不安障害(不安症)とは?診断基準・種類・治療法・相談先・周囲の対応法まとめ
そのため、そのほかの不安障害の原因に当てはまる性格的気質は、この疾患の原因になると考えられています。例えば、否定的思考、心配症などです。また、小児期の環境もこの疾患の要因になるとされていますが、原因は一人ひとり異なり、また明確に特定できないことも多いようです。
◇限局性恐怖症との違い
限局性恐怖症の場合は、不安、恐怖の対象自体に不安感と恐怖心を感じます。それに対して、広場恐怖症は、何か不吉な出来事がその不安、恐怖を感じる状況下で発生し、それを回避できないのではないかと感じます。これが違いです。
◇症状
症状は主に5つあります。
・愛着のある人から離れることに対して過剰に心配します。
例えば、その人が病気になるのではないか、災害に巻き込まれ死んでしまうのではないか。また本人が迷子になる、誘拐されるなどして愛着のある人ともう一生会えないかもしれない、と過剰に心配になったりします。
・愛着のある人から離れることへの不安・恐怖で、移動できなくなります。例えば、家から離れ学校や仕事に行くことを拒んだり、他の場所に一人で出かけたりすることができなくなります。
・一人で家にいる、愛着のある人がいない場所に一人でいることにたいして過剰な恐怖を感じ、その状況に置かれることを拒むようになります。特に子どもの場合、つきまとい行動(親の影のように常にすぐそばにいる)を行うことがあります。
・愛着のある人なしで就寝することを拒み、旅行や友達の家に泊まりに行くことができなくなります。上記の症状により、社会的、学業的、職業的に日常生活を送ることが難しくなります。
◇不安、恐怖の対象
対象は愛着のある人、例えば親、パートナー、重要人物との別れです。別れることを予期し、過剰に恐怖心、不安感を抱きます。
◇原因
後で述べる「不安障害を発症しやすい特徴」のある人が、何かを失った経験がストレスとなり発症することが多いです。身内またはペットの死、転校、両親の離婚、移住、転校、20代前後では親からの独立や恋愛関係の終始などがストレスとなりえます。
アメリカ精神医学会のDSM-5によると、ストレス以外にも遺伝的な要因もあるのではないかといわれています。DNAが同じ一卵性双生児が生まれた場合、この疾患が双生児両方で発症する確率は73%です。そして女子ではさらに高い確率であるといわれています。
医学的な診断名としては「選択性緘黙(せんたくせいかんもく)」