「この春の気持ち/おすすめの焼き菓子」平野みかほの『子どもと、私と、らしさと』Vol.2 | HugMug
『La boutique Uncinq』を営みながら、毎日を丁寧に過ごす平野みかほさん。愛らしい娘さんふたりとの穏やかで微笑ましいエピソードを中心に、みかほさんの好きなものをご紹介していきます。第二回目は、みかほさんのここ最近の心境と緩む時間におすすめの焼き菓子について綴ってくれました。子育てをがんばる自分へのご褒美に、ぜひ参考にしてみて♪
この春のこと。
「フワフワしてる〜」と、咲き誇る桜が揺れるのを楽しそうに見上げ、はっきりと話し出す次女。
つい最近まで、曖昧な言葉を話していたのに、この数ヵ月でたくさんの言葉や接続詞を覚え、だんだんと家族と次女の間に“会話”が生まれるようになってきました。
同時に「すっごく嬉しいなあ」「ううん、もうおなかがいっぱいだから食べりぇないの」「ママ、いっしょにパジュル(パズル)であそぼう?」「ちょっと待ってね、これでまだ遊んでるきゃら(から)〜」など、思ったことや感じたことをたくさん伝えられるように。
聞き取れなかった可愛い宇宙人語の登場が少しずつ少なくなってしまうと、やっぱり寂しい。
すくすくと育ってくれた喜びと、今よりも小さいわが子にはもう会えないという切なさが混在して、「小さかったわが子」と「今のわが子」のはざまに揺れながら、少し靄のかかった気持ちと向き合う日々も多かったです。
(大好きだった食後の挨拶「ごったまーた!」が「ごちそうさまでちた!」に変わってしまった瞬間は、胸がきゅーっとなってしまいました)
一方で、「寂しいと思うことさえも愛おしい」という温かい気持ちを感じていました。子どもたちと重ねてきた“時間”に、プレゼントしてもらったかのようにふと芽生えてきた、この気持ち。
例えるならば、夕日をぼーっと眺めているときの静かで穏やかな気持ちと少し似ています。
太陽が沈んでしまうのは名残惜しいけれど、明日また陽が昇ってくる安心感の中で、今日もありがとうと深く心から感謝するような……
子どもたちとの暮らしが始まり、行ったり来たり、戻ったりしながら、試行錯誤な毎日を振り返ると、目に浮かぶ思い出や過ごした時間が、ゆっくりゆっくり大きな愛おしさに変わり、寂しささえも今の私の支えになってくれているのかもしれません。
ただ、そう思う至福のときは一瞬で、ままならない日は相変わらず多い。
そんな日は、コーヒーやその時々で淹れたお茶や紅茶を片手に、菓子の甘さで自分の心を緩めたりしています。