用される方もいますか?

そうですね。「いきなり就職活動を始めるのは不安……」という場合、まずは自立訓練で生活の土台を整え、その後に就労移行支援を活用するというステップを踏むのもおすすめです。例えば、自立訓練に半年〜1年ほど通って無理のないペースをつくり、ご自身の方向性が見えてきたタイミングで、LITALICOワークスなどの就労移行支援へ移行する形です。各制度の利用期間を残しながら段階的に進めることで、気持ちや時間にゆとりを持って就職に向けた準備を進められます。

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一人ひとりのペースに合わせる「LITALICOテラス」の特徴


ーー日曜日も営業されているとのことですが、具体的にどのようなプログラムや過ごし方をされているのでしょうか?

一般的な自立訓練事業所は日曜日がお休みになることが多いのですが、LITALICOテラスでは日曜日も開所し、生活リズムの整えや余暇の過ごし方をサポートできる環境を整えています。
毎週提供するプログラムは日曜日ごとに異なりますが、一例として次のような時間を過ごしていただけます。

個別面談、相談、家族面談
スタッフと1対1でじっくり話をしたり、日々の困りごとや今後の進路について個室面談室で相談・振り返りを行ったりします。またご希望があればご家族との面談を行い、今後の進路や取組状況などを一緒に検討します。

余暇の探求、メンバー同士の交流
「自分の好きを語る・探す」ワークや、ボードゲーム・雑談など、気負わないゆるやかな関わりを通して「休日や余暇の過ごし方」を実験・探求します。

外出の機会、講演会への参加
外出プログラム(地域のイベントや施設訪問など)など、休日ならではの社会体験を楽しみます。また、LITALICOワークスを利用して就労された方との座談会機会も設ける予定です。

ーー事業所内でのワークにとどまらず、さまざまな活動が予定されているのですね。

そうですね。
調理実習や体育館を活用しての運動、地域ボランティアへの参加、障害者雇用をすでに実施している企業への訪問や体験実習も予定しています。さらに、自分たちで年1回イベントを企画し、文化祭のような取り組みも実施したいと考えています。こういった取り組みを通年実施し、これまで経験してこなかったことに触れ、自分の可能性を試したり、仲間と共にチャレンジすることで自分のやりたいことを見つけたりできる機会を育んでいきたいと考えています。

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ーーステージやコース分けはありますか?

まず、利用期間を「基本・実践・進路選択・定着サポート」の4つのステージに分けて進めます。「進路選択ステージ」では、「就活」「就労移行支援」「福祉的就労(A型・B型)の模索」「復学・進学」「探求」の5つのコースをご用意しています。

中でも「探求」コースは、卒業後にすぐ「働く」「学ぶ(進学)」といった社会的な役割に自分を合わせるのではなく、「自分は何が好きで、どんな生き方をしたいのか」という原点をじっくり探求することをゴールとしています。具体的には次のような取り組みや過ごし方・進路イメージを想定しています。

創作活動や発信活動につながる進路
留学、フリーランス、クリエイター、起業、制作などの表現活動など、自分の関心や特技を活かした創作活動や個人事業、オンラインでの表現・発信活動へとつなげていきます。


地域・コミュニティ活動への参画
地域食堂やサードプレイス(居場所)、NPOなどのボランティア・活動メンバーとして、無理のないペースで社会とつながり続けることを目指します。どんな活動先があるのか、そこで何を実践していくのかを整理し、それに必要なスキルをLITALICOテラスで学んでいきます。

ーー「今すぐ進路を決められない・動けない」という方も安心して過ごせそうですね。

そのような方をサポートするうえで、私たちが大切にしているのは次の3点です。

1. 多職種・地域と連携し「頼り先」を増やす
相談支援員や医療機関、地域の相談機関などと連携し、ご本人が安心して相談できる場所をコーディネートします。相談できる居場所を地域の中に複数つくることで心に余裕が生まれ、安心感につながります。

2. ご本人のペースを最優先に(安心できる土台づくり)
週1日や短時間通所から始め、まずは「ここに来ればホッとできる」場所になることを最優先にします。事業所のプログラムだけでなく、地域のイベント参加やボランティアなど、仲間と共に小さな社会体験を焦らず重ねていきます。
こうした体験を通じて、大切にしたい価値観に気づき、これまで苦手だと思っていた一面も新しい視点で捉え直す(得手不得手を再定義する)ことができます。焦らず自己理解と成功体験を積み重ねることで、心身のエネルギーをじっくり蓄えていきます。

3. 主体性を育む(自分らしい意思決定への伴走)
誰かに決められたレールを進むのではなく、「自分はどう生きたいのか」を自分の意思で選択できる力を育んでいきます。LITALICOテラスでは、スタッフが答えを提示するのではなく、本人の「やってみたい」「気になる」という小さな声に耳を傾け、自ら考え行動するプロセスに伴走します。試行錯誤や失敗も含めて自分のペースで経験を重ねる中で、自分自身の人生を主体的につくり上げていく自信と、「新しいことに挑戦してみよう」と思える意欲を養っていきます。

現在、新横浜の事業所では精神障害のある20代〜30代の方が通われています。お仕事の経験がない方や、短期間でお仕事を辞められた方など、それぞれ異なるスタートラインからご自身のペースで過ごされています。高校卒業後の準備期間としても、焦らずに一人ひとりに合ったステップを一緒につくっていけたらと思います。

ーーさいごに、進路に悩む保護者の方へメッセージをお願いします。

障害の有無にかかわらず、高校卒業後3年以内の離職率が37%、大学卒業後3年以内の離職率が33.8%というデータがあります。無理を重ねた結果として休職やひきこもりにつながるケースも少なくありません。社会に出てからのことを見据えて大切にしたいのは、学生時代や社会に出る前のタイミングで「自分はどう生きていきたいのか」「そのためにどんな働き方や環境を選ぶのが自分に合っているのか」を、できるだけ具体的にイメージし、準備しておくことです。しかし、これまでの学校教育の中だけでは、そうした「自分を知り、実際の社会や仕事の環境を試してみる体験の場」は、決して多くはありませんでした。LITALICOテラスは、単に生活リズムを整えたり生活改善を行ったりするためだけの場所ではありません。さまざまな体験や実験を通じて、自分自身と向き合い、社会との心地よい接点を見つけていくための「探求と準備の場」です。誰かに決められたレールを進むのではなく、ご本人が「自分はどう在りたいか」を描き、自分の特性を活かして心からやりたいことに挑戦できる。そのための確かな土台と安心感を、この場所で育んでいってほしいと願っています。

「卒業後の進路に不安がある」「わが子に合った選択肢を一緒に考えたい」とお悩みのご家庭は、どうぞお気軽にLITALICOテラスへご相談ください。お子さまが自分らしく一歩を踏み出せるよう、ご家族の皆さまと共に全力で伴走してまいります。

参考:新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html

まとめ


LITALICOテラスは、2026年7月に開所した新横浜をはじめ、今後は東京・神奈川エリアを中心に順次事業所を拡大していく予定です。高校卒業後の選択肢として検討される場合、高校2年生頃からさまざまな施設を見学し、事業所の特徴を知っていただくことがおすすめです。

【進路決定の流れ(一例)】
  • 高校3年生の夏〜秋頃から見学・相談をはじめ、年末までに進路先を決定
  • 年明け頃に「障害福祉サービス受給者証」などの申請・手続きを進めて4月からの利用開始に備える

「うちの子のペースに合うだろうか」「具体的にどんな活動をしているのか知りたい」と思われる方は、まずは個別相談や見学などを通して、選択肢の一つとしてご検討してみてはいかがでしょうか。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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