日本人教員がビックリするのも納得。豪州が取り組むSTEAM(スチーム)教育の凄さ
ソニーが運営する科学教育発展のための助成財団「ソニー教育財団」。小中学校教員たちの支援が主な活動ですが、日本が世界に誇る大企業が運営するだけに国際的な活動もおこなっています。
その狙いは、先生たちに狭い教育現場から海外にも目を向けてもらうこと、そして、日本では遅れていると指摘される「STEM教育」を取り入れること。
公益財団法人ソニー教育財団理事長・高野瀬一晃さんにそれらの活動内容を語ってもらいました。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹(ESS)写真/玉井美世子(インタビューカットのみ)
日豪の教員同士の交流により理科の授業の質を上げる
グローバル化の波が押し寄せる時代ではありますが、学校現場という狭い世界で働く先生たちが海外に目を向けるということはなかなかできるものではありません。そこで、わたしたちは国際交流にも積極的に取り組んでいます。国際的な活動にはさまざまなものがありますが、毎年おこなっているのがオーストラリアの先生たちとの交流です。
オーストラリアには、ASTA(Australia Science Techers Association)という、科学の先生たちの全国的な研究組織が存在します。わたしたちが支援しているのは、そのASTAの先生と日本の先生による相互訪問。日本の先生は、ソニー教育財団が支援する熱心な理科教員の集まりである「ソニー科学教育研究会」(SSTA)(インタビュー第2回参照)に所属する先生たちです。
日本の夏休み期間中に、日本の先生たちをオーストラリアにお連れして、オーストラリアの小中学校で、実際に日本でおこなっている実験などの理科の授業をしてもらう。また、南半球のオーストラリアが春休みとなる10月には、逆にオーストラリアの先生たちに日本に来てもらって、日本の小中学校で授業をしてもらいます。
日本とオーストラリア、それぞれの学習方針や授業内容のちがい、子どもたちのリアクションを目の当たりにし、日豪の先生同士でのディスカッションをとおして、互いの授業の質をさらに高めてほしいと考えています。なかには、これまで一度も海外に行ったことがなく、「天地がひっくり返るほど人生観が変わった」なんて感想を言ってくれる日本の先生もいますよ。オーストラリアで受けた衝撃を、ぜひ今後の授業に生かしてほしい。
画像提供:ソニー教育財団(本記事冒頭画像も同財団提供「オーストラリアとの交流」)