オリジナルの比喩で、表現力のある作文に激変――“それ” は “ほかの何” に見えるのか?
その子にとって、“それ” は何に見えるのか?
子どもの作文の醍醐味といえば、大人には到底思いつかないような、自由な表現力ではないでしょうか。みんながあたり前のように使っている表現で書いても、おもしろい作文にはなりません。みんなが使っていない表現で書いたとき、初めてその子の魅力が伝わります。
【例文】
かみの毛がツンツンに立った男の人が歩いていました。
決して悪い文章ではありません。「ツンツン」という具合に、前回(第5回)の記事でお伝えしたオノマトペを使って、表現力豊かに書いています。読む人は、個性的なヘアスタイルの(髪の毛を逆立てた)男性の姿を思い浮かべるでしょう。
一方で、この文章をさらに魅力的にする方法もあります。
それが「比喩」です。「比喩」とは「物事を説明するときに、他の何かに置き換えて表現すること」。つまり、“たとえ”です。先ほどの例文であれば、ツンツンに立ったかみの毛を“他の何か”にたとえることで、作文の魅力がアップします。
【「たとえ」を使った例】
【1】かみの毛がツンツンに立った男の人が歩いていました。まるで、あたまの上にパイナップルをのせているかのようでした。
【2】あたまの上で大ばくはつがおきたみたい、と思うくらい、かみの毛がツンツンに立った男の人が歩いていました。
【3】男の人が歩いていました。
その人のかみの毛は、いきおいのいい「ふん水」のようにツンツンに立っていました。
【4】あっ、超サイヤ人だ!かみの毛がツンツンに立った男の人が歩いていたのを見て、わたしはそう思いました。
【1】パイナップル
【2】大ばくはつ
【3】いきおいのいい「ふん水」
【4】超サイヤ人
あなたの子どもの目には「ツンツンにかみの毛が立った頭」は、“他の何” に見えるでしょうか。どんな比喩表現も間違いではありません。見えたものが、その子にとっての正解です(=個性です)。ましてや、子どもがせっかくたとえたモノを、親や大人が否定・批判してはいけません。子どもたちがやる気をなくしてしまいます。
比喩を使うと表現力が豊かになる
もしも、子どもが比喩(たとえ)らしき表現を書いたことがなければ、子どもに質問する形で、親がさり気なく誘導してあげましょう。
【例文】
かぞくでやき肉の食べほうだいに行った。たくさん食べたパパのおなかは、いつも以上にポッコリふくらんでいた。