子どもの作文力を育む「インタビューごっこ」のススメ――文章作成に必要な「自問自答」の習慣づくり
の2点です。
たとえば「リレーで負けて悔しかったね?」と質問するのは、あまりいい質問ではありません。本人は“悔しいと思っていない”かもしれないからです。また、「リレーでは最後に抜かれちゃったね。あのときは、どういう気持ちだった?」と質問したときに、子どもが「ムカついた」と答えたとします。親としては「悔しかった」という言葉がほしいのかもしれませんが、そこはグっと耐えなければいけません。「ムカついた」というのは、子どもにとって素直な感想です。むしろ、大切にすべきキーワードです。
子どもが「別にない」「とくにない」「よくわからない」といった答え方をしたときも、「ちゃんと答えなさい!」などと怒ってはいけません。本人にとって「リレーで抜かれたこと」は、たいして意味のないことなのかもしれません。さまざまな方向から質問をして、子どもが興味・感心をもつエピソードを引き出してあげることもインタビュアーの役割です。
「運動会はつまらない!運動も大嫌い!」。なかには、そんな答え方をする子もいるかもしれません。いいじゃないですか。すばらしい個性です。運動会が嫌いな理由を聞いてみてください(尋問にならないよう気をつけながら)。
きっとユニークな作文ができるはずです。
くり返しになりますが、子どもの答えに対して、親が善し悪しをジャッジしてはいけません。どんな答えも正解です。親がいらぬジャッジをした時点で、それは「インタビューごっこ」ではなく詰問や尋問になってしまいます。すると、子どもは、素直に答えなくなってしまいます(親の顔色をうかがうようになります)。どんな答えであっても、それが“その子らしい作文”を書くために必要な材料と心得ておきましょう。
攻守交代してインタビュアーも経験させよう
頭の中にある情報は曖昧模糊とした“幻”のようなものです。話すという行為は、その“幻”を形にする重要なプロセスです。
質問に答えることによって、子どもは自分の気持ちや意見に気づくことができます。質問に答えることは、子どもの言語能力と思考能力を高めるうえで極めて有効なのです。
なお、子どもの自問自答力を高めるためには、子どもに「質問をする経験」を積ませることも大事です。ですので、子どもへのインタビューが終わったら、こんどは親が、子どもからのインタビューを受けてください。テーマは「お母さんの好きな趣味について」