みんな違って、みんないい。違いを恐れない子に育てるための「多様性」を学べる絵本
『男の子も、女の子も、ステレオタイプにはまらない生き方を。子どもの本棚のバランスを考える』という記事で以前、
男の子が主人公の物語は、女の子が主人公の物語よりも多く出版されている
ことをお話ししました。ジェンダーバランスと同様、物語におけるバランスの悪さが指摘されている分野がもう一つあります。それは、家族のあり方や性自認、人種や障がいのあるなしなどの様々な「多様性」です。
多様性を子供の本棚に
子供達は本を読む時、単純に字を読むことを覚えるだけでなく、社会規範も学んでいきます。「これがふつう」「これはめずらしいこと」「それはいいこと」「あれはわるいこと」といった規範は、必ずしも本の中に直接的に現れるとは限りません。
本の中心となるテーマが友情や勇気だったとしても、出てくる主人公たちが全員お父さんとお母さんと一緒に暮らしている白人の男の子ばかりだったら、子供達はそういった「背景」までひっくるめて、メッセージを受け取ってしまいます。
現実の世界には、片親の家庭もあれば、障害を持つ子供や大人もたくさんいます。子供たちはきっといつか、様々な背景や事情を持つ人々に出会うでしょう。
今後、今よりもっと多様性が重要視されるようになると思います。そんな社会を生きる子供たちにとって、「様々な人々のあり方」をあらかじめ知っておくことは、とても大切です。幼少期から楽しめる絵本を通して、親子で考えてみませんか。
多様な家族のあり方を描く絵本
小さな子供にとっては、自分の家族だけが「ふつうの家族」です。お父さんがお仕事をしていて、お母さんが専業主婦の家庭の子供にとっては、それが「ふつう」。お母さんが会社で働いていて、お父さんがフリーランスで一人っ子の子にとっては、それが「ふつう」。
昔だったら、絵本に出てくるのは、お父さんとお母さん、そして子供が2人ぐらいまでがスタンダードだった、と言っても良いでしょうか。けれど、今の社会において、現実の家族はもっともっと多様なものです。ここでは、多様な家族についての絵本をご紹介しましょう。
■『タンタンタンゴはパパふたり』
パパが2人のペンギンの家庭の子供、タンゴの物語。ニューヨークのセントラル・パーク動物園での実話が絵本になりました。米国図書館協会の Notable Children’s Book(注目すべき子供のための本)