自ら人生を切り拓く女の子の本、男の子に柔軟な生き方を示す本。ママだけでなく、パパとも一緒に楽しめる絵本。
最初は「女の子が読むものを変えよう」という動きが目立ったように思います。
最近、日本でクラウドファンディングを用いて復刻された『アリーテ姫の冒険』も、そのうちの一冊です。伝統的なプリンセスが「待つ」お姫様であるのに対し、アリーテ姫は賢く、勇気を持ち、非暴力的な形で問題を解決していきます。
1983年に小さな出版社から出されたこの本は、すでに出版社そのものがなくなっていることもあり、実は英語での入手は簡単ではありません。本国のイギリスでは、日本で作られたアニメーション経由で読んでみる人が多いようです。
英語圏の新しい童話でもお姫様は続々と登場していますが、今ではむしろ、「賢く」「行動力のある」お姫様がスタンダードになっているように思います。
身近な例では、最近のディズニープリンセスたちを見てみれば良いでしょう。『モアナと伝説の海』のモアナも、『アナと雪の女王』のアナとエルサも、決して待っているだけではありません。
純粋に本だけでいうのであれば、例えば、パトリシア・リーデの Dealing with Dragons(『囚われちゃったお姫さま』※小学校中学年以上対象)に出てくるお姫様は、フェンシングやラテン語、経済学の勉強がしたくてたまらず、うずうずしています。
アリーテ姫よりも少し早く、1980年に出版された The Paper Bag Princess (『紙ぶくろの王女さま』)では、悪いドラゴンにドレスを盗まれ、王子様をさらわれてしまったお姫様が、王子様を助けに冒険に出かけます。
アリーテ姫や紙ぶくろの王女さまは、のちの「行動する王女たち」の先駆者だともいえるでしょう。
女の子には「自分の力で人生を切り拓いた女性の伝記」を
それでも、お姫様だけではないロールモデルを!
こんな声がけで始まったのがこちら、『世界を変えた百人の女の子の物語』。全世界36ヶ国で発売され、累計100万部を突破した話題作です。
生まれながらに「お姫様」として色々なものを与えられている女の子だけではなく、自分の力で人生を切り拓いていった女性たちの伝記が、多くの女性アーティストのイラストとともに、まるでおとぎ話のような語り口で並べられています。
実はこれも、クラウドファンディングで始まったプロジェクトです。675,000ドル強(日本円にして7,500万円強)と、子供の本としては破格の金額をオンライン上で集めました。