人気絵本作家いわむらかずおさんが語る「絵本の楽しみ方」と「読み聞かせの意義」
世界中で1,500万部を超えるロングセラー絵本「14ひきのシリーズ」(童心社)を知っていますか?緑豊かな里山で暮らす、野ねずみの家族の幸せな日常が描かれた全12冊の絵本です。誕生35周年を迎え、世代を超えて愛され続ける本シリーズを、一度は手に取ったことのある方も多いのではないでしょうか。
その作者であるいわむらかずおさんの作品には、大自然を舞台にした物語がたくさん!今回は人気絵本作家のいわむらかずおさんに、自然が丁寧に描かれたいわむらさんの絵本の楽しみ方と、親子の読み聞かせの意義についてお話をうかがいました。
絵本が自然体験の入り口になるように
絵本が自然体験の入り口になっているといいな、と思うんです。自然の体験というのは、自ら進んでやる行動の中で、いろんな発見が生まれてくるものですね。草むらや雑木林をゆっくり歩いたり、池の水をすくってみたりすることで、自分でいろいろなことに気づきます。
絵本「14ひきのシリーズ」でやっていることも、じつは同じ。ページをめくれば、はじっこにいる小さなアリやクモが目にとまる。草の陰にてんとう虫が見える。
こんなふうに、絵を見ていると、いろいろな発見があるでしょう。それは実際に自然の中を歩いて、さまざまな生きものたちに出会ったり、何か新しいものを見つけたりするのと、同じことですよね。
自然の中で「自ら発見する」経験がとても大事だと思っているので、それができるように、自然の様子を細かく描いているんです。もちろん、あくまでも疑似体験だけれども、それでも絵本が自然体験に興味を持つきっかけになるといいですよね。
絵の細部にまで目を向けて、発見してほしい
『14ひきのひっこし』と『14ひきのあさごはん』(童心社)には、「……はだれ?」「……はなに?」という問いかけを入れています。絵の細部にまで目を向けて、発見することを楽しんでほしい、という思いを伝えるためにわざと、そういう問いかけをしているんです。
じつは絵本を作っているとき、「こんなのないほうがいいんじゃないか」という意見もあったんです。でも、この本の意図がよく伝わるように、最初の何冊かには入れたほうがいいと思って、私の意思で入れました。
問いかけがあると、お子さんは一生懸命探して答えますよね。それも含めて楽しんで読んでもらえたら嬉しいですね。